ライフスタイルの大きな変容の中で生きる今、改めて実感することの多い“コスメの力”。中でもスキンケアの力が“美肌以上”だということは、今や誰もが感じ取っていることかもしれない。

未来永劫、愛すべき肌は『五感力』が育む!

松本千登世さん

美容エディター

松本千登世さん

雑誌や単行本など、美容や人物取材を中心に活動。『美人に見える「空気」のつくり方』(三笠書房)ほか著書多数。

もう何年が経つのでしょうか? 以前、取材で出会ったある男性シェフが、こんなふうに語っていたことを、今も鮮やかに記憶しています。食を語るのに「味覚」はもちろん、重要。でも、それだけじゃないはず。見て、聴いて、香って、触れて初めて美味しいと感じる、幸せと感じる。つまり、食は五感で味わうもの。「摂る」と「味わう」には、雲泥の差があるんじゃないか……。そして、最後にひと言。「食を『摂る』毎日と、『味わう』毎日と。心身ともに満たされるのは、どっちだと思う?」


じつは私、年齢のせいなのか、時代のせいなのか、最近になって、スキンケアに向き合うたびに、この言葉が頭をよぎるようになりました。なぜなら、スキンケアと食はとても似ていると感じるから。スキンケアにも「摂る」と「味わう」の差があると思うから。その差が肌を通して、心や人生のクオリティを決めると確信するから……。そして、自らに問いかけるのです。このスキンケアを私はちゃんと味わってる?って。


職業柄、日々、化粧品の劇的な進化に触れ、そのたび、感動を覚えます。最新の皮膚科学、こだわりの成分、肌に最大限かつ心地よく届けるアプローチ……。医療をも超えるかのような、肌そのものを変えてしまうかのような。あまりの進化ぶりに、肌は永遠に美しくいられるかもしれない、と思うほど。だからこそ問われるのは、化粧品の「創り手」の思い、誇り、自信を「使い手」である私たちがどう受け取るかということ。肌に塗るだけで終わらせるのか。それとも五感で味わい、心身のすみずみまで届けるのか……。


図らずも、自分自身を見つめる時間が与えられた今という時代だからこそ、より、その差が際立つ気がしています。そう、私たちが育むべきは、五感力。肌思いのスキンケアを五感で味わう力に違いないのです。


冒頭で触れたシェフが、こうも言っていました。「食を五感で味わっている人は、誰より幸せを感じる力がある人だと思うよ」。愛すべき肌、愛すべき私、愛すべき毎日、愛すべき人生。そのために、五感で味わう化粧品を選びたい、五感で味わう化粧品に肌を委ねたい。そう思う毎日なのです。

五感で楽しむスキンケアの魅力とは?

コスメの充実感ってなんだろう。自分軸で考える、スキンケアの役割_1

触れる
毎朝、毎晩、スキンケアをする際に触れる自分の肌。手のひらに落としたときのみずみずしい感触。肌に伸ばすとぐんぐん吸い込まれていくようなお手入れの手応え。肌に、そしてコスメそのものに触れることは、美容の醍醐味であり、癒やしのひとつ。


愛でる
美しい容器、液体そのものの色、美容成分が凝縮されたテクスチャー。コスメには、眺めているだけで心を震わせるほどの美しさがある。「これを1カ月使ったら、きっと私の肌は……」そんな期待感との相乗効果で、肌は作られているはず。


香る
手にとった瞬間のフレッシュな印象、肌になじませたあとの余韻。お手入れの充足感に香りが果たす役割はとても大きい。それは脳へダイレクトに届き、美しさの記憶として刻み込まれるものだから。


味わう
もちろん、コスメを口にいれることはない。でもその手応えを、肌ごたえを感じることは美味しいものを舌で味わう以上の甘美な刺激がある。「これを使い続けてよかった!」、そんなお手入れの充実感を味わえるのは、美容好きだからこそ。


肌の声を聴く
「今日はお肌つるつる! 昨日は早く寝たからかな?」「ちょっとだけザラつく……生理前だから?」日々のお手入れで肌と向き合うことはまさに人生そのもの。スキンケアは肌へ耳を傾けることからスタートするといっても過言ではない。

撮影/大原敏政〈aosora〉 構成・文/山下弓子(MAQUIA)

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