健康意識の高まりにともなって、いま注目されているキーワードが「自律神経」。寒くなるこれからの季節は、実は自律神経が乱れやすい時季。毎日を快調に過ごすための自律神経に関する豆知識をクイズ形式でご紹介します。
- 自律神経は生命維持に欠かせない機能をコントロールする神経
- Q1 交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすくなる年代はいつ頃?
- Q2 自律神経を乱す一番の原因は?
- Q3 自律神経を整えるために夜するといい運動は?
- Q4 リラックスしたいときに摂るといい食べ物は?
- Q5 ぐっすり眠るためのおすすめアロマは?
緑蔭診療所
東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を行う。循環器専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、糖尿病、アレルギー性疾患、およびメンタル不調などの診療のほか、ハーブ療法やアロマセラピーを用いたセルフケアについての講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ出版)、『専門医が教える 体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『補完・代替医療 ハーブ療法』(金芳堂)などの著書、監修書がある。
自律神経は生命維持に欠かせない機能をコントロールする神経
自律神経クイズを始める前に、まずは、自律神経とは何かを橋口玲子先生に伺いました。
「自律神経とは、内臓の働きや呼吸、代謝、体温調節など、生命維持に欠かせない機能をコントロールする神経で、意思とは関係なく24時間働き続けています。この自律神経は交感神経と副交感神経の2つに分かれています。この2つは相反する働きをもっていて、交感神経はおもに体を活発に動かすときに働き、副交感神経はおもに体を休めるときに働きます。たとえば、心臓の鼓動を速くするのは交感神経の働きで、ゆっくりさせるのは副交感神経の働きです。また、血圧を上げたり、瞳孔を大きくしたりするのは交感神経で、血圧を下げたり、瞳孔を小さくしたりするのは副交感神経によるものです。このように交感神経と副交感神経は、お互いにバランスを取り合うことで体を調節しています。また、1日のうちでも自律神経のバランスは変動し、活動している時間帯には交感神経が優位になり、リラックスしているときや夜寝ている時間帯には副交感神経が優位になります。ただ、自律神経はちょっとしたことで乱れ、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなることがあります。すると、眠れなくなったり、イライラしたり、さまざまな体調不良が起こるので、自律神経を整えることは大切なのです」(橋口先生)
以下から自律神経クイズをスタート。A、Bのどちらが正しいか二択で選んでみて。
Q1 交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすくなる年代はいつ頃?
A:20代以降
B:40代以降
答え:B 40代以降
「一生のうちで交感神経と副交感神経が乱れやすいタイミングは、40代後半です。女性の体では、40代後半頃から女性ホルモンの分泌量が急激に減り、更年期を迎えますが、この変化に自律神経がついていけなくなり、自律神経が乱れて交感神経が過剰に反応しやすくなります。そのため、体がのぼせてほてったり、運動をしていないときでも汗がどっと出たりする、いわゆるホットフラッシュという症状が起きやすくなるのです。ちなみに、それ以外に自律神経が乱れやすいタイミングが思春期です。身長が急激に伸びる思春期は、その体の変化に自律神経がついていけなくなり、血圧がうまく調節できず、立ちくらみが起きやすくなりがちです。学生が朝礼など長く立っているときなどに倒れやすいのはこのためです」(橋口先生)
Q2 自律神経を乱す一番の原因は?
A:睡眠不足
B:運動不足
答え:A 睡眠不足
「自律神経を乱す原因はいろいろありますが、一番の原因は睡眠不足です。ヒトの体には体内時計が備わっていて、ほぼ1日(24時間)周期でリズムを刻んでいます。体内時計と自律神経は深く関わり合っていて、明るくなったら起きて、暗くなったら寝るというような体内時計に沿った生活をしていると自律神経は整います。でも睡眠不足だと、この体内時計が狂ってしまい、自律神経も乱れてしまうのです。睡眠は1日に8時間ほど取るとよいとされているので、それくらいの時間は確保しましょう。運動不足もよくないですが、睡眠不足のほうが自律神経への影響は大きいです。頑張ってきつい運動をすれば自律神経が整うわけではなく、生活の中でちょこちょことこまめに動くようにして、体も頭も“気”もバランスよく使うことが自律神経を整えるコツです」(橋口先生)
Q3 自律神経を整えるために夜するといい運動は?
A:ジョギング
B:ストレッチ
答え:B ストレッチ
「自律神経のリズムからいえば、夜は副交感神経が優位になる時間帯。ジョギングのようなきつめの運動をすると、交感神経が優位になって、寝つきが悪くなりやすいのでNG。これに対してストレッチのようなゆったりした運動は、副交感神経を優位にして睡眠の質も高めてくれるので夜に行うのがおすすめです。ほかには、呼吸法なども副交感神経を優位にできてよいですね。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かった後に行うと、睡眠の質が高まってより効果的です。ジョギングのようなきつめの運動は朝や日中に行いましょう。朝、目覚めが悪く、なかなか活動モードに切り替わらない人は、朝に軽くジョギングや縄跳びなどの運動をするといいですよ」(橋口先生)
Q4 リラックスしたいときに摂るといい食べ物は?
A:ケーキ
B:セロリ
答え:B セロリ
「リラックスしたいときは、ケーキなどの甘いものについ手が伸びてしまいがちですが、これは甘いものに含まれる砂糖に、気持ちをほっとさせる作用があるからです。ただし、砂糖は依存性があるうえ、血糖値を急激に上げるので太りやすくなりますし、食べた後、罪悪感をもたらしてストレスを増やしやすいのでおすすめしません。リラックスしたいときに摂るといいのはセロリです。セロリに含まれるアピインという成分には、副交感神経を優位にし、リラックスを促す作用があるのです。セロリは香りもよく、リフレッシュ効果ももたらしてくれます。イライラしたり、ストレスがたまったときは、サラダや炒め物など、料理にセロリを加えてみてください」(橋口先生)
Q5 ぐっすり眠るためのおすすめアロマは?
A:ミント
B:ゼラニウム
答え:B ゼラニウム
「寝るときによいアロマは、基本的には穏やかな香りで、自分が好きと感じるものならなんでもOKですが、ミントとゼラニウムのどちらかでいえばゼラニウムが正解です。ゼラニウムには心身のバランスを整えて、リラックスをもたらす作用があり、ぐっすり眠るのに効果的。オイルを2、3滴お風呂に入れてゆっくり浸かると◎。ほかにオレンジフラワーなどもおすすめです。ただし、睡眠のためのアロマテラピーには注意点があります。ディフューザーを使ったり、枕に精油を直接垂らしたりするような強く香らせる方法だと、刺激が強くなりすぎて、逆にイライラして眠れなくなる場合も。小さい器に水を入れて、そこに精油を1、2滴垂らす方法なら自然に揮発して穏やかに香って、適度な効果が得られるのでおすすめです。ミントやレモンなどのスッキリした香りは、朝やリフレッシュしたいときなどにおすすめです」(橋口先生)
イラスト/沼田光太郎 取材・文/和田美穂 構成/中村千夏(MAQUIA ONLINE)
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