近頃肌が冴えないのも、なんだかやる気が湧かないのも、知らず知らずに「お疲れ脳」に陥っているせいかも!? そこで、今こそ知っておきたい「お疲れ脳」の基礎知識をお届け。
今日から始められる
お疲れ脳を元気にする新習慣
おくむらメモリークリニック 院長
奥村 歩先生
脳神経外科医。クリニックの「もの忘れ外来」には全国から多くの人が来院。これまでに10万人以上の脳を診断。
くがやこころのクリニック 院長
久賀谷 亮先生
精神科医。イェール大学で先端脳科学研究に携わり、米国でクリニックを開業。マインドフルネスを治療に取り入れる。
Biople by CosmeKitchen ディレクター
谷口智美さん
海外でスローライフを経験。フード、インナーケア、コスメなど世界のオーガニックアイテムに幅広い知識を持つ。
「脳ケア」はニューノーマルの必須美容法!
「口に入れるものは吟味するのに、情報に関しては警戒心が薄く、SNSなどでダラダラと脳に送り続けてしまいがち。メタボ状態の脳は疲れて老けやすいのです」。さらに「脳が老ければ肌も衰える」と奥村先生。谷口さんも「コロナ禍のストレスで脳から幸せホルモンが出にくくなり、気持ちが落ちてしまう人も」とお疲れ脳の加速を指摘。「こんな時代こそ、脳を元気にする方法を覚えて欲しい。お疲れ脳をケアするとパフォーマンスが上がり、自分に自信が湧き、未来に希望が持てますよ」と久賀谷先生。まずは、自分の脳のお疲れ状態を下の項目でチェックして!
脳にまつわる最新TOPICS
デフォルトモードネットワーク
「DMN(デフォルトモードネットワーク)は何もせずぼんやりしているときも働いている、いわば『雑念回路』。実は、脳の消費エネルギーの60~80%を占めています。この回路が過剰に活動してしまうと、お疲れ脳に。心配なことや、他人に対するネガティブな思いなどがアタマから離れず、ふとした瞬間にしなくてもいい反芻をしてしまう。これが脳にダメージを与えるのです」(久賀谷先生)
モノタスク
「人と話しながらスマホでメールするなど、複数のことを同時に行うマルチタスクは、脳をとても疲れさせ、もの忘れやうっかりミスを起こす原因に。現代生活では、知らず知らずのうちにマルチタスクになってしまうので、あえてひとつのことにグッと集中する、モノタスクを心掛けることが必要。ひとつひとつのパフォーマンスが上がり、アタマがパンクすることがなくなります」(奥村先生)
ニューロビクス
「お疲れ脳を回復させるには、具体的なアクションが必要で、ニューロビクスと呼ばれています。計算ドリルなどを行ういわゆる脳トレとは異なり、ぼんやりする時間をつくる、日記を書く、高いところに登るなど脳の機能そのものをアップする方法です」(奥村先生)
可塑性(かそせい)
「脳が自らを変化させる性質のこと。使い方、生活習慣で神経回路が変わり、脳の容積、密度にも変化が。究極に悪い方向へ変化した結果が依存症。お疲れ脳のケアを続けると良い方向に可塑性が働き、何歳になってもポジティブな脳でいられます」(久賀谷先生)
デジタルデトックス
「スマホがかたときも手放せず、情報が過多になっているのはもちろんのこと、5Gに切り替えた人は電磁波の影響が大きくなり、脳に疲労を与えている可能性が。スマホやPCなどのデジタルデバイスと、ある一定時間距離を置くデジタルデトックスが必要な時代です」(谷口さん)
マインドフルネス
「過去でも未来でもなく、『今、ここ』に集中するためのトレーニング法。DMNの過剰活動を抑えてお疲れ脳から脱出する、実践練習です。すぐにアタマがすっきりし、集中力、記憶力がアップ。感情を調整したり、客観的な判断ができるようになるので、仕事や人間関係もうまくいくようになります。習慣にすると、疲れにくい脳へと導き、また免疫力アップの可能性も」(久賀谷先生)
脳の栄養
「脳の60~65%は脂質。お疲れ脳の原因のひとつに、脳に必要な脂質、オメガ3の不足が挙げられます。EPA、DHAを含むイワシなどの青背の魚、亜麻仁油でオメガ3を摂って。焼肉や揚げ物の食べすぎで溜まるコレステロールは、脳の血管を汚す原因になるので気をつけて」(谷口さん)
CBDオイル
「私たちのカラダには、頑張りすぎを自動的に調整するシステムが。そのスイッチを入れるのがCBD(カンナビジオール)という成分で、特に脳が必要としています。CBDは不眠、イライラ、不安などのあらゆる不調に効果的で、コロナ禍で特に注目されています」(谷口さん)
MAQUIA9月号
イラスト/德丸ゆう 取材・文/小田ユイコ 構成/吉田百合(MAQUIA)