肌表面に見え、私たちがその様子に一喜一憂している角層は、実はおよそ28日前に生まれたベビー細胞が育った結果。その28日間を温かく見守り、幸せに育つようにサポートすれば、肌トラブルは自然と解消へ!
ゆらぎにも、透明感にも。
取り去るだけでなく、育むケアへ
地味だけど効く♡ 愛しの「角層ケア」
コーセー研究所
内山朋弥さん
皮膚・薬剤研究室勤務。専門は肌の透明感の研究。コスメデコルテ“イドラクラリティ”の開発に携わる。
実は、最初の14日間が
「角層育て」のカギ!
「慢性的に肌がカサつく、ゆらぐ、毛穴が目立つ、くすむなどの状態が続くのは、角層が育つストーリーのどこかでしくじっているから。角化細胞が生まれてから、角層の最表で剥がれ落ちるまでにおよそ28日。実は角層になる前の14日間でいかに育つかが、肌状態、つまり角層の運命を左右しています」(髙瀬先生)
「今、角層ケアは取り去るケアだけでなく、『育むケア』へとシフト。角層になる前の段階で、正しい成長を遂げるよう促すコスメをぜひ活用してください」(内山さん)
健全な角層に欠かせない
自前のうるおい3大要素
1 皮脂膜
汗と皮脂が混じり合い角層を覆う。環境から肌を守り、うるおいが逃げるのを防ぐ。
2 NMF
アミノ酸などの天然保湿因子。角層細胞内で水分と結びつき、うるおいをもたらす。
3 細胞間脂質
角層細胞のあいだをパテ埋めするセラミドなどの脂質。乾燥や刺激から肌を守る。
どこから生まれて、どう育つ?
私と角層、28日のストーリー
角層
核を失い、角化細胞から角層細胞へ
核(DNA)を失い死んだ細胞に。密着した14面体の細胞が約15層積み上げられ、徐々に垢となって剥がれ落ちる。
顆粒層で準備した材料でNMFやセラミドなどがつくられ、細胞や細胞のあいだがうるおいで満たされ、強固なバリアに。
顆粒層
うるおいのもとが形成される
NMF(天然保湿因子)やセラミドなど細胞間脂質のもととなる「材料」がどんどんつくられる。
NMFのもと・フィラグリンや、セラミドなど細胞間脂質のもと・顆粒がつくられ、角層バリアの準備が万端に。
有棘(ゆうきょく)層
角化細胞同士が手をつなぎ合うことで美しい細胞に
細胞同士がとげ(棘)のような手で結合。徐々に扁平に変形していき、美しい14面体への成長が始まる。
表皮のなかでいちばん厚みがあり、角層に次ぎ、外部から刺激を遮断する第2のバリアとしての役割も。
基底層
基底細胞が分裂して角化細胞が誕生!
基底細胞(表皮幹細胞)がふたつに分裂すると片方は基底層にとどまり、片方は赤ちゃんの角化細胞に。
角化細胞の母である基底細胞が刺激などにさらされず環境がよければ、スムーズに元気な赤ちゃんが生まれる。
基底層→有棘層→顆粒層の2週間で正しく育つことが大事
\こう育てば大成功!/
うるおい美肌の角層は“14面体”がピシッと整列
レンガのような四角形なのかと思いきや、理想的な角層細胞は“ケルビン14面体”という多面体であることが判明。この多面体であることで角層細胞は効率よく、隙間なく連なり、重なり合う。
美肌の角層細胞は実は“14面体”
角層になる前の14日間で順調に角化細胞が育てば、角層細胞になったとき美しい14面体に!
資料提供/コーセー
GOOD
理想的な14面体だと角層の隙間が埋まり、水分をキープ。大気汚染物質やハウスダストなどの異物が肌に侵入するのを防ぐ。
NG
角層育てが上手くいかず、形がいびつになったり、大きさがバラバラになると、水分が逃げ、異物が侵入しやすくなる。
理想的な角層は規則的に整列
大きさも形もそろった14面体の角層細胞は、ピシッと隙間なく整列。バリア機能がアップする。
資料提供/コーセー
GOOD
14面体の角層細胞が規則的に整列。うるおいがキープされるのはもちろん、なめらかな透明感を放ち、見た目も美肌に!
NG
角層育ての失敗で、角層細胞の多面体が小さく不規則に。乾燥したりゆらぎやすくなり、見た目にも荒れてくすむ。
MAQUIA3月号
イラスト/熊野友紀子 取材・文/小田ユイコ 構成/萩原有紀(MAQUIA)
最終更新日: