秋にゆらぐのは肌だけじゃない! “物思いの秋”さながら、心の状態も不安定になりがちな季節です。そこで、深刻な事態をくい止めるためのメンテナンス法をご紹介。
肌/体/心 季節の変わり目はみんなゆらぎます
秋ゆらぎを解決する100問100答
ともクリニック浜松町院長 精神科医
福永伴子先生
著書に『わたしのココロにしてあげたいこと。』(朝日新聞出版)。
漢方コンサルタント 国際中医相談員
櫻井大典先生
中医学と心理学で健康にたくましく生きられる生活習慣を提案。
どことなくさみしくなる季節
秋 の 心
“物思いの秋”という言葉があるように、秋は心の状態も不安定になりがち。対策を覚えておいて乗り越えて。
Q.秋になってから落ち込みやすくなりました
A.日照時間が減ることからくる季節性うつかも
「幸福感をもたらす神経伝達物質のセロトニンは太陽光を浴びると増えますが、秋〜冬は日照時間が減るので落ち込みやすく。これを季節性うつといい、その可能性があります」(福永先生)
Q.季節性うつの対策は?
A.早めに起きて日光を浴びる時間をとって
「朝、いつもより早く起きるようにして太陽光を浴びる時間を増やしましょう。セロトニンはウォーキングやヨガなど体を動かすことでも増えるので実践を」(福永先生)
Q.季節性うつの改善にいい食事って?
A.トリプトファンを含む食品をしっかり摂る
「セロトニンの材料となるのがトリプトファンという成分。納豆などの大豆製品、チーズやヨーグルトなどの乳製品、バナナ、肉、魚などに多いので補給して」(福永先生)
Q.夏が終わってしまって、なんだかさみしさや悲しさが……
A.“肺”が弱ると悲しみに襲われやすいので注意
「漢方で秋は“肺”の季節ですが、肺は悲しみの感情とつながり、肺が弱ると悲しみに襲われ、するとさらに肺が疲弊します。肺は乾燥に弱いので、加湿器やうるおす食材などで予防を」(櫻井先生)
Q. 最近、無気力で、やる気が出ない。原因は?
A.セロトニン不足の可能性が
「やる気が出ないのはセロトニン不足の可能性が。セロトニンが不足するといつもは耐えられるストレスにも耐えられなくなり、気力や体力が削られるのです」(福永先生)
Q. やる気を出すには?
A.しんどくても体を動かしてみて
「セロトニンを増やすことが大事なので、多少しんどくても体を動かしてみるのが一番。ヨガやストレッチなどゆったりとした運動でOKなので取り入れてみて」(福永先生)
Q.モヤモヤするときに、するといいことって?
A.映画などを観て、涙を流す「涙活」を
「感動の涙を流すと副交感神経が優位になりリラックスし、モヤモヤが軽減。ストレスが緩和して免疫力もアップします。ネガティブな涙ではなく感動の涙がポイント。感動的な映画などを観て泣く“涙活”を」(福永先生)
Q.ささいなことでイライラしてしまいます
A.イラッとしたら、まずは6秒我慢を
「イラッとする怒りの感情をコントロールするのは脳の前頭葉。怒りを感じてから前頭葉が働いて冷静になるまでに6秒かかるので、イラッとしてもすぐ口に出したりせず、6秒耐えましょう」(福永先生)
Q.しっかり寝ているつもりなのに疲れが取れません
A.23時から午前3時の間の睡眠が大切です
「眠る時間帯はとても重要。五臓の“胆”と“肝”の時間である23時から午前3時に寝ていないと、いくらたっぷり寝ても疲れが取れません。この時間帯は寝ているようにしましょう」(櫻井先生)
Q.不安感が強いのを改善するには?
A.ハグでオキシトシンを分泌&よい香りで気をそらす
「ハグをすると幸福感を高めるオキシトシンというホルモンが分泌され、不安感が弱まります。パートナーとハグしたり、ペットやぬいぐるみを抱きしめるのもOK。不安はひとりで抱え込まず、誰かに話してみるのも大事なことですよ」(福永先生) 「温かく良い香りのハーブティーをゆったり楽しむと、ストレス源から気をそらしてくれます」(櫻井先生)
Q.“気うつ”って何?
A.気(エネルギー)が巡らず、精神不安定な状態
「中医学では気(エネルギー)が巡らない状態を“気滞”(きたい)と言いますが、それが悪化したのが気うつで、精神状態が不安定になり、落ち込みやイライラなどが生じます」(櫻井先生)
Q.気うつになる原因は?
A.ストレスやイライラ、思い悩むことなどが原因
「ストレスがあったり、イライラしたり、うつうつと何かを思い悩んだりすると気滞になり、その状態が続くと気うつになって、さらに精神が不安定になります」(櫻井先生)
Q.気うつを改善するには?
A.体の側面を伸ばしたり、側頭部のマッサージを
「気うつは気を動かすと改善しやすくなります。気の通り道は体の側面にあるので、体の側面を伸ばすストレッチや、手で側頭部を押し流すマッサージをするのが◎」(櫻井先生)
こめかみあたりに指を当て、耳の上、後頭部へと押し流すようにマッサージを。
Q.不安があると悪い方にばかり考えてしまいます
A.「止まれ」の標識をイメージするストップサインテクニックを
「ネガティブ思考が暴走したときは、頭の中に“止まれ”の標識をイメージしましょう。これはストップサインテクニックといい、思考をいったん止めるのに効果的」(櫻井先生)
Q.ストレス発散って具体的に何をすればいい?
A.自然の中でぼーっとするのが一番
「自然の中でただぼーっとしたり、海を見たりするのがおすすめですが、スポーツで汗を流したり、家で映画を観るのもいいですね。暴飲暴食や深酒をしたり、人に愚痴を聞かせたりといった自分や人を傷つける方法は避けましょう」(櫻井先生)
Q.ポジティブ思考になかなかなれない。どうしたらいい?
A.無理にポジティブ思考になる必要はありません
「苦しいときは、無理にポジティブ思考になる必要はありません。肩の力を抜いて、日々の生活を淡々とこなすだけでも十分に頑張っていると考えましょう」(櫻井先生)
Q.マスクをして無表情でいるせいか、気持ちが落ち込みがち
A.マスクの下でも口角を上げて
「笑うと幸福感をもたらすエンドルフィンというホルモンが分泌されます。作り笑いでもOKなので、マスクの下でときどき口角を上げて笑顔を作って」(福永先生)
Q.甘いものがやめられません。よい対策は?
A.砂糖でなく自然の甘みがある食材を摂ること
「胃腸が弱っていると甘いものが欲しくなりますが、砂糖の甘みは胃腸の負担に。さつま芋などのいも類や、砂糖不使用のドライフルーツなど自然の甘みを摂りましょう」(櫻井先生)
Q.心を安定させるのによい方法って?
A.深呼吸などで心と体を同調させる
「心と体がアンバランスでバラバラになると不安定になるので、心と体を同調させることをするのがおすすめ。ゆっくりと吸って吐いてを繰り返す深呼吸が、最も簡単にできる方法です。ヨガや太極拳なども最適」(櫻井先生)
Q.自粛疲れか、孤独感を感じます
A.美容院に行くなどして雑談する機会を増やして
「人は本来、孤独に弱い生き物。雑談をする機会がないと孤独感が増すので、美容院やネイルサロンなどへ行ったりして雑談の機会を増やしましょう。キレイにもなって一石二鳥」(福永先生)
Q.鍵をかけたか何度も確認したり、手洗いがなかなか終わらなかったり。私って変?
A.生活に支障が出るようなら、強迫性障害かも
「鍵をかけたか心配で家を出るのに30分以上かかるなど生活に支障が出るなら、強迫性障害の可能性があるので、精神科を受診して。抗うつ剤などで治療可能です」(福永先生)
Q.リアルなよくない夢を見て、夜中に目覚めます
A.ストレスがかかっているサインです
「リアルなよくない夢をよく見るのは、ストレスがかかっていて睡眠中も交感神経がオフにできていない可能性大。ストレスの原因を遠ざけ、リラックスを心がけて」(福永先生)
Q.つらいことがあったとき、気持ちを切り替えるには?
A.「小確幸(しょうかっこう)」リストを作っておき、実践する
「小確幸とは小さくても確実に幸せになれる物事。推しの動画を見る、オンライン飲みをするなど自分の小確幸をなるべく多く幅広くリストアップし、気分が落ちたら実践を」(福永先生)
MAQUIA11月号
撮影/三宮幹史〈TRIVAL〉(モデル) 藤澤由加(マキアビューティズ) ヘア&メイク/北原 果〈KiKi inc.〉(モデル) 榛沢麻衣(マキアビューティズ) スタイリスト/松尾正美 モデル/椎名美月 Yuki(マキアビューティズ) イラスト/しらいしののこ 取材・文/小田ユイコ 和田美穂 構成/村岡真知子(MAQUIA) 撮影協力/AWABEES
最終更新日: