吉高由里子さんがまとうムードは、いつだってやわらかだけど、発する言葉のひとつひとつには、しっかりとした芯が通っている。揺らいでも決して折れることのない、しなやかな強さの秘密に迫った。

吉高由里子 インタビュー

【INTERVIEW SPECIAL】
吉高由里子
自由に、しなやかに、美しく。

吉高由里子さん

吉高由里子さん

1988年7月22日生まれ、東京都出身。ドラマ『花子とアン』、『東京タラレバ娘』、『知らなくていいコト』、『最愛』など、話題作に多数出演。2023年1月からドラマ『星降る夜に』がスタート。2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』では主人公・紫式部を演じる。

Q 人生の選択で迷った時の決断方法は?

A 基本的には直感。仕事でもプライベートでもあんまり迷わないかも
やりたいことのための努力は必要だけど、やりたくないことのためにがんばる必要はないと思うんです。だから、決断は早いほう。もしも悩んだとしても、その時期の自分を誰かの中に残したくないから、相談もしないかな。

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Q.吉高由里子さんらしくいるために大切にしていることは?

A 自分をちゃんと甘やかすこと。とにかく寝ていたいと思った時は、ベッドの中で寝返りしか打たない日もあります(笑)。ただ、ずっと甘やかすと本当に歯止めが効かなくなっちゃうから、「今日は寝るけど、明日はちゃんと働こう」みたいに、ルールを決めたりすることはしています。「お酒はあと何杯まで」とか、「友達とご飯に行きたいから、その前に次の仕事のための宿題を終わらせよう」とか、本当に小ちゃいことですけどね。そうやって甘やかす時間とがんばる時間を切り替えられる自分であることが嬉しいし、いつももう1人の自分と約束している感覚です。

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Q 30代になってから変化したこと、成長したと思うことは?

A トゲが削ぎ落とされた感じがします。若い頃は小さい自分を大きく見せたり、むき出しの感情をさらけ出して人と衝突することもありました。小型犬みたいな感じ。すごく凶暴だったし、滑稽な部分もあったなと思います。今はなるべく怒りの感情を出したくないし、悲しむ姿を人に見せたくない。楽しんだり喜んだりするのは、大切な仲間といる時だけでいいと思う、エコな感情になってきたかもしれません。いろんな人とコミュニケーションを取ろうと必死だった20代と比べるとエネルギーはないから、人でもモノでも守るべき大切なものは、あまり増やしたくない。密度を求める年代になったと思います。

Q 吉高さんにとっての宝物はなんですか?

A 記憶。大切なことは自分の中にちゃんとあるし、いつも一心同体。特に大事な記憶は……秘密(笑)

本当に大切なことは、自分の中にしまっておく

Q これからの目標や野望を教えてください。

A 今は舞台『クランク・イン!』に出演中で、1月からはドラマ『星降る夜に』がスタート。そして2024年からは大河ドラマ『光る君へ』が始まります。この流れは、きっとキャリアの中でも最初で最後なんじゃないかなって思うんです。だから「2度とやりたくない」とか「悔しいから違う仕事で塗り替えたい」とか、そういうメンタルで終わりたくない。「やり切ったからちょっと休もう」と思えるくらいの、心が潤った形の充実さで終われたらいいなと思います。プライベートでは、自宅とは別にリフレッシュできる場所を見つけたい。愛着が持てる場所が人生に増えたら、心がすごく豊かになる気がします。


MAQUIA12月号
撮影/ISAC〈SIGNO〉 ヘア&メイク/面下伸一〈FACCIA〉 スタイリスト/藤本大輔〈tas〉 取材・文/松山 梢 構成/木下理恵(MAQUIA)

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