幅広いジャンルで『明日の私をMAKE』してきたひとにフィーチャーする、創刊20周年のスペシャル連載。その唯一無二の存在感が心を震わす、夏木マリさんが登場です。

夏木マリ インタビュー

MAQUIA20周年記念連載
「明日の私をMAKEしよう」
夏木マリ、私だけのスタイル

夏木マリさん

俳優

夏木マリさん

Mari Natsuki
1952年東京都生まれ。1973年に『絹の靴下』で歌手デビュー。1993年に企画・構成・演出・出演を手がける舞台『印象派』を立ち上げる。多数の舞台・映画・ドラマに参加し、数々の賞を受賞。

やることは増える一方。でも、取り繕わない
「40代から50代、50代から70代と、年を重ねるとやることは増える一方ですよ。サプリメントだってどんどん増えるしね。毎朝シートマスクをするんですが、もう1枚じゃ足りなくて。貼ってるとおでこのところが乾いてきちゃうから、2枚、3枚と重ねることもあります。でも、逆にやめたこともあります。私はもともと自眉が薄くて描くのに非常に時間がかかっていたんですが、ある時期から描くのをやめた。眉にこだわりたいからあえて描かないっていう感覚ですかね。SNSで“お願いだから眉毛描いてください”なんてコメントがくることもあるんですよ(笑)」

 夏木さんが「素のままでいたいと思えるようになった」転機は、自らプロデュースする舞台『印象派』を始めた40代。

「私にも“嫌な芸能人”の時があったから、外へ出るなら完璧にメイクしなきゃっていう時代がありました。でも『印象派』を始めた頃、踊っているときにふと鏡を見たら、素顔の私になんかいい!と思えたんです。今はできればありのままの素顔で歌ったり演じたりしたいけれど、役柄に合わせる仕事なのでそうもいきません。今度ブルーノート東京でやる『MARI NATSUKI〝MARI de MODE 6〟』ではラグジュアリーに装って思い切り楽しむつもり」

 メイクを手がけたSADAさん曰く、今日はファンデーションを使ってないのだという。「マリさんのきれいな肌と骨格を活かした、素が見える“ベージュワントーンのヌーディスタイル”。たっぷり保湿し下地とコンシーラー、パウダー、ハイライトで仕上げました。マリさんの素を活かせるよう、眉も描いていません。マリさんは肩の力が抜けているのに大胆で、かっこいいのにコケティッシュ。そういう魅力をメイクで引き立てました」(SADAさん)


年を重ねたら人のために何かしたい
 夏木さんが「次世代に引き継ぎたい」と目下情熱を注ぐのが、音楽とバラで途上国の子どもたちの教育環境や女性の雇用整備を目指す『One of Loveプロジェクト』。長年支援を続けて来た子どもたちに会いに行く旅がきっかけで生まれた取り組みだ。

「私たちが音楽を届けたら、子どもたちも歌と踊りで返してくれて。上から目線で“やってあげる”のではなく“させていただく”感覚で、生活の上で何を求めているのかをストレートに聞いてダイレクトに届けることに意義があるなと。最貧国の一つとして知られるエチオピアですが、実は薔薇の生産が盛んでどこのレストランに行っても真紅のバラが一輪飾ってあって。そういう文化って素敵だなって……」

 そんなご縁から、オリジナルのバラ『マリ ルージュ』を開発し、収益を寄付する活動をスタートした。自らプロデュースした真紅のバラに囲まれた夏木さんに、どんな人を美しいと感じるのか尋ねると「最後は人柄よね」と返ってきた。その横顔には、一朝一夕では磨かれない内なる美が静かに煌めいていた。

―夏木流・美のルール―

動ける体も、歌える喉も筋肉が命!
「喉のためにも、踊り演じる身体を保つためにも、とにかく筋肉命。これから舞台が始まるので、今は毎日トレーナーの指導を受け、筋力と持久力を鍛えています」


朝はストイック 夜はゆっくり
「朝はストレッチしてから、冷蔵庫で冷やしたシートマスク。そのあとエアロバイクを漕ぎます。夜はゆっくりしたいから、あまり決め込まずにリラックスが最優先」


人は食べ物が8割。小腸をキレイにする食を意識
「朝は重曹とビタミンCを溶かしたドリンクで巡りを高めます。最近は糖分とカフェインをカットし、パンはグルテンフリーのものに。牛肉を控えて鶏肉を選んでいます」

(「流れのまま50年」クロニクル)

夏木マリさんが40代で迎えた転機とは? 「私にも“嫌な芸能人”の時があった」_2

1973年
「夏木マリ」で再デビュー
『絹の靴下』が大ヒット
1982年
映画『鬼龍院花子の生涯』出演
1983年
映画『里見八犬伝』出演
1984年
芸術選奨文部大臣新人賞受賞
1985年
日本アカデミー賞
優秀助演女優賞受賞
1986年
第24回ゴールデン・アロー賞演劇賞受賞
第21回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞
1990年
ニューヨークへ
1993年
舞台『印象派』スタート
1995年
小西康陽氏と『九月のマリー』発表
2006年
ブルースバンド「GIBIER du MARI」結成
2008年
パフォーマンス集団
「マリナツキテロワール」MNT を立ち上げ、
この活動に対して「モンブラン国際文化賞」受賞
2010年
支援活動
「One of Loveプロジェクト」スタート
2011年
結婚
2014年
清水寺奉納パフォーマンス
「PLAY×PRAY」スタート
2015年
ライブハウスツアー
「MAGICAL MEETING TOUR」決行
2017年
ブルーノート東京
「MARIdeMODE」をスタート
2022年
舞台『千と千尋の神隠し』国内初演
2023年
50周年メモリアル
『MARINATSUKI 50 JubileeLIVE』を
日比谷野音にて決行
2024年
舞台『千と千尋の神隠し』
ロンドンコロシアム出演


夏木マリさんが40代で迎えた転機とは? 「私にも“嫌な芸能人”の時があった」_3

一緒にいて楽しい人でありたい。
最後はやっぱり、人柄よね

MAQUIA 5月号
撮影/Hiro Kimura〈W〉 ヘア/TAKU〈VOW-VOW〉 メイク/SADA ITO〈SENSE OF HUMOUR〉 ネイル/kyoko〈effrontee tokyo〉  スタイリスト/仙波レナ 取材・文/長田杏奈 構成/山下弓子(MAQUIA)
イヤリング ¥78650、ネックレス 上 ¥399300、中 ¥393800、下 ¥130900/ホアキン・ベラオ(2024年春価格変更予定)

※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。

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