「合わせようと思わなくても、合う」という全力スケーティングで氷上を滑り抜け、世界の頂点をきわめていったふたり。軽やかにそしてダイナミックに。ペアならではの美を披露しながらフィギュアスケートの新しい愉しみを届ける次のステージへ。

- 奇跡的な出会いから7年。ふたりで選んだ名曲で夢の金メダルへ
- 誰もが感動した逆襲のフリー。運命の『グラディエーター』
- 圧巻の五輪フリー直前。暗闇で生まれた勝負メイク
- それぞれの氷上デビューから運命的な7年前の夏へ
- ダイナミックに空中を舞うペアだからこその美しさ
- 信頼とリスペクトがつなぐ「りくりゅう」の強い絆
- 氷上でも人生でも最強&最高のパートナーに
- ふたりが目指す金メダルの先の夢
- メッセージ動画もチェック!
りくりゅう。美しく舞い、新たな世界を切り拓くふたり
奇跡的な出会いから7年。ふたりで選んだ名曲で夢の金メダルへ
誰もが感動した逆襲のフリー。運命の『グラディエーター』
2026年2月、ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケートのペア競技。多くの人に「りくりゅう」の名を強く印象づけたのは、あまりにも劇的な逆転金メダルの瞬間ではないでしょうか。勝利を決めた運命のフリーで使われたのは映画『グラディエーター』からの名曲。
「実は当初は別の曲を使っていたのですが、これが最後のシーズンになるという予感もあり、このままでは絶対後悔するからやっぱり『グラディエーター』にしたいと思って。映画の世界を表現するというより曲自体のカッコよさに惹かれてなのですが」と龍一さん。
「プログラム作りが始まると、歌詞が私たちにぴったりだなと、さらに気持ちがのるようになりました。この曲に決めたときから、絶対五輪で優勝するんだ!という思いがあったので、五輪で集大成をお見せできてよかったなと思います」と璃来さん。
「自分たちで運命を切り開く、つかみ取る、運命は手の中にある」というイメージを抱いて滑っていたというふたり。
龍一さんからは「毎試合、毎試合、自分たちで進化させている実感が持てたプログラムでした。これまで音源に手を加えることはあまりしてこなかったのですが、今回は動きに対して音が1秒でも合わない、最後のポーズに間に合わないなどの問題があると、そのつどお願いして、試合のたびに音源を微調整して五輪に臨んでいました」と貴重な裏話も伺えました。

圧巻の五輪フリー直前。暗闇で生まれた勝負メイク
普段の試合は公式練習の後、ホテルに戻って休憩することが多いなか、今回の五輪は時間がなく、試合会場の施設内で本番への準備をしていたそう。
「私はメイクに45分、体をほぐしたりヘアセットするのに45分で、1時間半くらいかけています。ガヤガヤしたところでは休憩できないので、人が少ないところを探していただきました。でも行ってみたら電気がつかなくて真っ暗で。その暗闇の中で、自分の鏡についているライトを頼りにお化粧をしました。
大理石をイメージした衣装なので、メイクもゴールドっぽさを意識しながら自分で考えたものなのですが、とにかく暗すぎて。チークもどれくらい入れたらいいかわからず、いつもの感覚を頼りにもう “一か八か” みたいなお化粧をしてましたね。結構集中してました」と璃来さん。
一方、この間に龍一さんは、前日のショートプログラムのミスで沈んだ気持ちがリセットできていたといいます。「お昼寝して起きて、ウォームアップに行く前に顔を洗ったときですかね。いつものようにヘアジェルで髪をしっかり固めてセットし終えたときには、 “さぁこれで気持ち切り替えて行こう” と思えました」。
こうしてそれぞれ戦う気持ちをオンにしたふたりは、あの大勝負の舞台へと向かっていったのです。

それぞれの氷上デビューから運命的な7年前の夏へ
龍一さんの氷上デビューは4歳。「元気すぎる僕を疲れさせるために母が直感で選んだのがスケートでした」。璃来さんは「ミニーとデイジーがスケート対決するディズニーのアニメ映画を見て憧れて始めました。そのアニメにペアのシーンもあったんですよね」。
ともにシングルからペアに転向してそれぞれに活躍していたふたりの転機は、2019年夏。当時、龍一さんは「もうこれでやめようかな。最後は男子シングルで全日本をめざして終わりにするのも素敵だな」と思っていたそう。
「そこに璃来ちゃんからペアを組むオファーをいただいて、いま思うと本当にすごいタイミングでした」
支え合えるパートナーとの出会いは運命的なもの。'26年夏、彼らが現役引退後に初めてプロデュースしたアイスショーにつけたタイトルも『ザ・デスティニー(運命)』でした。

ダイナミックに空中を舞うペアだからこその美しさ
璃来さんは「小柄だからペアに向いている」と勧められ、小学校3年生から競技を体験するトライアウトに参加していました。ペアにはスリリングな技が多くありますが、「遊園地のジェットコースターが大好きなので、こんなに楽しい競技があるんだ!と最初からおもしろかったです」と璃来さん。
いちばん好きな技は?
「投げられて跳ぶスロージャンプ! うまく着氷できるとスカッとします。着氷した後もスピードが落ちずそのまま流れていくところを見ていただけたら」
「パートナーを空中高く投げて回転させるツイストリフトの浮遊感が好き」という龍一さんも「あの璃来ちゃんのネコのようなジャンプの着氷は本当にすごく美しいなと思います」と太鼓判。

信頼とリスペクトがつなぐ「りくりゅう」の強い絆
お互いを「ネコ」(by龍一さん)、「大型犬のハスキー」(by璃来さん)とたとえるふたりに、お相手の美しいところを聞いてみました。
「私が龍一くんを人としてすごく尊敬している部分は、すべて競技のための生活ができるところ。相手のために頑張れる気持ちだったり、私がネガティブに流されそうになっていたらどんなときも支えてくれたり、自分のためだけでなく相手のために行動ができるところです」(璃来さん)
「璃来ちゃんは切り替えの早さと芯の強さがすごいなって。大事な場面、追い込まれたときでも必ずなんとかする人で、だからトラブルがあっても必ずふたりで強くなって戻ってこられた。そのおかげで獲らなければならない試合は全部獲れたと思うんです。璃来ちゃんとでなければ、僕たちはここまで来られなかった」(龍一さん)
氷上でも人生でも最強&最高のパートナーに
元気がよすぎて母からリンクに送り込まれた少年と、アニメのスケート対決に魅せられた少女が成長し、7年前に初めてふたりで滑った瞬間、抜群の相性のよさを感じて、すぐさま結成された「りくりゅう」組。
「ワンプッシュで進む距離、投げたいときに璃来ちゃんが跳んできてくれるタイミング、自分の脚からのパワーが120%伝わって出る高さ」というのが龍一さんが驚いた技術面でのフィット感。
璃来さんは、「9歳違うので普段の生活でも互いに、より気を遣って過ごせますし、性格が真反対なことも一緒にいて苦ではなかった理由だと思います」と語ります。
「龍一くんは、まじめで先のことまできちんとスケジューリングしているのですけれど、私は結構〝なんとかなる〟で生きていて、でも、だからこそ、ケガで辛かった時期もマイナスにならず、補い合って過ごせていたなと感じます」
こうして次第に氷の上でも、実生活でもお互いがかけがえのない存在に……。

ふたりが目指す金メダルの先の夢
五輪以降、さまざまな晴れの場に招かれても、以前と変わらないふたりの姿。
「僕たちは最初から上位にいたわけではなく、下から這いあがってきたので、いつも初心を忘れず勘違いしないように。気づかないうちにそうなっていたらお互い注意しようねって常に話しています」と龍一さん。
夢が次々と叶っているいま、これからしていきたいことは?
「私たちはカナダに拠点を置いていたので、日本で試合に出場する機会が少なくて。その数少ない試合に皆さんが集まってくださっていましたから、今度は私たちのほうが全国におもむきたいと思っています」と璃来さん。
「体が動けるうちにペアを広めることが大事だと思うので、ペア競技とはどういうものなのか、全国を回ってお見せできたらと考えています。もっとペアを日本に定着させていって、その先にまた違うステージが待っているのかなと思っています」と龍一さん。「りくりゅう」の挑戦は、これからも続きます。

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