夏は抜け毛が増えやすくなるなど、髪のコンディションがダウン。美髪を育成するのに今注目を集めているのが、毛穴の奥の「バルジ領域」という部分。なぜ注目を集めているのか、毛髪科学の専門家に取材しました。

美容ジャーナリスト 小田ユイコの“マニアックビューティREPORT”
今月のキーワード「バルジ領域」
夏は強い紫外線を浴びたり、汗やエアコン乾燥の影響を受けたり、レジャーなどでシャンプーの頻度がアップしたりと、髪に負担がかかりがち。髪を育てる毛穴のダメージは、次に生えてくる髪の成長を妨げてしまう可能性が。
今、次の髪を美しく育むために重要なエリアとして、毛穴の奥の「バルジ領域」に注目が集まっています。
バルジ領域って何をしているところなの? なぜ重要? 毛髪科学がご専門の岩渕徳郎先生に話をうかがってきました。

東京工科大学 応用生物学部 応用生物学科大学院 バイオニクス専攻 大学院教授。農学博士。毛髪科学を専門に研究。大手化粧品メーカーの研究所に長年勤めた経験も。
女性の薄毛を救う今注目の美髪育成ゾーン
——夏は抜け毛が気になるし、そうでなくても額の生え際や頭頂部、分け目の髪が寂しくなってきたなと感じている小田。女性の場合、出産などのライフイベントで髪が抜けやすくなり、悩んでいるかたも。どうしたら髪を増やすことができるのでしょうか?
「髪が抜けてしまっても、毛穴は存在。次にしっかり毛が生えてくることが大事です。髪1本1本が細くなる男性と違い、女性の薄毛の原因は主に本数の低下。本数を増やしていく、つまりしっかり発毛させることが肝心です」と岩渕先生。
——どうすれば、しっかり発毛させられますか?
「髪にはヘアサイクル(毛周期)があり、毛がのびる成長期、毛がのびない休止期、脱毛へと移行する退行期があります。しっかりとした発毛を促すポイントとしていま関心を集めているのが、休止期から成長期にさしかかるタイミング。このとき毛穴の中で、上皮系幹細胞が髪のもととなる毛母細胞を生み出すことが大事なのです」
バルジ領域の肌やせにご用心! 17型コラーゲンがフッサフサのカギ
「その上皮系幹細胞が存在するのが、バルジ領域なんです。バルジ領域は、毛包の途中、立毛筋のつけ根のあたり。ここで上皮系幹細胞から上皮系細胞が生まれ、毛母細胞へと分化していきます。ちなみに、髪の鞘となる部分やキューティクルも上皮系細胞が分化したものなんですよ」。
——髪のもととなる重要な幹細胞が存在するから、バルジ領域に注目が集まっているんですね。
「その通りです。ちなみに、バルジ領域には色素幹細胞もあり、白髪研究でも重要なエリア。バルジ領域は上皮系幹細胞、色素幹細胞のリザーバー、つまり次代の細胞を供給する役割を担っています。だから、バルジ領域がダメージを受けるのは、髪にとってもってのほか」。
——ということは、薄毛や白髪の人は、バルジ領域が弱っているということ?
「可能性大です。バルジ領域で次の出番を待つ幹細胞は未分化な状態であることが重要。そのために必要なのが17型コラーゲンで、バルジ領域の17型コラーゲンが減って頭皮がやせると、出番を待たずに幹細胞たちが分化してしまう」。
——肝心な成長期にさしかかるときに幹細胞が枯渇してしまうんですね。
「バルジ領域を守ることは豊かな髪をキープするカギ。ぜひバルジ領域を念頭に、頭皮や髪のケアをしていただくといいと思います」
バルジ領域っていったい何?
髪を生み出す毛母細胞の大元、幹細胞の基地
毛母細胞は、文字通り髪の母。その毛母細胞の大元となる母細胞が、毛包上皮系幹細胞。上皮系幹細胞は毛包のバルジ領域に局所的に存在。髪に色をつける色素細胞の母、色素幹細胞もバルジ領域に存在する。

休止期

バルジ領域の上皮系幹細胞が分化をスタート
3カ月ほどの休止期のラストで、未分化な状態でバルジ領域に蓄えられていた上皮系幹細胞が上皮系細胞に。
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成長期

分化で生まれた上皮系細胞が毛母細胞に
上皮系細胞が下方に移動しながら分化し、毛母細胞に。この毛母細胞が毛乳頭とドッキングし、成長期へ突入。
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毛母細胞は血管から栄養をもらい毛として成長
毛母細胞は毛乳頭を取り囲むように存在。毛包周囲の血管から栄養や酸素を受け取って、5年程度にわたり毛包で毛髪に分化し、成長し続ける。
バルジ領域にストレスがかかると肝心なときに毛母細胞への分化が進まず髪の本数が減る原因に
どうすればバルジ領域を守れる?
バルジ領域の17型コラーゲンを守って、上皮系幹細胞を減らさない!
上皮系幹細胞をストックしておくために重要な、バルジ領域の17型コラーゲン。岩渕先生が教える17型コラーゲンを守る3つのポイントとは?
\Point 1/
頭皮ケアは朝か日中に!
肌の再生が夜行われるのに対し、髪がのびるのは主に「日中」。頭皮ケアは夜に行うのもいいが、朝か昼間に行うほうが効果的。
ジョンマスター C&A薬用スキャルプエッセンス

(医薬部外品) 50ml ¥5940/ジョンマスターオーガニック
髪の成長期に働きかけ、頭皮の17型コラーゲンのやせ細りをケアする成分を配合。手軽に頭皮ケアできるロールオンタイプ。
\Point 2/
洗いすぎを避け、美肌菌を守るシャンプーを
洗浄力が強すぎたり、頻回にシャンプーを行うと頭皮が乾燥。17型コラーゲンにも影響が。美肌菌バランスを守り、うるおった頭皮をキープ。
ロクシタン バランシング シャンプー

300ml ¥3850/ロクシタンジャポン
プレバイオティクスを配合し、頭皮の美肌菌バランスをケア。
\Point 3/
紫外線の直撃はとにかく避ける
紫外線は顔の肌と同様、コラーゲンを劣化させる元凶。帽子や日傘などで直射を防ぐほか、UVスプレーなどを利用するのもおすすめ。
ダイアン ロータス シャイニーオイル UVヘア&ボディスプレー

SPF50+・PA++++ 90g ¥1320/ネイチャーラボ
髪と頭皮を紫外線から守る。
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MAQUIA 2025年8月号
取材・文/小田ユイコ イラスト/きくちりえ〈Softdesign〉 企画/奈良彩花(MAQUIA)
公開日:





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