「女性」であることで私たちにふりかかる理不尽な状況を「仕方ない」と諦めず、生きづらさの理由を紐解くためのヒントを集めました。今回は、読者から届いたリアルな疑問や悩みに専門家がお答え。
「なんだか生きづらいのはなぜ?」
私たちをとりまく
YES!と言えないことについて考えてみた。
こんなときどうする?
マキア読者が実際に経験している
“モヤモヤするあれこれ”への向き合い方Q&A
体編
生理やセックス、妊娠、出産など自分の意思だけではままならぬ体をいたわるために知っておきたいこと。
産婦人科医
遠見才希子さん
「えんみちゃん」のニックネームで、2006年から性教育の講演活動を開始。「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」の共同代表として政策提言も行う。
Q.出産は無痛分娩と決めていましたが、友人に「痛い思いをして産まないと愛情湧かないよ!」と言われ、悲しくなりました。痛みと愛情に関係はあるのでしょうか。
自分の価値観を大切に。
医学的な情報収集も大事!
いわゆる“痛み神話”は、科学的根拠のない都市伝説。「妊娠や出産で大切なのは、その人自身がどういう選択をしたいかということ。経験者も個人の価値観でしか話せないので、『あくまで個人の体験に基づく話なんだ』と折り合いをつけて」
Q.「生理をオープンに」という風潮がありますが、私自身は隠したいと感じています。オープンにする意義って何でしょうか?
メリットは身近な人と
話す選択肢を持てること
「身近な人と話すことで悩みや不安を改善できるメリットはありますが、すべてをオープンにする必要はありません。話す相手や場所などのバウンダリー(境界線)を持って選択できる環境づくりを」
Q.生理不順などの治療にも使われているのに、ピル=避妊目的と思われてしまうのは嫌。
主体的な避妊は、健康を守る権利であり選択肢です
「ピルは女性が主体的に避妊できる選択肢であり、副効用として月経に伴う症状を改善するもの。妊娠を望まない女性にとっての前向きな選択肢です。日本は海外より20年以上も認可が遅く、女性の避妊=恥ずかしいという社会的認識の歪みがあるのも事実。マキア世代からその認識を変えていくことが大事だと思います」
Q.パートナーが、お願いしてもコンドームをつけないタイプの場合、自分の身を守るためにできる避妊方法はありますか?
まずは低用量ピルか子宮内避妊具で自分を守って
選択肢はピルまたは子宮内に装着する子宮内避妊具(IUD/IUS)。「IUD/IUSは数万円かかりますが、5年ほど使用できます。そもそも避妊に協力しないセックスは性暴力。NOと言えない人を責めるのではなく、お互いを尊重できる関係性を」
Q.アフターピルってどのくらい効果があるのでしょうか。副作用も気になります。
服用が早いほど効果も高く
「72時間以内の服用で多くの妊娠を避けられます。実際の妊娠率は1〜2%。重大な副作用はありません。現在は受診が必要ですが、薬局で購入できるかどうかの議論が始まっているので注目していてください」
Q.もしも性被害にあってしまった場合、一体どうすればいいのでしょうか。
#8891(早くワン)に連絡!
#8891は、性暴力・性犯罪被害者を支援するワンストップ支援センターにつながる直通番号。「アフターピルの提供や警察と連携したサポートなども受けられます。同意がない、強要された行為=性暴力です」
MAQUIA9月号
イラスト/eve 田中麻里子 取材・文/国分美由紀 構成/横山由佳(MAQUIA)
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