美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「ワセリン」の特徴や働きについてコンパクトに解説。


医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ&Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。

≫安全性の高さはピカイチ! 揺らぐ肌の味方「ワセリン」を学ぼう

マルチユースな「ワセリン」の魅力

ワセリンの誕生は、なんと19世紀にまでさかのぼります。石油を精製して作られたワックスが創傷部位の軟膏として使えると広まり、中でも純度の高いワックスがスキンケア用となりました。石油から作られたというとマイナスに聞こえるかもしれませんが、原料の石油は天然成分で、肌トラブルを起こしにくいため、塗り薬の基材としてもよく使われている、きわめて安全性の高い成分です。中でも化粧品には分子量が大きいワセリンが使われるため、肌に浸透するのではなく、肌表面の皮脂膜を保護する役割が大きく、低刺激という特徴があります。

ワセリン

※イメージ図

「ワセリン」がスキンケアコスメで果たす役割は?

半固形のペースト状で、テクスチャーはやや重く感じられますが水分の蒸散を防ぐ効果は高いため、乾燥肌、敏感肌を保護したい時にぴったり。安定性が高く酸化しにくく、肌トラブルも起こしにくいため、クリームや乳液にもよく配合されています。また、粘着性も高いため、リップクリームの基材になることが多いのもワセリンの特徴です。赤ちゃんのおむつかぶれなど、摩擦で生じるトラブルのケアにもよく使われます。

「ワセリン」は使う時に気を付けること……

高いオイルシール効果(油分の膜をはり、うるおいを留める)で敏感肌にも使われますが、肌荒れなどを改善する働きはないので要注意。そのままではテクスチャーもよくなく、密閉感やベタつきが感じられるので、肌トラブルがある場合以外はそのまま使う必要はありません。肌の回復を助けてくれるので、噂に振り回されず正しく使用しましょう。

「ワセリン」配合のスキンケアアイテム、おすすめの選び方&使い方

ワセリンは精製度が高いほど刺激が少なくなるので、顔に使う場合、赤ちゃんの肌や敏感肌に使う場合は白いもの、透明なものを選ぶのがポイントです。粘着性が高く、伸びがいいとは言い難いので肌の上で伸ばすことはせず、手のひらにとって広げ、その手で肌を包み込むようにつけるのがおすすめです。

≫ 美容成分 Q & A  

医師が回答! 美容成分「ワセリンのここが知りたい 」

美容に関心の高い方から募った「ワセリン」についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。

友利 新先生

内科・皮膚科医

友利 新先生

医師(内科・皮膚科)、日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学卒。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。「体で一番大きな臓器である肌を健やかに保つことは、健康を保つことにつながる」をポリシーに、見た目だけでなく心のQOL(生活の質)を上げていく丁寧な診察で人気に。現在都内クリニック勤務のかたわら、美容と健康のための正しい情報を発信する啓蒙活動を、マキアを始めとした雑誌やWEB媒体、テレビなどで多く手がける。2004年第36回準ミス日本。YouTubeやInstagramでの発信も好評。著書多数。最新刊は、YouTubeで紹介したトピックスを中心に美容知識と最新情報を盛り込んだ『女医が教えるキレイのとっておき 読む 友利新チャンネル』(飛鳥新社)。 

Q.ワセリンを多く塗るとベタつきやテカリが気になりますが、ニキビもできやすくなるのでしょうか?(MAQUIA公式ブロガー 美和子さん)


A.もちろんです。ワセリンは油ですから、ニキビができやすい方にはおすすめできません。保湿化粧品には“うるおいをチャージするタイプ”と“油分の膜で保護するタイプ”がありますが、ワセリンは後者です。きれいに精製して不純物を取り除いているので、炎症を起こした肌にも使えますし刺激は少ないのですが、ニキビができやすい方、ベタつきが気になる方があえて使う必要はありません(友利先生)

Q.黄色ワセリンと白色ワセリンの違いは?(YMAQUIA公式ブロガー YOUさん)



A.精製度の違いです。クオリティを高めるほどにグレードが高くなりますから、医師が処方するものは無色透明です。ただし、黄色ワセリンが悪いわけではなく、価格がリーズナブルだったり入手しやすかったりといったメリットがあります。ご自身の肌状態や目的に合わせて選んでください(友利先生) 

Q.どうやって使うのが保湿に効果的ですか?(MAQUIA公式ブロガー ゆーみんさん)
 
A.ワセリンには、たとえばシワを目立たなくするとか、メラニン生成を抑えるといった美肌効果はありません。肌が荒れていてヒリヒリする、やけどをしてしまったといった時にはおすすめの成分ですが、何か効果を期待して使うものとは違います。ノーマル肌の方であれば、マスクで擦れてしまって化粧品がしみるなどといった時に薄く伸ばすような使い方が適していると思いますよ(友利先生)
 

【通販で購入ができる】編集部がお勧めする「ワセリン」の入っているスキンケア&コスメ

「成分の美容的な特徴や働きについての説明は、是非実際のコスメ選びに役立てていただきたい!」という編集部の想いから、ここでは、特に編集部がお勧めする「ワセリン」成分を含むスキンケア&コスメをピックアップしました。
気になるコスメの画像をクリックして、是非試してみて。

取材・文/高見沢里子 イラスト/きくちりえ 構成/有住美慧

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最終更新日:

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