環境や気温などの変化の多い季節の変わり目は、体がだるくなったり、頭痛やめまいが起きたり、眠れなくなったりと、心身に不調を感じる人は少なくないのでは? 痛みや不調は体からのサイン。鍼灸師のやまざきあつこさんにその原因や、簡単に症状を改善できるツボ押しを教えていただきました。

心とカラダの不調ツボ押し

教えていただいたのは…
やまざきあつこさん

鍼灸師

やまざきあつこさん

藤沢市辻堂にある鍼灸院『鍼灸師 やまざきあつこ』院長。開業以来28年間、7万人の治療実績を持つ。1997年から2000年までテニスFedカップ日本代表チームトレーナーを務める。プロテニスプレーヤー、プロライフセーバー、プロボディボーダーなどトップアスリートの治療にも携わる。自律神経失調症の施術が人気。著書に『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(小学館)がある。

こんな不調感じてませんか? 当てはまる項目をチェック

心と体の不調腹痛

まずは、最近、以下のような不調がないかどうかをチェックしてみましょう。


□体がだるい
□頭痛、頭がぼうっとする、頭が疲れる
□肩こり・首こり
□眠れない、睡眠中に途中で目が覚める
□めまいがある
□下痢または便秘気味、お腹が張る
□目が疲れる
□ストレスがたまっている
□体が冷える


上の項目はそれぞれ違う症状ですが、これらの不調は、実はすべて同じ原因だと話すやまざきあつこさん。
「新生活が始まって慣れない環境で過ごしたり、新しい人と出会ったり……。生活や環境が大きく変わることで徐々にストレスがたまると、自律神経が乱れやすくなります。自律神経には、活動時や興奮・緊張しているときに優位になる交感神経と、リラックスしているときや寝ているときに優位になる副交感神経があります。日中は交感神経が優位になって心身が活動モードに。夕方以降になると副交感神経に切り替わり、心身が休息モードになります。
この2つの神経がバランスよく働いていれば問題ありませんが、ストレスがたまると交感神経が過剰に優位な状態が続きます。すると、夜になっても副交感神経に切り替わりにくくなり、寝付きが悪くなったり、途中で起きてしまったりといった症状が出やすくなります。
また、交感神経には血管を収縮させる働きがあるので、血流が悪くなります。そのため、頭痛や肩こり・首こり、めまい、だるさ、下痢や便秘、おなかの張り、目の疲れ、体の冷えなどといった症状も出やすくなるのです。症状は人それぞれですが、その人のもともと弱い部分に症状が出やすい傾向があります」(やまざきさん、以下同)

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「ツボ押し」で気になる不調を手軽に改善

そんな状態を改善するのに効果的なのが「ツボ押し」。「ツボ押しは、不調を自分で手軽に改善できる方法です。自律神経を整えるためには特に、頭のツボ押しが効果的で、百会(ひゃくえ)、角孫(かくそん)、天柱(てんちゅう)の3つのツボが効果的。頭や、手、腕にあるツボは、職場や外出先などでも押しやすいので、ちょこちょこと取り入れましょう。足のツボは、家にいるときなどに押してみてください」
以下から、不調別におすすめのツボをご紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。

ツボ押し百会

頭痛、頭がぼうっとする、頭の疲れ、不眠、めまいなどに
百会(ひゃくえ)
「左右の耳の穴を結んだ線と頭の正中を通る線が交わる部分にあるツボ。両手の中指をツボに当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回ほど繰り返しましょう。百会のあたりをマッサージするだけでも効果的です」
 

ツボ押し角孫

だるさ、頭の疲れなどに
角孫(かくそん)
「耳の真上にあるツボ。耳を折り曲げたとき、耳の一番上が当たるところです。両手の親指をツボに当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回ほど繰り返します。このあたりをマッサージするだけでもOK。左右とも行いましょう」

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ツボ押し天柱

自律神経の乱れ、だるさ、めまい、肩こり・首こり、ストレスなどに
天柱(てんちゅう)
「首の骨の外側のラインと髪の生え際がぶつかる少しくぼんだところにあるツボ。左右にあります。ここに左右の親指(自分で押しやすい指でOK)をツボに当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回繰り返しましょう」
 

ツボ押し中諸

自律神経の乱れ、不眠、頭痛、めまいなどに
中渚(ちゅうしょ)
「手の甲の小指の骨と薬指の骨の間を手首のほうに向かってたどり、止まるところにあるくぼみが中渚。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回。左右とも行いましょう」

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ツボ押し手三里

下痢、便秘、お腹の張り、胃の痛みなどに
手三里(てさんり)
「肘を曲げたときにできるシワの外側から、手首に向かって指3本分のところにあるツボ。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回。左右とも行いましょう」
 

ツボ押し合谷

下痢、便秘、お腹の張り、胃の痛み、肩こり・首こりなどに
合谷(ごうこく)
「手の人差し指と親指の間を手首のほうに向かってたどり、止まるところにあるくぼみが合谷。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回。左右とも行って」
 

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ツボ押し労宮

肩こり・首こり、ストレスなどに
労宮(ろうきゅう)
「手のひらのほぼ中央、こぶしを握ったときに中指の先があたる部分にあるツボ。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を、6〜8回。左右とも行いましょう」
 

ツボ押し太陽晴明

目の疲れに
太陽(たいよう)、晴明(せいめい)
「こめかみのくぼみ(眉尻と目尻の間くらい)にあるのが太陽で、目頭と鼻の骨の間にあるくぼみが晴明。どちらのツボも、左右の押しやすい指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を6〜8回。左右とも行って」

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ツボ押し内関

ストレス、緊張しているときなどに
内関(ないかん)
「手を握ったときに手首に浮き上がる2本のすじの間で、手首を曲げたときにできるシワから、肘にむかって指幅3本分の部分にあるツボ。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を6〜8回。左右とも行いましょう」

ツボ押し三陰交

冷え、下痢などに
三陰交(さんいんこう)
「内くるぶしの頂点から指幅4本分上がったところ。ここに親指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を6〜8回。左右とも行って。生理痛や生理不順など婦人科系の不調にも効くツボです」

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ツボ押し太衝

冷え、めまい、イライラ、不眠、頭痛、目の疲れなどに
太衝(たいしょう)
「足の親指と人差し指の間を足首のほうに向かってたどり、止まる部分にあるくぼみ。ここに親指など自分で押しやすい指を当て、イタ気持ちよく感じる程度の強さで、息を吐きながら1秒間ほど押して離す動作を6〜8回。左右とも行いましょう」



上記のようなツボ押しを取り入れて体を整えつつ、同時に「不調の根本原因となるストレスのケアも重要」と語るやまざきさん。
自律神経の乱れからくる不調を改善するには、ストレスをできるだけ減らすことが不可欠。特に人間関係のストレスは自分でなかなか解決しにくいと思いますが、気にしすぎるほど体は反応して、症状が2倍にも3倍にも増幅してしまいます。『そもそも人は自分の思い通りにはならないのが当たり前というくらいに思っておくほうが、ストレスが減り、不調も防げます。また、自分が楽しいと感じるような趣味などをもっておき、気分転換を心がけて、できるだけ気持ちをフラットに保ちましょう」



イラスト/細田すみか 取材・文/和田美穂   構成/中村千夏(MAQUIA ONLINE)

最終更新日:

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