今年の8月で、41歳の誕生日を迎える斎藤工さん。キャリアとしての脂はたっぷりと乗っているけれど、実際の本人は脂気のない爽やかさに包まれている。 俳優として、映画監督として、そして社会を構成する一人の人間として。澄んだ瞳が見つめる先を、追いかけてみた。

斎藤工 インタビュー 腸活 

腸もクリエイティブも、全ては直結している
極める男、斎藤 工の今

斎藤 工

さいとう たくみ

斎藤 工

1981年8月22日生まれ、東京都出身。主演作ドラマ『漂着者』、映画『シン・ウルトラマン』などに出演するほか、映画『blank13』、『ゾッキ』などを監督。秋には映画『グッバイ・クルエル・ワールド』、2023年には窪田正孝を主演に迎えた監督作『スイート・マイホーム』の公開が控える。

斎藤 工を表すキーワード「腸活」

ニューノーマルな日々の中で開眼した発酵食品の世界。身体と心、そして生き方にまで影響を及ぼした腸活の凄さとは。

人間に優しい微生物の
世界に感動を覚えた
ここ最近テレビなどで取り上げられることも多いため、斎藤さんが発酵食品に心酔していることを知っている人は多いだろう。「僕の方法が正しいわけじゃないし、ある種、偏食です」と語る普段の食生活は、こんな感じ。
「撮影現場でも食事は僕の分を頭数から抜いてもらい、豆腐と納豆と鯖缶を持参しています。玄米など昔からある精製されていない食品を摂るようにしていて、デザートに冷凍ブルーベリーを食べているのもその流れ。味噌とぬか漬け、それに果物とてんさい糖と酵母菌ジュースで作る酵素シロップは家で作っていて、毎日手で混ぜています」
自家製の発酵食品は、この“手”で混ぜることが重要なのだとか。
「人の手で混ぜたものには常在菌が入っていて、それを摂り入れることによって人間の足りない栄養をリカバリーし、体調を整えてくれることがわかっています。微生物の世界は本当に人間に優しいシステム。感動しますよ」
腸活の成果か、うれしい変化も。
「排泄物の匂いがしなくなったし、今年は花粉症にもなりませんでした。共演したリリー・フランキーさんには『乳くさい』と言われたことも(笑)。赤ちゃんの腸は一番微生物の状態がいいそうなので、もしかしたら赤ちゃん返りしているのかもしれません」

斎藤工さん

人間本来のあり方を
パンデミックが教えてくれた
斎藤さんと腸活との親密な関係は、2年半前、世界がパンデミックに見舞われたことをきっかけに始まった。
「いろんな方と仕事をする職業柄、ウイルスに出会わないようにすることは不可能。対処法を研究するために本を読みあさる中で、人の体の9割が微生物でできていることを知りました。その状態をよくするためには、昔ながらの発酵食品が理想だと学んだんです」
微生物の世界を覗き見て身体と向き合ったことで、意識にも変化が。
「毎日納豆や豆腐だともちろん飽きもきます。でも飽きているのは僕のたった1割の意識に過ぎない。残りの9割に準じて思考をずらした感じです」
人と接する時も、見た目や性別といった表面的なものは二の次になり、どんどん内側に興味が向くように。
「思考は腸から始まると言いますが、微生物の状態が整っている人は他人に対しても優しい。エゴを周囲に押し付けている人を見ると、腸が荒れているだろうなって思うんです。“腹が立つ”とか“腹落ちする”と言うように、昔の人も腹=腸が大切なことを知っていた。人間本来のあり方を、パンデミックが僕に教えてくれた気がします」

Netflixシリーズ ヒヤマケンタロウの妊娠

Netflixシリーズ
ヒヤマケンタロウの妊娠
男性もみな妊娠するようになった世界を舞台に、予期せぬ妊娠をした広告マンの桧山健太郎(斎藤 工)が、パートナーの亜季(上野樹里)と共にこれまで気づかなかった社会のさまざまな問題に直面するコメディ。●Netflixにて全世界独占配信中

MAQUIA8月号
撮影/神戸健太郎 ヘア&メイク/くどうあき スタイリスト/倉田 強 取材・文/松山 梢 構成/火箱奈央(MAQUIA)

最終更新日:

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