「ナチュラル」「おしゃれ」といったイメージで大人気のロクシタン。でも実は強い使命感を持って活動していたのです。 この度来日を果たした創設者に熱い思いを詳しく伺いました。
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ロクシタン創設者
オリビエ・ボーサンさん

23歳の時、古い蒸留機で抽出したエッセンシャルオイルを使ったシャンプーを地元南仏のマルシェで販売したのを機に、1976年にロクシタンを創設。現在もブランドの発展に尽力している。


マキア編集長
湯田桂子

2004年にマキアを立ち上げた創刊メンバーのひとり。マキアの合言葉は“、願望実現ビューティ”!

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世界中で人気のシアシリーズ

「ウィメンズゴールド」と呼ばれるとてもリッチなシアバターは、西アフリカ・ブルキナファソのシアの木の実から抽出。ロクシタンのシアシリーズでは、シアの実の優れた保温成分に着目し、さまざまな製品が展関されている。その代表が、世界中でロングセラーを誇るシアバターとハンドクリーム。ベタつかないのに高い保湿力で肌を守る。限定で登場する香りつきも話題に。(右から)シア ハンドクリーム 150mL ¥3400、シアバター 150mL ¥4900/ロクシタンジャポン


ロクシタンが掲げる
コミットメント

湯田 ロクシタンのルーツであるプロヴァンスで取材をさせていただいて以来、お会いするのは約2年ぶりです。今回は、ロクシタンの“これから”を伝えるための来日ですね。

オリビエ 湯田さんのことはとてもよく覚えていますよ。あの時は、ロクシタンを設立したきっかけをお話ししましたね。

湯田 環境汚染への危惧、そしてプロヴァンスでの雇用問題を解決するために、当時廃れていた精油づくりを復活させ、プロヴァンスに新たな産業を興そうと創業されたと聞き、深い感銘を受けました。その創業時の思いが、今年のホリデーコレクションに込められたメッセージ、4つの“コミットメント(約束)”につながっているのですね。

オリビエ そう。1つは「使う人の未来へ、つくる人の希望へ」。創業時から一貫してこだわり続けているシアバター原産国の女性たちの自立支援やフェアトレード、さらにプロヴァンスの農家との協働など、生産に関わるすべての人の幸せを常に考えてロクシタン製品は生産されていることを皆さんにお伝えしたくて。ロクシタンの顔ともいえる「シア」シリーズのシアバターはその最たるもので、西アフリカ・ブルキナファソの女性たちと直接取引をすることで、自立支援だけでなく、国の発展にもつながってきています。

湯田 「シア」シリーズのパッケージはとても素敵ですね。

オリビエ あのパッケージは、消費者に向けて、というより、生産者へのオマージュとして私がデザインしたものです。丸い缶は、アフリカの市場で見た缶詰がヒントです。一度開けた後、何度もリサイクルして使っているブリキ缶こそ、“永続性”を象徴するものだと思いました。チューブは絵の具の容器です。

湯田 あっ、本当ですね!

オリビエ 2つめは、「プロヴァンスの美しい暮らしをあなたに」。ロクシタンの製品はプロヴァンスの植物だけでできているわけではありませんが、製品を使うことで、自然の恵みの素晴らしさを多くの人々に感じてもらいたいと思っています。

湯田 プロヴァンスの美しい自然や豊かなライフスタイルは、私も訪れた際に感激し、目に焼き付いています。ロクシタン製品にはそんな情景までこめられているのですね。

オリビエ そして3つめが「すべての人にこの世界を見る喜びを」。五感に訴えかけるコスメティックを作るブランドとして、目の不自由な人々でも自らの意志で製品を選べるよう、約25年前からほとんどすべての製品に点字表示を行っています。また、視覚障がいを防ぐプログラムを創設、2020年までに世界中の1000万人に支援を届けます。4つめは「美しい自然に学び、大地を育む」。自然環境保護と植物の多様性維持は、ロクシタンが創設以来掲げ続けているミッションの1つ。その環境保護活動のシンボルがイベントでテーマとしたバルーン(気球)です。バルーンは地球のように丸く、同時にバルーンから見た地球は本当に美しい。そして、風に身を任せながらゆったりと進んでいく動きは、この美しい地球を守らなければいけないという気づきを与えてくれるでしょう。

湯田 42年もの間一貫して変わることのない地球、そして自然への敬意が製品に込められているのですね。


コスメを通して地球の
恵みを分かち合えるように

オリビエ 小林一茶の俳句に『蝶とぶや此世に望みないやうに』と詠まれている作品があるのですが、蝶が舞うのは希望のある世界であってほしい。地球の自然環境を守り、美しい希望を持って次の世代につなげていく。これがロクシタンの歴史であり、ストーリーなのです。

湯田 ロクシタンの製品には、そんなオリビエさんの人生観や世界観が集約されているのですね。

オリビエ 決して自分の考えだけで製品ができているわけではありません。ロクシタンには私と同じ思い、ビジョンを描いている人たちが集まっています。そんな彼らの手によって素晴らしい製品が生み出されています。私はあくまでもそのきっかけを作った最初の人間というだけ。この世はもっとエコであるべきだし、エコでなくてはいけない。この世界で本物を生み出す生産者の人としてこれからもメッセージを発信していきたいと思います。

湯田 ロクシタン製品を通して地球の恵みを分かち合う。だからこそ、この地球を守らなければいけない。前回のプロヴァンスでのインタビューでも、そして今回も、オリビエさんのその思い、そしてロクシタンの使命を日本の皆さんにしっかりと伝えていかなくては、と本気で思いました。ありがとうございました。

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ビューティケア以上の
ブランドの価値を

2年前と変わらぬ、魅力的で温かな人柄はそのままに、今回は「ロクシタンの約束」を携えての来日とあって、ウイットに富む言葉から、シリアスさや危機感が伝わってきました。製品を使うことで、私たちも美しい自然に敬意を払い、女性の自立に貢献でき、次世代のために何ができるか考えることができる。本物だけが残っていくこの時代、ビューティ以上の価値をくれるブランドこそ、真に価値あるブランドなのだ、ということを改めて思った取材でした。

ロクシタンの公式サイトを見る>>


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撮影/土佐麻理子 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 構成/湯田桂子(MAQUIA)


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