素足を見せる季節はすぐ目の前! でも、爪が割れていたり、色素沈着があったり、でこぼこしていたり、はたまた巻き爪や爪水虫などの爪の疾患があったり……。こんな状態じゃ、サンダルも似合わない! そこで、足爪のトラブルの改善法を「神楽坂 肌と爪のクリニック」院長の野田弘二郎先生に教えていただきました。

足爪トラブル解消法割れ爪巻き爪

【巻き爪、色素沈着、でこぼこ爪etc.】はなぜ起きる?

足爪悩み

教えていただいたのは...
野田弘二郎先生

神楽坂 肌と爪のクリニック 院長

野田弘二郎先生

久留米大学医学部卒業。その後、昭和大学形成外科、千葉大学病院、聖マリア病院、パリ第7大学サンルイ病院などを経て、2009年に現クリニックを開業。プロネイリストの資格も持ち、爪の疾患から爪の美容まで幅広く対応。日本形成外科学会専門医。皮膚腫瘍外科指導専門医。

神楽坂 肌と爪のクリニック
診療時間:火〜金曜日 10:00〜19:00、土曜日 9:30〜18:30
(月曜日、日曜日、祝日は休診)
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル2F
電話:03-3513-8212

【足爪トラブル別の原因と対策】

足の爪は、手の爪に比べてトラブルが
多い気がするけれど、どうして?

「手の爪は、付け根から先端まで伸びるのに平均6ヶ月ほどかかるのですが、足の爪は平均12ヶ月と伸びるのが遅いのが特徴。つまり、足の爪は生まれ変わりが遅いので、1度トラブルが起こると治りにくいとも言えます。また、足の爪は、靴やストッキングや靴下などの刺激や圧迫を受けるので、トラブルが起きやすいのです」(野田先生、以下同)
特に女性に多いという、足爪の主なトラブルについて、詳しい原因と対策をご紹介します。

足爪トラブル巻き爪

足爪が巻き込み、皮膚に食い込む「巻き爪」
足爪の両端が内側に巻き込み、皮膚に食い込んでしまうのが「巻き爪」。炎症が起きて、激しい痛みを伴う場合も。

■原因は?
「生まれつきの素因もありますが、大きな原因は、きつい靴や、先端が細い靴、ストッキングなどによる圧迫です。爪が皮膚に食い込んで、炎症が起き、激しい痛みが伴う場合は、陥入爪(かんにゅうそう)とも呼びます。

■治療法は?
治療法は、ワイヤーなどの器具を使って矯正する方法や、手術などがあります。ワイヤーでの矯正法としては、超弾性ワイヤーや、B/Sブレイスという樹脂の板を貼り付ける方法などがあり、当クリニックで最も人気が高いのが、オニックスワイヤーTMという超弾性ワイヤーを使った矯正です。このワイヤーを巻き爪に装着し、少しずつ力を加えながら形を整えていきます。巻き爪の矯正は、保険はきかず、全額自己負担となります。巻き爪の治療は皮膚科で行うことが可能ですが、巻き爪の治療を行っていない場合もあるので、事前に確認してから受診を。当クリニックの場合は、半年間で3回ワイヤーを取り替えます。治療開始時を含めて4回ワイヤーを入れる治療となり、治療費は合計¥40700です。また、炎症が強い場合などは、部分的に爪を切除する簡易手術をすることもあります。再発を繰り返す場合は、爪を作る組織を切除する根治手術も可能です。根治手術は矯正治療や簡易手術と比べて再発がほとんどありません。いずれにしても巻き爪は改善できるので、ひどくならないうちに受診をしましょう

足爪トラブル治療法巻き爪

■予防・ケア法は?
「また、セルフケアとしては、爪を深く切らないようにし、角を少し残して切って、内側への巻き込みを防ぐことです。圧迫するような靴やストッキングを避けることも大切です」


上の写真は、オニックスワイヤーTMでの矯正例。最初はかなり内側に巻き込んだ巻め爪が、ワイヤーをつけて半年ほどでフラットな爪に。ワイヤーを装着すると、装着直後〜数日で巻き爪による痛みが改善。(写真提供/神楽坂 肌と爪のクリニック)

足爪トラブル割れ爪

爪がすぐ割れるのは、乾燥や鉄分不足が原因
足爪が割れやすいのは比較的に女性に多くみられるトラブル。見た目のキレイさも損なわれるので、なんとかしたいもの。

■原因は?
爪が割れやすくなる原因は、ひとつが乾燥です。冬などの湿度が下がる時期は、爪も乾燥して割れやすくなります。また、もうひとつが鉄分不足。鉄分が不足すると爪が割れやすくなるので、鉄欠乏性貧血気味の人は要注意。ちなみに、たんぱく質は爪を作る材料なので、不足すると爪がもろくなると言われますが、これはあまり関係なく、低たんぱくだからといってすぐに爪がもろくなるわけではありません。鉄分不足のほうが影響します」

■予防・ケア法は?
「爪が割れやすいのを改善するためのセルフケアとしては、まず、乾燥を防ぐために爪を保湿しましょう。ボディクリームなどを体に塗るついでに爪に塗ってもいいですし、爪用のキューティクルオイルなどを塗るのもいいと思います。また、鉄分が不足しないように、レバーや赤身肉、牡蠣、あさり、まぐろ、かつお、ほうれん草、小松菜など鉄分が多い食品を意識して摂ることもポイントです」

足爪トラブル色素沈着

きつい靴などによる圧迫で足爪の下が出血し、血豆に
ある日、気づいたら爪に赤黒い色がついていた……というように、爪に色素沈着のようなものができることが。その正体とは!?

■原因は?
「爪が赤黒くなるのは、色素沈着というより、爪の下で出血が起こって血豆になっているケースが多いですね。“足をぶつけたわけでもないのにどうして?”と思うかもしれませんが、爪の下は毛細血管が多いので、きつい靴を履いていたり、ランニングや山登りをしたりといった刺激で、すぐ出血するので、気づかないうちに出血していることも多いのです。また、“皮膚がん?”と思って不安になりがちですが、日本人の場合は、爪の下に皮膚がんができることは極めてレアです。ただし、自分で判断するのは難しいので、気になったらまず皮膚科を受診しましょう」

■治療法は?
「血豆の場合は、痛みがひどいなら、血を抜くなどの治療をすることがあります。血豆でない場合は病理検査をして詳しく調べます」

■予防法は?
「デザインが気に入っているからなどと、無理してきつい靴を履かないことです。きつい靴を履くと、タコや角質肥厚、足の変形などの原因にもなります。靴は、1日のうちでもなるべくむくんでいるときに買うようにし、売り場で履いて歩いてみて、きつくないか十分にチェックしてから買うようにしましょう」

足爪トラブルでこぼこ爪

きつい靴による慢性的な圧迫で爪がでこぼこに
爪に横スジが入っているような、でこぼこになってしまうことも。これも爪の見た目を損なう要因です。



■原因は?
「足爪がでこぼこになる原因は、やはりきつい靴などによる慢性的な圧迫です。たとえば、モデルなどの靴を自分で選べない職業の人や、きついトゥシューズを履くバレリーナ、立ち仕事の人などに多い症状です。手の爪の場合は、水仕事が多いなどの理由で、手が荒れて爪がでこぼこになる場合がありますが、足の場合は靴による圧迫が原因のことがほとんどですね。

■予防・ケア法は?
「この場合も、予防・ケア法として大事なのは、きつい靴を避け、靴を正しく選ぶことです。ただ、仕事柄、自分で靴を選べない人で、爪のでこぼこを改善したい場合には、皮膚科医に相談を」

足爪トラブル肥厚爪

足爪の度重なる怪我や刺激で肥厚してしまう
足の爪が分厚くなってしまうのも、ありがちなトラブル。見た目的にも美しくないうえ、爪切りで切りにくくなるといった問題も。

■原因は?
足爪が分厚くなってしまうのは、加齢のせいもあります。それ以外では、その足爪に何度も怪我をしたり、爪の上に何回も物を落としたりといった原因が考えられるほか、爪水虫の可能性もあります。まずは皮膚科を受診して、爪水虫などの病気がないか調べましょう」

■ケア法は?
「爪水虫でない場合、自分で爪用のやすりでケアするのもいいですが、何年もかかって分厚くなったものなので、完全に元通りに戻すのは難しい場合も。ただ、プロのネイリストにケアをしてもらったり、自分でやすりである程度薄くしてマニキュアを塗ったりすることで上手くカバーできるので、前向きにケアしましょう」

足爪トラブル爪白癬

白癬菌の感染によって起こる爪水虫
爪が白く濁ったり、分厚くなったり、ボロボロになってしまうのが爪水虫。足の水虫と違って、かゆみがないので気づかないことも。

■原因は?
爪水虫の原因は、白癬菌というカビ(真菌)に感染し、爪に入り込んで増殖することで起こります。いきなり爪水虫になることは少なく、もともと足の水虫があって、白癬菌が爪にも入り込んでしまって生じることが多いです。家族や、一緒に住んでいる人に水虫の人がいると感染しやすいので注意が必要です」

治療法は?
「爪水虫の治療は、白癬菌に効果的な抗真菌薬を用います。飲み薬と塗り薬があり、従来は飲み薬が中心でしたが、最近では効果の優れた塗り薬も選んでいただけます。当院では塗り薬による治療が中心となっています。爪水虫が治るには、感染部分の爪が生え変わる必要がありますが、足の爪は生え変わるまで1年かかるので、医師に言われた期間、根気よく薬を続けることが大切です。薬を続ければキレイな爪を取り戻せます

足爪トラブル爪白癬治療法

■予防・ケア法は?
「自分でできる予防・ケア法としては、家族や同居人に水虫の人がいたら、その人も一緒に治療をしてもらうことが大切です」


上の写真は、爪水虫の治療例。爪水虫になって黄ばんでいた爪が、抗真菌薬(塗り薬)を続けることで改善し、元のキレイな爪に。(写真提供/神楽坂 肌と爪のクリニック)

足爪トラブル小指の爪が小さい

小指の爪が小さくなるのは、きつい靴による長年の圧迫が大きな原因
足爪は、小指だけ、ほぼなくなっているくらいに小さくなっている人は多いのでは? これだと、ネイルも塗れなくて困るもの。

■原因は?
「小指の爪がないくらいに小さくなってしまっているのは、男性や子供にはなく、ほとんどが女性です。これはやはり、女性のほうが、爪先が細めのきつい靴を履く人が多いため、小指に過剰な力がかかっているからです。またそのようなきつい靴に加えて、歩き方も悪いと、さらに小指の爪に負担がかかります。つまり、爪が異常なのではなく、いわば爪は“被害者”なのです。爪が小さくなるのは、1〜2年でなく、10〜20年と長い年月をかけてなったものなので、元に戻すには、最低でも同じくらいの年月はかかります。ただ、痛みなどがないようなら、特に気にしなくても問題はありません」



■予防・ケア法は?
「改善するには、まずはきつくない靴を選ぶことです。見た目が気になる場合は、ネイリストにケアしてもらって、マニキュアを塗るなどしてもらえば、目立たなくなるはずです」


【野田先生おすすめの爪切りと爪用キューティクルオイル】

爪はよく切れる爪切りで切り、オイルでこまめに保湿を
爪のトラブルを防ぐための、爪のセルフケアの方法を伺いました。


「爪の長さを整えるときに、爪を傷めないように全部ファイル(やすり)で削ったほうがいいという知識が流布していますが、医師の観点からは、よく切れる爪切りで切り、爪切りに付いているやすりで形を整えるのがベストです。もちろん深爪はNG。爪切りの頻度としては、数ヶ月に一度まとめて切ろうとすると深爪になりがちなので、月に1回くらいのペースにしましょう。タイミングは、爪が柔らかくなっているお風呂上がりがおすすめ。また、爪用のキューティクルオイルでの保湿は毎日行うのが理想的です」


【巻き爪・割れ爪・でこぼこ爪】足爪トラブルの原因と治療法を専門医に聞きました_12

野田先生おすすめの爪切り。「マルト長谷川工作所のネイルプロ NP-1020Nは、よく切れて、医師としておすすめできる足用爪切りはこれだけと言ってもいいほど優れた製品です」
フットケアスペシャリストやネイリストなど、各業界のプロフェッショナルが愛用するネイルニッパー。抜群の切れ味を誇るストレート刃は、手の爪はもちろん、肥厚した足爪や変形した足爪も滑らかに整えることができる。ネイルプロⅡ NP-1020N ¥6600/マルト長谷川工作所

【巻き爪・割れ爪・でこぼこ爪】足爪トラブルの原因と治療法を専門医に聞きました_13

野田先生おすすめの爪用キューティクルオイル。「保湿力が高く、私のクリニックでも取り扱っています」
保湿力に富んだグレープシード、ククイナッツ、サンフラワーオイルが指先に素早くなじみ、乾燥から爪を守る。独自の複合保湿成分アボカド リピッド コンプレックスや、伸びのいいクプアスバターも配合。毎日の使用で、甘皮をささくれなどから守り、爪を健やかに。携帯に便利なペンタイプ。プロスパ ネイル キューティクルオイル トゥゴー 7.5ml ¥2200/オーピーアイ


イラスト/二階堂ちはる 取材・文/和田美穂 構成/中村千夏(MAQUIA ONLINE)

※本記事掲載商品の価格は、税込みで表示しております。

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