佐藤 健、その瞳に映るもの。「経験を重ねるほど、芝居を極める難しさを感じる」

多彩なジャンルの作品に出演し、常に新たな表現に挑み続けている佐藤 健さん。本質をすみやかに見極め形にする、その明晰な眼差しで捉えた自分自身のこと、人生で極めたいことをインタビュー。

「僕は現場でもプライベートでも、必要不可欠なことぐらいしか喋らないタイプ。周りの人が話すのを聞いている方が多いんじゃないかな。特に演技については、ああだこうだ語り合うより、“やってみな”“やってみよう”っていう方が好きですね。だって長々会話をしなくても、監督の考えだとか求めているものってなんとなく察することができるじゃないですか。僕自身も、自分なりに作品の軸や役柄の本質となるものが見つけられないうちは撮影に入りたくないし、逆にそれが見つかっていればこの作品は大丈夫、という感覚があって。その“本質”のようなものの探し方に関しては、この仕事を始めたばかりの頃から自分の中にあった気がします。感覚的なことだし作品にもよるのだけれど、単純に言うなら“まず自分が視聴者の目線になる”ということかなと。作品を見ている時って、引き込まれている時と退屈に感じる時がありますよね。個人的には引き込まれる時間ができるだけ長い作品に惹かれるので、“じゃあ、なんで退屈が生まれるんだろう？”“ここがどうなったら楽しめるかな”という感じで考えを進めるようにしています」

「役者の仕事をしていて感じるのが、芝居を“極める”ことの難しさ。“子役には勝てない”と言われるように、経験がまだ少ない人が素晴らしい演技をするケースってよくあるじゃないですか。ということは、上手くなればなるほど失われていくものがあるんだと思うんです。そう考えると身についたものを削ぎ落としていく作業の必要性を感じるけれど、その反面もっといろんなものを身につけたいという思いもあって。そういった相反するものがあるところが、練習を重ねるほどに向上していくジャンルとは少し違っている気がします。

人生で極めたいこと、ですか？　今の段階では最終地点までは思いを馳せることができていないっていうのが正直なところ。でも、直近で成し遂げたいと思っていることはありますよ。結構いろんなところで言っているけれど、日本のドラマや映画をもっとグローバルなものにしていきたいんです。ありがたいことに今後、ドラマのプロデュースに挑戦させていただけることになったので、あとはとにかく一生懸命にやるだけですね。といっても僕自身はそもそも勝算がなければ始めないタイプで、こうして目標を掲げているのもできると思うからこそ。もちろん自分一人で物事を成し遂げるのは絶対に無理な話で、人の力を借りることが必要不可欠に。人脈は立派な武器だと思うので、もったいぶらずに使いまくるつもりでいます（笑）」

MAQUIA 4月号
撮影／柴田フミコ　ヘア&メイク／大木利保　スタイリスト／酒井タケル　取材・文／真島絵麻里　企画・構成／萩原有紀（MAQUIA）
ブランチダブルイヤーカフ ¥2970／エルエイチエムイー　60'sゴールドウォッチ ¥7700、ゴールドブレスレット ¥9900、60'sモヘアショール ¥33000／ラムホールベルーフ　その他／スタイリスト私物
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