【医師が監修】フラーレンとは？ 美容に役立つ成分の特徴について－美容成分事典－

美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「フラーレン」の特徴や働きについてコンパクトに解説。

医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ＆Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。

「フラーレン」は炭素原子がサッカーボールのように結合した物質で、高い抗酸化力（活性酸素を除去する能力）で知られています。活性酸素というのは私たちが呼吸によって取り込んだ酸素の一部（一説によればヒトの場合で2%程度）が変化したもので、細菌やウイルスを攻撃する、細胞間のシグナル伝達を担うなど、さまざまな役割を果たしています。

ただ、問題となるのは、この活性酸素が過剰に生まれてしまった場合。正常な細胞や遺伝子をも攻撃し酸化させてしまうため、肌ではシミやしわ、たるみ、ニキビといったトラブルが生じるほか、がんや糖尿病、血管の硬化といった病気にも繋がります。

この過剰な活性酸素を除去する高い能力を有しているのが「フラーレン」で、中でも60個の炭素からなるC60は安定性が高いため化粧品に使用されるようになりました。

「フラーレン」はビタミンCの172倍ともいわれる高い抗酸化力もさることながら、ビタミンCやトコフェロールといった他の抗酸化成分と違い、光や熱でも変性しにくい安定性があるため、一躍人気の成分となりました。

その効果はバリア機能から毛穴、シミ、ニキビ、スカルプケアまで多岐にわたり、さまざまなスキンケアコスメで活用されています。

また、「フラーレン」はその効果が長時間続くという点でも優れており、紫外線照射実験では20時間後も細胞の高い生存率を示したという報告があるほどです。

「フラーレン」は10年以上の使用実績があり、アレルギーや光毒性はほとんど報告されていない、極めて安全性の高い成分といえます。ただし、「フラーレン」は水と結びつきにくく凝集性もあるため、化粧品に配合するのが難しいとされてきました。

誘導体にする、リポソームにする、といった技術の進化によって、現在のように化粧品に配合されるようになったという経緯があります。現在のところ、特別な副作用の報告はありません。

フラーレンは大別すると、「リポフラーレン」（L.F）と呼ばれる油溶性のものと、「ラジカルスポンジ」（R.S）と呼ばれる水溶性のものの２種類があります。さらに、パウダー状でメイク製品などによく配合される「ヴェールフラーレン」（V.F）やリポソーム化のために開発された「モイストフラーレン」（M.F）など、目的によって細分化します。

いずれも、１%以上という濃度基準を満たしているスキンケアコスメには、サッカーボールのような認定マークと欧文ロゴが付けられています。

美容に関心の高い方から募った「フラーレン」についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。

Q.一緒に使うと美肌に効果的な成分はありますか？　また、フラーレンの濃度で気を付けるべき点は何でしょうか？（MAQUIA公式ブロガー Misatoさん）

A.「フラーレンを選ぶときは濃度を気にするよりも、サッカーボールのような認定マークがついているかをチェックしてください。マークは目的に合わせて数種類あるので、自分の肌悩みにあったものを選ぶのもポイントです。また、フラーレンは抗酸化作用が高く、かつ持続力があり紫外線の影響も受けにくいので、どちらかといえば朝の使用が良いかと思います。他の抗酸化作用が高い成分と組み合わせると、よりケア効果が高まると思いますよ」（友利先生）

「成分の美容的な特徴や働きについての説明は、是非実際のコスメ選びに役立てていただきたい！」という編集部の想いから、ここでは、特に編集部がお勧めする「フラーレン」成分を含むスキンケア＆コスメをピックアップしました。
気になるコスメの画像をクリックして、是非試してみて。

取材・文／高見沢里子　イラスト／きくちりえ　構成／木崎ミドリ