本格的な冬がやってきて、温泉が恋しくなる季節に。「MAQUIA」2月号から、美容家・神崎 恵さんが考える、温泉旅行を美しく成し遂げるための立ち居振る舞いをご紹介。
神崎 恵
Megumi Kanzaki
mnuit主宰。美容家としての活動の他、累計120万部を超える著書の執筆をはじめ、雑誌の撮影やトークショー、セミナーなどで全国を飛び回っている。アパレルブランドとのファッションアイテム、ポーチコラボも大人気で、待望の新刊の発売も控え、さらに多忙を極めている。
温泉旅行
湯上がりのつやっぽさと
上気した赤みを品良く宿す
「品」はひととして生きていくうえで、とても重要なものだと思う。ただ、しとやかに話すとか、清楚な服を着るとか、そんなことではなく、そのひと個人を丸裸の単体で見たときの質のよさ。例えば、静止画は美しいけれど、動いたとたん、話したとたん、それが崩れるひと。纏っている空気が濁っていて、なぜか心地悪さを感じるひとに出会ったことがきっとあるはず。反対に、どれだけ質素な服を着ていても清々しく温かい美しいひとは、目にしても一緒にいても心地いい。
心の質はにおいや取り巻く空気の色になって漏れてしまうものだと思う。丁寧に愛され、丁寧に暮らし、丁寧に生きる中で、心や声や体に育まれるこのニュアンス。女として生きるなら絶対に育て、身につけていきたい。丁寧に生きるひとは、ひとにも丁寧に愛されるし、雑に生きているひとは、だらしない女として扱われるから。
恋愛が始まると、この「品」が問われるシーンが多々出てくるけれど、中でもちょっとした国内旅行、温泉宿のシーンではこれがあるかないかが、わかりやすく浮き出てくる。それを身につけているひとは、相手に心地よさを感じさせ、さらなる深い愛を育てるきっかけにもなる。温めている愛がもっと深いものになるよう、心してこの「温泉旅行」を心地よく、美しく成し遂げたい。
宿に着くまでの車内の空気づくりや会話の面白さ、靴の並べ方や服のかけ方、食べ方、寝方。数え上げるときりがない。泊まる=そのひとの生き方の作法がありありと見えるから、気が抜けない。特に、女としての品の力量が試されるのが湯上がり。ここでさらりと美しく浴衣を着て、しとっと湿度の高い顔を見せることができたら、この旅行の目標はほぼ達成できたようなもの。それくらいこのシーンは「女っぽさ」と「品」の両立を、効果的に相手に焼き付けることができるから。
浴衣は崩さず端正に着る。顔は湯上がりの湿度がずっと続くよう、ツヤと透け感を重視。そこに上気した赤みをほんのりプラス。日本の美しさを正しく、そして女っぽく纏う。女としての質の良さは深く永い愛につながるはず。
肌や所作からも
女らしさを滲ませて
しっとり風情を演出
温泉旅行に必ず持参するのが「かんざし」。湯上がりにシンプルにくるっとまとめた髪に、さくっと挿すかんざしの美しさに魅せられてから、お気に入りを持参するように。これ1本で色気のない浴衣も、女っぽく見せてくれる。横顔も、後ろ姿も、途端に女な空気になる。それを挿す瞬間から始まる女っぽさもすき。ひとつひとつの所作や表情までしとっとさせてくれ、風情のある姿になれる。
それに合わせるのは、素肌以上、メイク未満の肌づくり。オンの時間では見せることがなかなかできない、この無垢な質感をたっぷりと見てほしいから、とびきり素肌を綺麗に見せるトーンアップ下地を用意。そこにほんのり色づくチークとリップを合わせれば、完璧。
ロケしたのはココ!
箱根湯本温泉 天成園
全長17メートルの「天空大露天風呂」は圧巻。日帰り入浴プランも人気。●神奈川県足柄下郡箱根町湯本682 ☎0460(83)8511(予約専用)
神崎流・美人レシピ
MAQUIA2月号
モデル・メイク・文/神崎 恵 撮影/增田勝行〈SIGNO〉 ヘア/赤羽麻希〈joemi by Un ami〉 スタイリスト/コギソマナ〈io〉 構成・文/若菜遊子(MAQUIA)
【MAQUIA2月号☆好評発売中】