2023年2月に発売された最新アルバム『Fantasia』を引っ提げて始まった、KAT-TUNの全国ライブツアー。5月6日、横浜アリーナにて行われた公演に、連載「亀カメラ」チームでお邪魔してきました。“ジャンルレス”をテーマに掲げ、幻想的かつ大人の魅力を炸裂させたライブを、連載担当ライターの芳麗さんがレポートします! 

KAT-TUNにしか紡げない幻想的な物語

KAT-TUNというグループには、いつだって揺らがない世界観があり、多彩な物語がある。それは、毎回のライブにも言えること。 
3人体制となって、まる5年。今年のライブ「Fantasia」は、彼らが紆余曲折の道中において、一途に紡いできた世界と物語の1つの到達点であり、美しいハイライトのようにも感じられる、素晴らしいライブだった。 
MAQUIAで13 年間続く連載の取材日に、亀梨和也さんにそう伝えると、「今年だからこそ、やれたライブだと思う」と嬉しそうに話す。 
 
「15周年という節目がコロナ禍でみんなと思うように共有できなかったから、昨年と今年でその思いを回収したかったんだよね。テーマであるファンタジア……幻想曲とは、オレの中では、“枠組みがない自由なもの”というのが1つの解釈としてあったから。ジャンルレスに過去の曲も投入して1つの世界観を作りながら、みんなで盛り上がれるものにできたらなと。 
ライブに物語が感じられる? たしかに、今回は特にそうかも。最初に伏線を張って、最後に回収してるしね。オレたちは、ストーリー性とかショー的要素が、根っから好きなんだと思う。そもそも、KAT-TUNというグループ名も、『カートゥーンTV』という漫画が由来だから。“物語があるグループ”であることは、宿命づけられているのかな(笑)」 


【KAT-TUN2023ライブレポート】亀梨和也さん独占コメントも!1つの到達点ともいえるFantasiaの多面的な世界観_1

 5月6日、横浜アリーナ最終公演。開演前から熱気が立ちこめる会場に、OVERTUNEが流れ始めると、もう抑えきれないと言わんばかりに歓声が上がる。メインステージに設置された高台の下から、3人がゆっくりとせり上がって現れた。歌うでもなく、動くでもなく、ただ、まっすぐに前を見据えている。3人の悠然とした立ち姿を、全観客が見つめる聖なる時間。最高の登場シーンに声の限りに叫ぶ人もいれば、息を飲む人もいる。 
 
 1曲目『DIRTY LUV』からは、彼らも観客もエネルギー全開。連続して立ち上る炎とリズムと歌声が絡み合っている。曲間の絶妙なタイミングで、上田さんがサングラスを外す、亀梨さんがジャケットを脱ぎながら歌う、中丸さんが観客に意味深な視線を投げかける。各々がセクシーでパーフェクト。「俺のこと興奮させてよ」とチャーミングに言い放つ亀梨さんに、悲鳴のような歓声が上がる。「もっと声出るだろ」という上田さんの煽りにも、全力でみんなが応え続けてる。 
 
 前半から、アルバムの中でもインパクトの強い楽曲が続く。その合間に、これまでのKAT-TUNの歩みを楽しめるヒット曲や思い出の曲をテンポよく織り交ぜ、右肩上がりに熱量を高めていく。ステージ上から降る巨大な砂のカーテンや、幕が降りると3人が消えるという幻想的なストーリーや演出も目を見張る美しさ。 
「めちゃんこ声出てますね」と中丸さんが笑顔でもらすほどに、序盤から、歓声が鳴り止まない。 

絶妙なバランスを魅せる極彩色の男たち

 ライブ中盤、男性客はどれくらいいるのかという話題に。思いの外、たくさんの男性の歓声を浴びると、「男子も興奮してくれてうれしい。男子だけのライブもやってみたい」と亀梨さん。女子ファンの小さなブーイングをすかさず察知した、上田さんが「結局、やらないだろ。男の声じゃ、やる気が出ない。オレたちって、どんだけ女好きなんだろ」とつっこんで笑わせる。何気ないやり取りがいちいち濃口で面白い。 
 
 三者三様。KAT-TUNメンバーの個性の強さは、ファンのみならず知られているところ。さながら極彩色のように、それぞれが鮮やかな色でありながら、自然体で溶け合っている。彼らのコンビネーションの妙を最も味わえるのがライブだ。 
 
 たとえば、歌唱。3人とも声色は異なるものの声の質は甘く歌のスキルも高い。だから、ハモった時の美しさにも引き込まれるが、ユニゾンで揃った時の透明感もまた魅力的。 
 
 MCの客席からの相談コーナーでは、3人の人間味あふれる優しさが炸裂。「応援してるタレントの人生の選択を応援すべきか?」といった、思わずディープな相談をしてしまったお客さんに対して、当初は、冗談を交えて全力フォロー。会場に笑いをもたらしつつも、最後は「自分が生きているのは自分が主役だから。自分が思った通りに動けばいいよ」(上田さん)、「今は悩むかもしれないけど、時間が経って色々形も変わってくるからさ」(亀梨さん)と真摯に答える。すると、中丸さんが、「(色々あった)オレらが言うんだから間違いない!」と最後に付け加えて、再び会場を爆笑をもたらす。相談者はもちろん、全観客を包みこみながら楽しませる、大人なKAT-TUN! 
 
 

【KAT-TUN2023ライブレポート】亀梨和也さん独占コメントも!1つの到達点ともいえるFantasiaの多面的な世界観_2

 一方、個々のパフォーマンスもますます際立っていた。 
中丸さんの長尺のボイスパーカッションは耳を凝らしていつまでも聴いていたくなるほど、完成度が高く。亀梨さんの毎秒変化し続けるセクシーな表情や身振りからも目が離せないし、上田さんのラップはますますカッコよく、時折、ギターを弾いているようなアクションが似合いすぎていて撃ち抜かれた。 
 ソロ曲は、「幻想、幻想曲」というライブのメインテーマに沿って、3人とも物語性の強い、演出とパフォーマンス。その世界観にも、三者三様の極彩色の個性がくっきりを表れていた。 
  
 3人がますます伸びやかに個性を進化させ表現しながらも、グループとしての幅や奥行きもますます増している。それは、デビューから山あり谷あり時を経ても、今も3人がKAT-TUNというぶれない世界観やイメージを共有してるからに違いない。 



 「個人としては全く違う色でも、KAT-TUNというグループ単位のカラーがある。そこは言葉にせずとも、メンバーの共通認識としてあるんじゃないかな? でも、3人に限らず、スタッフさんも含めて、もっと言えば、ファンの方々も。KAT-TUNというものを大事に思っていて、イメージや世界観を共有してくれているから、オレたちもブレずにいられるんだと思う」(亀梨さん) 

そして、KAT-TUNという旅は続く

【KAT-TUN2023ライブレポート】亀梨和也さん独占コメントも!1つの到達点ともいえるFantasiaの多面的な世界観_3

 ライブは、後半もアルバム曲を主軸にしつつ、ジャニーズJr.時代の楽曲も披露するなど自由な構成でいっときも目が離せない。 
 とりわけ、本編ラスト2曲の流れは秀逸だった。オープニングの映像の伏線を回収するような映像が流れた後、3人で指を鳴らす合図で、アルバムの表題曲「Fantasia」が始まった。そして本編ラストの抒情的な名曲「夢で逢いたい」へ…。客席上空の円形ゴンドラに乗って、移動しながら歌う姿も美しかったが、最後のフレーズまで歌い終えた3人は、煙の中にマジックの如く消えていく姿も、忘れがたく。 
全ては初夏の夜の夢のようでもあり、この先のKAT-TUNという物語に思いを馳せたくなるような……。何ともドラマティックなエンディングだった。 
 
 全てのライブツアーを終えた、亀梨さんに感想を尋ねると、「ライブはナマモノだなと改めて思った」という答えが返ってきた。 
 
「3年ぶりの声出しライブだから、みんなの声が聞けて嬉しかったのはもちろん、ライブは客席の方々との相互作用で作っていくものだなと改めて。いつだって、オレらはファンの方々に動かしてもらってるんだよね。それから、今だからこそ、今年だからこそのライブがやりたかったんだけど、それは叶った。今の思いやモードを思い切り出せて、みんなと共有できて良かったなと思っています」 
 
 今、この時の自分たちを全力で見せてくれるからこそ、彼らのライブには感動的な物語が宿る。次は、どんな彼らと物語に出会えるのか、今から楽しみだ。

撮影/詫間由佳 取材・文/芳麗

最終更新日:

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