美容業界の視線を一手に集めた、約10年ぶりの新規美白有効成分承認の大ニュース! 当然平坦であるはずもない、ここに至るまでの道程を、成分研究に携わった研究員に伺いました。

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ポーラ化成工業 研究所
フロンティア リサーチ センター
プリンシパルインベスティゲーター
佐々祥子さん

2010年にポーラ化成工業に入社。以来、美白研究ひと筋。けがの治療分野で認知されていた「PCEDP」に美白作用を見出し、そのメカニズムを3年かけて解明。


マキア編集長
湯田桂子

2004年にマキアを立ち上げた創刊メンバーのひとり。マキアの合言葉は“、願望実現ビューティ”!


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新規美白有効成分を配合し、2品が登場

美白ブランド「ホワイトショット」から、新規美白有効成分「PCEDP」を配合したローションとミルクが登場。ホワイトショットでデイリーケアアイテムが登場したのはこれが初めて。(左から)まろやかなテクスチャーを肌にのばした瞬間、パシャッと弾けてスッと浸透するローション。ホワイトショット LX(医薬部外品)150ml ¥11000、肌に吸い込まれるようになじむジェルタイプのミルク。みずみずしいのに潤い力も抜群。ホワイトショット MX(医薬部外品)78g ¥11000/ポーラ(5/24発売)


新規美白有効成分承認に
美容業界が湧いた!

湯田 このたびは、約10年ぶりの新規美白有効成分「PCE—DP」の承認、おめでとうございます。正直新規の美白有効成分はもう出ないと思っていただけにとても驚きました。

佐々 ありがとうございます。私どもも申請はしていましたが、まさかこのタイミングで承認が下りるとは思ってなくて。とてもうれしいことなのですが、社員一同かなりバタついております(笑)。

湯田 この日が来ることを信じて美白研究をされていたのですね。それはいつごろからですか?

佐々 もう、ずっとです。というのも、弊社には98年に美白有効成分として承認された「ルシノール」があり、これが大きな壁になってしまっていて......。ルシノールの美白効果、安全性は本当に優秀で、これと同等程度ではダメ、超える成分でないと、という使命が課せられていました。この壁があまりにも高くてなかなか超えることができず、美白研究チームにとって、まさに暗黒時代でした。

湯田 それを突破したきっかけは何だったのですか?

佐々 今から13年前、研究はチーム制でした。ちょうど隣がシワチームだったのですが、日本初の承認化に向けて燃えていまして。なかなか活性化できない美白チームとシャッフルしたところ視点が変わり、新たな着眼点が研究に加わったのです。

湯田 同じ皮膚の研究でもそんなに違うものですか?

佐々 美白チームは美白専任のため、メラノサイトのチロシナーゼ活性阻害ばかりに目が行きがちでした。ところがシワチームは、シワのメカニズムについて未解明なことが多いため、皮膚全体を俯瞰で見ることが常識でした。そんなシワチームの研究員が美白チームに入ったことで、「シミはメラノサイトだけの問題ではないのでは?」という疑問が生じたのです。ならば、新たに皮膚モデルを作ってみよう、ということになり、そこから新たな美白研究の一筋が見えた、という感じです。

湯田 当時から表皮層へのアプローチを狙っていたのですか?

佐々 もともとそこまでは......。ただ、なぜ表皮細胞がそんなにメラニンを過剰に抱え込んでいるのかについてもう一度立ち返りました。これまでは「いかにメラニンが生成される量を減らすか」を命題に研究をしてきましたが、がらりと視点を変え、「表皮細胞自身が自分を守れ、メラニンに頼らなくてもよくなればいい」という発想の転換をすることで、今回の突破口が見出せました。


美白作用だけでなく、
美肌効果も叶える

湯田 メラニンに頼らずに細胞を守ることはできるのですか?

佐々 メラニンは細胞内にある核を守るために日傘的な役割を果たす存在です。ならば、メラニンに守ってもらわなくても核を守れる強い表皮細胞なら美白に有効ではないか、という発想に。そこでたどり着いたのが「エネルギー美白」です。表皮細胞のエネルギーを高めることでメラニンに依存しない表皮細胞にします。

湯田 面白そう! 具体的には......。

佐々 エネルギーを生み出す経路は2つあり、肌や体で必要に応じた経路を使ってエネルギー産生します。今回着目したのは、表皮細胞に存在しているけれど活用できていないエネルギー産生回路である「クエン酸回路」です。これを活性化することで表皮細胞エネルギーを高めます。

湯田 表皮細胞のエネルギーが高まるのであれば、美白以外の効果も期待できそうですね。

佐々 100名以上のモニターで検証したところ、肌のなめらかさや潤い感、メイクのりなど、94%の方々が美白以外の効果を実感されていました。

湯田 それは頼もしい! もちろん、肌の色も明るくなる?

佐々 はい。一般的な美白有効成分の効能は「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」ですが、「PCE—DP」の美白有効成分の効能は「メラニンの“蓄積”を抑え〜」 となります。シミにもいろいろなタイプがあるため、蓄積を抑えるもの、過剰生成を抑えるもの、どちらからもアプローチするのが理想です。

湯田 エネルギーが高まれば新しい細胞も生まれやすくなり、ターンオーバーも促進するってことですね?

佐々 ターンオーバーが促進することでメラニンの排出も促されます。でも、未熟な細胞ができたりすることはなく、そこは確認済みです。

湯田 そんな「PCEDP」を配合した製品がホワイトショットから2品登場。これで新たな美白の可能性が広がりました。


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偉業達成に祝福を!
肌が元気になる美白

約10年ぶりの大ニュース! 美容業界の歴史を変える快挙にしばらく興奮が冷めませんでした。そして今回お目にかかった立役者、佐々研究員の前向きで爽やかなこと。彼女のお話から、新しいものを生み出すには思い込みを捨て、新たな着眼点を取り入れる柔軟性が必要なのだということを学びました。肌のエネルギーを高めてくれるPCEDPのおかげで、新製品の2品は、使った翌朝から肌が明るくなり、肌絶好調に見える。連用後のシミへの効果が楽しみです。



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撮影/土佐麻理子 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 構成/湯田桂子(MAQUIA)


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