「ジェンダー・ギャップ」、「ガラスの天井」、「生理の貧困」……ニュースでも取り上げられるキーワード。「女性」であることで私たちにふりかかる理不尽な状況を「仕方ない」と諦めず、生きづらさの理由を紐解くためのヒントを集めました。

マキア読者329人のリアルボイス! なんだか生きづらいのはなぜ? 「女性」をとりまく現実とは…_1

「なんだか生きづらいのはなぜ?」
私たちをとりまく
YES!と言えないことについて考えてみた。

マキア読者329人のリアルボイス
8割が見た目や年齢を理由に嫌な思いを味わい、約3割が「女性だから」という理由で何かを諦めた経験あり。
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Q.世界の中で日本の女性は恵まれていると思いますか?
58.4%がNO
治安のよさや清潔感を認める一方で「同期入社で同じ仕事なのに男女間で給与に差がある」(30歳・メーカー)、「従順な女性がもてはやされる傾向が苦手」(26歳・IT)という意見も。


Q.女性だからという理由でモヤっとしたり、理不尽だと感じたことがありますか?
82.1%がYES
「上司に不倫を持ちかけられた」(32歳・研究)、「職場の掃除は女性がするという慣習」(35歳・流通)、「生理不順で受診したら、医師に独身だから対処しなくていいと言われた」(30歳・金融)など、じつに8割以上がモヤモヤを経験。

私たちをとりまく現実


ジェンダー・ギャップ指数2021
120位/156カ国中
経済・政治・教育・健康の4分野から男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数は、0を完全不平等、1を完全平等としてスコア化。日本は0.656で特に政治分野は0.061で147位。各国が努力を加速する中で遅れをとっている。

男女間の賃金格差はOECD加盟国ワースト
2
OECDによると、日本における男女の平均賃金の格差は23.5%で、国際平均のほぼ2倍。「男女共同参画白書 令和2年版」では、男性一般労働者の給与水準を100とした場合の女性の給与水準は74.3という結果に。


無痛分娩の割合6.1%
日本産婦人科医会「分娩に関する調査」より

世界の無痛分娩の割合

日本での無痛分娩率は2007年の2.6%から2.5倍近く増加したが、海外と比較すると圧倒的に低い。背景には、無痛分娩を取り扱う施設の割合が3割程度しかないことや「お腹を痛めないと愛情が薄くなる」という固定観念が。

管理職における女性の割合

管理職における女性の割合
国際労働機関によれば2018年の世界平均は27.1%。日本は上位の役職ほど女性の割合が低く、厚生労働省の調査では係長級18.9%、課長級11.4%、部長級6.9%。一方で起業家に占める女性の割合は34.2%。

衆議院の女性議員比率

衆議院の女性議員比率
「男女共同参画白書 令和2年版」によれば、女性議員比率の世界平均(下院又は一院議会制)25%に対し、国会議員の女性比率(衆議院)は9.9%で190カ国中163位。さらに、3割以上の町村議会で女性議員ゼロ!

街中での嫌がらせ、ストリートハラスメント経験率

街中での嫌がらせ、ストリートハラスメント経験率70%
「#WeToo JAPAN」の調査では、電車やバス、道路などの公共空間で性的な嫌がらせを経験した女性は70%! 通勤・通学時間が長いほど痴漢被害が多かった。また、男性も30%が被害を経験していることも明らかに。

私たちをとりまく問題について考えるとき、
知っておきたい言葉とトピックス


#Metoo
2017年にハリウッドのプロデューサーによる長年の性暴力やセクハラが報道されると、SNS上で「#Metoo」のハッシュタグが生まれ、性別を問わず自身が経験した性的被害を告白する声が急増。このハッシュタグは、声を上げた被害者たちへの連帯を示す意味でも使われ、世界中に広がっている。


フェミニズム
男女同権と性差別のない社会を目指し、社会的・政治的・経済的な性差別の解消と平等を主張する考え方。女性のための運動と思われがちだが、『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』(エトセトラブックス)では「性にもとづく差別や搾取や抑圧をなくす運動」と定義している。


家父長制
家長(家の代表)である男性が、家長権に基づいて家族を支配する封建的な家族制度。家長権や財産を受け継ぐ家督相続人は原則長男とされた。日本国憲法制定に伴い、1947年に民法が改正されることで廃止となった。


フェムテック
Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語。生理周期の管理アプリや吸水型サニタリーショーツ、ウェアラブル搾乳器など、女性特有の健康問題をテクノロジーで解決するサービスやアイテムを指す。


デートDV
恋人間で起きる暴力の総称。身体的暴力のほか、人前で馬鹿にするといった精神的暴力や行動の制限、デート代をすべて支払わせるなどの経済的暴力、性的暴力がある。被害を受けたら24時間対応の「DV相談+」(0120-279-889)へ。


ジェンダー
生物学的な性別(セックス)に対して、歴史的・文化的・社会的な性差のこと。「男性らしさ」「女性らしさ」といった性役割を「ジェンダーロール」という。


生理の貧困
経済的な理由などで生理用品や生理に関する教育にアクセスできない状態。生理によって外出ができないなどの機会損失にもつながるため、世界的な問題となっている。日本では、自治体による生理用品の無償配布や学校への無償配置などが増え始めている。


ミソジニー
女性や女らしさに対する嫌悪や蔑視を意味し、女性が同性に対して抱く場合もある。『ひれふせ、女たち ミソジニーの論理』(慶應義塾大学出版会)によれば、家父長制に抗おうとする"悪い女性"を罰する政治現象とされる。


ガラスの天井
社会や職場において目に見えない形で存在する、出世や昇進などにおける女性とマイノリティへの差別を指す比喩的表現。天井は上限を、ガラスは透明で先が見えているためぶつかるまで気づけない障壁(バリア)を意味している。


日本はまだまだ変化の途上!
NO!と言うことで得られたもの


婦人参政権
女性の参政権が認められた1945年以前は、治安警察法により女性は政治的演説会への参加や政党への加入が禁止されていた。翌年の選挙では約1380万人の女性が投票し、39人の女性議員が誕生!


両性平等の結婚
1947年に民法が改正されると、妻を法律上「無能力」とする制度が廃止され、妻が自分の財産を自分で管理したり離婚請求したりできるようになる。また、2016年までは6カ月の再婚禁止期間があった。


育児休業
育児休業は、1992年に育児休業法が施行されるまで事業主の「努力義務」で法的拘束力は無し。法律化された背景には、女性の社会進出や核家族化、少子化に伴う労働力不足の懸念などが考えられる。


男女の均等な雇用機会
1970年代まで多かった結婚退職や30代での定年などの差別待遇に対する裁判が各地で起きる。1985年に男女雇用機会均等法(通称)が成立し、1997年の改正でようやく雇用上の男女の差別が禁止に。


ナプキン
27歳の主婦、坂井泰子が水に流せる生理用品の開発を思い立ち、1961年に「アンネナプキン」を発売。ナプキンが生理用品として普及するまで、多くの女性が脱脂綿をあてることで対処していた。


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イラスト/eve 取材・文/国分美由紀 構成/横山由佳(MAQUIA)

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