美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「レチノール」の特徴や働きについてコンパクトに解説。


医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ&Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。

≫エイジングケアに取り入れたい美容成分「レチノール」

「レチノール」って何? 美容における働きは?

レチノールは活性型ビタミンA誘導体の総称です。1950年代に合成技術が編み出された昔から有名な美肌成分のひとつで、必須栄養素でもあります。にんじんやトマトなどの野菜に多く含まれるイメージがありますが、レバーや牛乳、卵といった動物性食品もレチノールを豊富に含有しています。

レチノール

若返りできる⁉ 「レチノール」スキンケアの効果

肌や粘膜のターンオーバーを促す働きで知られており、表皮のヒアルロン酸産生もサポートしてくれるなど、その美肌効果は有名。日本では2017年にシワ改善の効能表示が承認され、配合量などの条件を満たした化粧品は「医薬部外品」と謳えることになりました。その後、レチノールを配合したシワケア化粧品が次々に登場したのは記憶に新しいところ。レチノール、レチノイン酸(プロレチノールパルミチン酸レチニル)、酢酸レチニル、リノール酸レチニルなど、さまざまな種類があります。

「レチノール」配合の化粧品選びで気を付けることは?

効果が認められた「医薬部外品」ではありますが、そもそも長い時間をかけて生じたシワは、ケアするのに時間がかかります。美容液1本使ったら劇的に変化するというものではないので、じっくり気長にケアする必要があります。


また、レチノールは敏感肌には刺激となる可能性があり、クリニックで使うような高濃度なものは、赤みや熱感、落屑(らくせつ=皮フのめくれ、剥がれ)が生じるリスクも。国内で市販されている化粧品は、そういったトラブルの可能性も計算して作られているのでリスクは極めて低くなっていますが、個人輸入などで高濃度レチノール配合アイテムを入手して使うのはハイリスク。高濃度なものにトライしたい場合は、クリニックで医師の指導を受けるのがおすすめです。

こんな肌悩みにおすすめ! 「レチノール」配合アイテム

角質細胞の代謝や分裂を促してくれるレチノールは、気になるシワをセルフでケアしたい人にとってとても頼もしい成分。ターンオーバーが促進されるに伴って天然保湿因子が増産される、肌の水分保持力が上がるといったメリットもあります。化粧品として認められた効能はシワ改善ですが、代謝を促す作用があるのでクリニックで毛穴やニキビ治療に使われることもしばしばです。レチノールは紫外線に弱いため、日のあたる場所に置くのは避けるなど保管場所にも気をつけるのがポイント。

≫美容成分Q&A

医師が回答! 美容成分「レチノールのここが知りたい 」

美容に関心の高い方から募った「レチノール」についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。

友利 新先生

内科・皮膚科医

友利 新先生

医師(内科・皮膚科)、日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学卒。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。「体で一番大きな臓器である肌を健やかに保つことは、健康を保つことにつながる」をポリシーに、見た目だけでなく心のQOL(生活の質)を上げていく丁寧な診察で人気に。現在都内クリニック勤務のかたわら、美容と健康のための正しい情報を発信する啓蒙活動を、マキアを始めとした雑誌やWEB媒体、テレビなどで多く手がける。2004年第36回準ミス日本。YouTubeやInstagramでの発信も好評。著書多数。最新刊は、YouTubeで紹介したトピックスを中心に美容知識と最新情報を盛り込んだ『女医が教えるキレイのとっておき 読む 友利新チャンネル』(飛鳥新社)。 

Q.レチノールとビタミンAには違いがありますか? また、シワ改善以外の効果はありますか?(MAQUIA公式ブロガー たけまいさん)



A.ビタミンAが成分の総称で、レチノールはその誘導体。その中にもさまざまな種類があります。肌の調整物質であり、ヒアルロン酸の産生を促す、ターンオーバーを促す、皮脂の分泌を抑えるといった働きがあるので、クリニックではシワだけでなく、ニキビやシミの治療に使われることもあります(友利先生)

Q.「攻めのレチノール」と「守りのレチノール」について教えてください(MAQUIA公式ブロガー Airiさん)



A.レチノールの中でも一番活性が高く(=働きが強い)、攻めのレチノールと言えるのは『レチノール』『レチノイン酸(トレチノイン)』です。最近話題になっている、医療機関専売のゼオスキンなどはその代表で、高い効果が認められていますが、刺激や反応を生じる可能性があるので医師の指導を受けて使うべきものです。

守りのレチノールは、剥離も過剰な反応も少なく、日中も使用できるもの。たとえば『パルミチン酸レチノール』『酢酸レチノール』などがその代表です。リスクが小さいというメリットがありますが、その分、長期間使わないとレチノールの効果を実感しにくいという面があります(友利先生) 

取材・文/高見沢里子 イラスト/きくちりえ 構成/有住美慧

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最終更新日:

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