美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「ビタミンC誘導体」の特徴や働きについてコンパクトに解説。


医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ&Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。

美白ケアにおすすめ! 「ビタミンC誘導体」をレポート

「ビタミンC誘導体」で、ビタミンCの効果を最大限に発揮!

ビタミンCは20世紀初頭にはその存在が明らかになりましたが、当初は壊血病の治療薬という位置付けでした。その後の研究で、ほとんどの動物は体内でビタミンCを合成しているけれど、人間はできないため食事から摂るしかないことが判明。健康に欠かせない成分として研究が進められました。



肌においては、過剰なメラニン産生を抑制する美白作用がよく知られていますが、セラミド産生を増やす働きやコラーゲン生成を促す働きもあり、マルチな美容成分としてさまざまな化粧品に配合されています。



また、高い抗酸化力も備えているので、化粧品として肌に塗布するのはもちろん、経口摂取にも効果が期待できます。還元力があるため、食品の酸化防止剤としても使われています。きわめて安全性が高いビタミンCですが、弱点は安定性に欠けること。熱や光、酸素の影響を受けやすいため、長期にわたり保存した場合はビタミンCの効果が失われやすいのです。そのままの状態では肌に浸透しにくいという性質も備えています。

ビタミンC誘導体の働きを表現したイラスト

※イメージ図

そこで研究の末に生まれたのが、ビタミンCに他の分子を付加して安定させた「ビタミンC誘導体」です。そのままではビタミンCの効果を発揮しないものがほとんどですが、変質しにくく吸収されやすいため、美容成分として脚光を浴びることとなりました。体内の酵素によって付加した分子が切断されることで、美肌に導くビタミンCとしての効果を発揮します。化粧品でよく使われるビタミンC誘導体としてはリン酸-L-アスコルビルマグネシウムや3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステルなどさまざまなものが登場しています。

シミ・そばかすに「ビタミンC誘導体」配合のスキンケアコスメがおすすめ

「ビタミンC誘導体」にはメラニン生成を阻害する働きがあるため、多くの美白化粧品に配合されています。シミやそばかすが気になる人、日焼けから早く肌を回復させたい人にはぴったりの成分といえます。



また、線維芽細胞がコラーゲンを生成する時にもビタミンCを必要とします。シワやたるみが気になるエイジング世代には、3-O-セチルアスコルビン酸など深部に届きやすいものがおすすめです。皮脂の分泌を抑制する働きもあるので脂性肌やニキビ肌用の化粧品に配合されることもしばしば。

「ビタミンC誘導体」を含むスキンケアコスメで肌トラブル! その原因は?

乾燥肌の方が使うと皮脂分泌が足りなくなりつっぱりを感じる場合も。肌の特徴によっては、注意が必要なので自分の肌に合うものかどうかを見極めましょう。

もっと知ろう! ビタミンCの気になる噂を調査

「朝のビタミンCは肌に良くない」という説が流布したことがありますが、これは大きな誤解です。ビタミンCの経口摂取は健康にも美容にもいいことづくめなので、積極的に摂りたいところです。



ただし、ビタミンCが豊富な野菜やフルーツのうち、キュウリやレモン、パセリなどに含まれるソラレンという成分には要注意。これは光感受性が高く、紫外線を浴びるとシミを作りやすいという特徴があります。キュウリでパックした後に太陽の下に出ると、逆にシミが出現してしまう可能性があります。



ビタミンCそのものにはこういった光毒性がありませんし、化粧品で塗布するビタミンCや「ビタミンC誘導体」は、紫外線ダメージからの肌の回復を助けてくれるので、噂に振り回されず正しく使用しましょう。

≫ 美容成分 Q & A  

医師が回答! 美容成分「ビタミンC誘導体のここが知りたい 」

美容に関心の高い方から募ったビタミンC誘導体についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。

友利 新先生

内科・皮膚科医

友利 新先生

医師(内科・皮膚科)、日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学卒。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。「体で一番大きな臓器である肌を健やかに保つことは、健康を保つことにつながる」をポリシーに、見た目だけでなく心のQOL(生活の質)を上げていく丁寧な診察で人気に。現在都内クリニック勤務のかたわら、美容と健康のための正しい情報を発信する啓蒙活動を、マキアを始めとした雑誌やWEB媒体、テレビなどで多く手がける。2004年第36回準ミス日本。YouTubeやInstagramでの発信も好評。著書多数。最新刊は、YouTubeで紹介したトピックスを中心に美容知識と最新情報を盛り込んだ『女医が教えるキレイのとっておき 読む 友利新チャンネル』(飛鳥新社)。 

Q.さまざまな種類がありますが、自分の肌に合ったビタミンC誘導体成分の選び方があれば教えてください(MAQUIA公式ブロガー tamaeさん)



A.ビタミンC誘導体には水溶性と脂溶性、さらにその両方の性質を備えたものがあります。肌は皮脂でコーティングされているので水溶性のものは浸透しにくいのですが、いったん浸透すれば即効性が期待できます。ただし、高濃度の場合はかさつきを感じることがあるので、その方の肌が乾燥しやすいのかによって合う、合わないが変わってきます。脂溶性のビタミンC誘導体には浸透しやすく即効性があり、持続力も高いという特徴があるのですが、構造上、どうしてもビタミンCの量は少なくなります。一長一短があり、その方の肌タイプとの相性もあるので、使ってみるのが一番の近道です。化粧品は“アンチエイジング用”“ニキビ対策”など目的によってタイプ分けされているのでそれを目安に試してみてください(友利先生)

Q.ピュアビタミンCとビタミンC誘導体の違いを教えてください。どちらのほうがケア効果が高いのですか?(MAQUIA公式ブロガー Misatoさん)



A.ピュアビタミンCの美肌効果は高いのですが、酸化しやすいというデメリットがあります。そのため。マイクロカプセルに入れる、リポソームに入れるといった特殊な技術が必要になりますし、その分高額にもなります。別の分子をくっつけることで安定させているビタミンC誘導体は、変質しにくく扱いやすいというメリットが。どちらが良いかは、ご自身の予算や化粧品の扱い方、肌悩みを元に考えると良いでしょう(友利先生) 

Q.シミにはビタミンCとレチノールのどちらが効果的ですか?(MAQUIA公式ブロガー 菜穂さん)
 
A.レチノールは厳密にいうと、美白作用があるとは言えません。ターンオーバーを促す働きがあるので、結果としてシミの排出を助ける可能性はありますが、クリニックで美白を希望される方にレチノール単体をお出しすることはなく、ハイドロキノンなどの美白剤と一緒に使われます。シミをケアしたいのであれば、ビタミンCをおすすめします(友利先生)
 

取材・文/高見沢里子 イラスト/きくちりえ 構成/有住美慧

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最終更新日:

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