「美容が好きすぎる男性アナ」として、『踊る!さんま御殿!!』や『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』に出演。その濃いキャラクターと愛らしい笑顔で話題となっている、福島中央テレビの直川貴博アナウンサーが、マキアオンラインに初登場! 社会の中で自身のキャラクターを確立するまでの軌跡と、とどまることを知らない美容愛について、たっぷりと語っていただきました。

直川貴博 美容 コスメ 美肌 スキンケア アナウンサー

アイドルに憧れた幼少期、コスメポーチを母に捨てられた高校時代

シェルピンクのジェルネイルに、なめらかな肌、そしてぽってりとうるおった唇。文字通り爪の先までお手入れの行き届いた直川貴博さんは、福島中央テレビ入社6年目の中堅アナウンサー。最近はK-POPアイドルなどの影響もあり、一般男性が肌のお手入れをしたり、日常的にメイクをするのはごく当たり前となりつつありますが、ここまで華やかなメイクをした男性が、朝や夕方の情報番組にアナウンサーとして出演するのは、かなり珍しいこと。さらに、それがとても好意的にお茶の間に受け入れられているというのが、直川さんが社会に起こした「小さな革命」のひとつ。

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「小さいころから、性別問わずアイドルが大好きで、AKB48さんやモーニング娘。さん、ジャニーズ事務所のタレントの方々に憧れて育ちました。今でもジャニーズWESTの桐山照史さんの大ファン。だから、『自分もあんな風にキラキラしたい! とにかく目立ちたい!』と、身のほど知らずにもアイドルになりたいと夢焦がれたときもありました。自分の部屋でワンマンライブを開催したり、モデルごっこをしたことも……(笑)。ちょうどメイクに興味を持ち始めたのもそのころ。女の子たちの輪に入って、みんなと同じように眉ペンやアイライナーをこっそりと忍ばせ持ち歩き、放課後や夏休みになると下手なメイクをして街へ遊びに行ったこともありました。ちょうどギャルメイクが流行っていたころで、細眉に囲み目が定番! 男友だちは少なかったし、男女別の体育の授業で柔道をやらされたりするのが嫌でしょうがなかったけれど、一風変わった自分を、『たかちゃんはIKKOさん(のような存在)だからね〜』と好意的に受け止めてくれる仲間に恵まれたことは、本当に幸運でした」 

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ところが、一番身近な存在である家族からの理解はなかなか得られなかったそう。

「母は人間国宝がいるようなとてもお堅い家柄出身ですし、両親も3歳下の弟もどちらかといえば表に出たがらないタイプ。目立ちたがり屋の自分は、家族の中でとても異質でした。メイクをすることに対しても、当然なかなか理解してもらえず、母にコスメポーチを捨てられたことは、一度や二度ではありません。恐らく、そんな私の扱いに家族も悩んでいたと思います。でも、メイクをしたい!という気持ちは止められませんでした。持ち前の聞き流し力で、“好き”を貫きました。反抗期というのも追い風となって、母に対する反骨心みたいなものが、原動力になったのかも。『テレビに出ている人たちは、男性だってみんなメイクしてるやん!』という私に、母は『だったら、芸能人とかテレビ出る立場になってからやりなさい』と。当時はそんな家族を認めさせたいという気持ちは少なからずありました」 

タレントではなく「一会社員」として個性を発揮したい

YouTube「ノウパンちゃんねる」で、アナウンサーを目指した理由を「ジェンダーレスで個性的な自分がテレビに出て発信することで、同じような方々に『個性っていいな、自分もこのままでいいんだ』と思ってもらいたい」と話す直川さん。就職活動では、さすがに自分の個性をすべてさらけ出すことはできなかったと言いますが、持ち前の真面目さが評価され、めでたく福島中央テレビに内定。2017年に局アナとしてデビューを果たします。しかし、キラキラメイクで新人生活を始めた直川さんを待っていたのは、予想をはるかに超えたアナウンサーという仕事の厳しさでした。

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「勝手に思い描いていたアナウンサーの仕事の現実は、まるで違いました。入社1年目にフルメイクで出社し、見た目を気にしながら仕事に臨んでいたころは、何度も痛い目を見ました。例えば、ニュース番組で誤読をしたり、CMに入る前に原稿を読み終わらなかったり、言葉が出てこず3秒以上黙り込んでしまったり……放送事故を連発。さすがにこのままではいけないと、メイクを封印。アナウンサーとしての訓練を重ねました。見た目は実力の二の次。まずはアナウンサーとしての自分を確立しなければ、好きを追求する資格もないと思ったので。そんな風に地道に練習と経験を積み重ね、やっと仕事に自信を持てるようになったのが、ここ2年くらい。少しずつ大好きなメイクを解禁することにしました」 

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その後、「美容好き男性アナ」というキャラクターが定着し、一躍人気者に。メイクをした姿で、福島ローカルの番組でお天気を伝えたり、全国放送の情報番組やバラエティ番組に登場することもしばしば。 
 
「社内の理解も、ここ数年でガラッと変わったように感じます。最初はさりげなくアイラインを引いているだけで注意されることもありましたが、今はチークやリップに華やかな色を使っていても、受け入れてもらえるように。今でも、ニュースをお伝えするときはファンデーションに眉を描くくらいにしていますが、もう少し自由度の高い番組では、割り当てられたメイクルーム使用時間をフルに使って、メイクを楽しんでいます♡ バラエティに出るようになってから、よく『会社を辞めてフリーにならないんですか?』と聞かれますが、辞める気はまったくないですね。私は、自分が一会社員であることに意義があると思っているので。いわゆる芸能人は突き抜ければ突き抜けるほど成り立つ仕事ですが、私は会社という組織の中の小さな歯車であるにも拘らず、大好きなメイクをしてテレビや美容誌に出ることを許されています。こういう自分を会社が受け入れ、違う場所にも快く送り出してくれるなんて、これほどありがたいことはないですから! 会社には、すごく感謝しています」 

美容にかけた金額は最高で月40万円

YouTubeチャンネルでは、大好きな美容誌を読み込んだり、美容賢者の動画を観て編み出した、独自の肌のお手入れ法やメイクテクニックなどを紹介している直川さん。そのこだわりは、どんなところにあるのでしょうか? 

「肌のお手入れで一番力を入れているのは、やっぱり保湿! 特にお風呂上がりのケアを重要視していて、まずは浴室から出る前に肌が濡れた状態で乳液を付けたあと、頭皮、顔、体にそれぞれ専用の化粧水をバッシャバシャに浴びて、そのままバスローブを着て過ごします。また、きちんと汚れが落ちていないと化粧水が入っていかないので、顔のクレンジングも念入りに。ジェルタイプを使って、1回目はスピーディーに汚れを落とし、2回目は時間をかけてゆっくりと。角質ケアに、スキンピールも使っています。顔は化粧水のあと、導入美容液→シートパック→そのまま美顔器→美容液2種→クリームでフタをして完了! 田中みな実さんの名言『おっぱいまでが顔』を守り、胸まで丁寧にケアしています。一度に使う量が多いため、コスメは人の2、3倍速で減っていきますね(笑)」 

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メイクに関しては、日々ライトに当たる仕事をしていることから、マット肌が基本。だからこそ、この日のツヤ肌メイクは新鮮に感じたと言います。 
 
「セルフメイクのときは、とにかく厚塗りしてマットな肌をつくりこみます。流行りや自然に見えるかどうかはお構いなし!(笑) 最初にフルカバーのフラットな肌にした上で、コンシーラーやハイライトで、陰影をしっかり出していきます。涙袋もスティックで立体感を出しますね。チャームポイントの唇は、下地2種+オーバーリップ、グロスで強調。とにかく重ねて重ねて、ボリュームUPするのがこだわりです!」 

月一の東京美容遠征で、全身ケア

コスメは自分の目で見て、試して選びたいため、最新のラインナップが一気に手に取れる東京へと、月一の美容遠征をして調達しているそう。コロナ禍でその楽しみもしばらくお預けになっていたようですが、最近また復活したと顔をほころばせます。 
 
「東京では、全身のエステ、ヘアトリートメント、ジェルネイルがお決まりのコース。さらに、デパートのコスメカウンターに行って新商品を試し、購入します。サロンでのお気に入りの施術は、グリーンピール。先日、なんと東京の街中で初めて声をかけられたのですが、エステ後のどすっぴんだったため、思わず動揺! 東京では誰にも知られていないだろうとすっかり油断していたので……。ちなみに、毎月美容にかかる費用は数十万円。先月は調子に乗って、40万円ほど出費してしまいました。これから、クリスマスコフレのシーズンがやってくるのが、恐怖です~!」 

美容は自分にとっての武器。好きを極めると強くなれる

大好きな美容を堂々と楽しめる今の状況を、心の底から満喫している様子の直川さん。メイクに目覚める前と今を比べて、どこか変わったところはあるのでしょうか? 
 
「私はメイクをすることによって、自信がつきましたね。すっぴんだと下を向いて歩きたくなってしまうけれど、上手にメイクできた日は自信満々になれちゃう ただ、私も最初から自分の“好き”をはっきり公言できたわけではありません。ちょうど10代のころに放送していた『おネエ☆MANS!』というテレビ番組で、IKKOさんたちが活躍する姿を見て、男性でもメイク好きでいいんだと思えたし、堂々と自分らしくいられるようになった。おかげで今は“美容マニア”として様々な番組にお声かけいただいたり、ずっと読んできた愛読誌である美容誌の撮影にまで呼んでいただけるように。頑固に“好き”を貫いてきてよかったなぁと、今になって思いますね。目下の目標は、美容誌で連載を持つこと。私がIKKOさんに勇気をいただいたように、私がそういう場所に出させて頂くことで、誰か一人の生きやすさのきっかけにでもなれたら幸せですね」 

直川貴博 美容 コスメ 美肌 スキンケア アナウンサー

シャツ¥26400/ネイタルデザイン(スキャターブレイン)パンツ¥28600/ネフォロジスト ブレスレット¥6820/ナラティブ・プラトゥーン(ロール)

息子が大活躍する姿を見て、厳格なご両親の態度も少しずつ変わってきているとか。 
 
「相変わらず、厳しいことは厳しいですね。帰省する前日は、ものすごく長文のメールが届くんです。『明日は華美な服装は避けてください。メイクについては、わかっていますね?』と、なぜか敬語で連絡がきます。でも、私はいつも通りのこの姿で現れるので、空港まで迎えに来てくれた母に、毎回怒鳴られます(笑)。だけど、最近とてもうれしいことがあって。『踊る!さんま御殿!!』に出演したあと、初めて母から『おすすめのコスメを教えて』と聞かれたんです! あぁ、やっとここまできたか、と。少しずつ、家族の考え方も変化してきているのかもしれませんね」 

直川貴博さん

アナウンサー

直川貴博さん

のうがわ・たかひろ。1994年生まれ、和歌山県出身。2017年、福島中央テレビに入社。『ゴジてれChu!』の中継リポーターやお天気キャスターとして出演。『ZIP!』の中継キャスターとしても活躍している。憧れの人は、田中みな実さん。

撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/後藤若菜 スタイリスト/藥澤真澄〈TRON〉 取材・文/栗田瑞穂 企画・構成/福島美歩(MAQUIA ONLINE)

最終更新日:

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