取材当日、完成前のフォトブックのゲラを目の前に、
そのページをめくりながら「懐かしい」「若いね」
そんな言葉が飛び出す場面も。
そこで「一番印象に残っているのは?」とたずねると、
すぐ返ってきたのが「江戸川での撮影」という答え。
江戸川は亀梨和也が生まれ育った
パーソナルな場所。
自分のルーツを辿るべくそこを訪れた、
2014年の写真。
撮影中には、幼い頃から彼を知るご近所さんが
通りかかり「和くん!」と
声をかけられる、そんな場面も。
まさに“素”の亀梨和也が写し出されている。


江戸川と渋谷。亀梨和也を形成した場所での撮影


――江戸川の写真も印象的でしたが、今作は渋谷での撮り下ろし写真からスタートしていますよね。渋谷もまた、亀梨さんにとって特別な場所だったりするのですか?

「渋谷って、アイドルの亀梨和也を形成した場所であるというか。アイドルの亀梨和也を語る上で外せない街なんですよ。それこそ、初めて江戸川から一人で降り立った場所であり、レッスンや仕事で通った街であり……。今と違って昔は、特定の場所でファンの子から手紙やプレゼントを受け取るってシステムがあったんだよね。それが“ここは山下君のファンが集まる場所”、“ここは生田君のファンが集まる場所”って、それぞれ決まっていて。オレのそれが、渋谷の『西武』脇だったの。最初は2〜3人しかいなかったファンが、気づいたら何百人になっていたりして……。今回、そこでも撮影しているんですけど、なんか感慨深いものがあったよね」

――レギュラーの連載回はもちろん、本誌での特集を再編集したページ、さらに撮り下ろし写真やロングインタビューも。盛り沢山な内容になっていますね。

「昨年の初ソロコンサートのために製作した『〜Follow me〜』ショートムービーの制作時に撮影したスチール写真もこの本にはパッケージされているんですけど。それも個人的には印象深い。連載でいつも写真を撮ってくれている若木信吾さんが監督&撮影を担当してくれて。連載スタッフの協力のもと完成したムービーでもあるので。自分にとって重要なポイントで、KAT-TUNの活動もそうだけど、ここまで掘り下げて写真を撮ってくれたりっていうのは、なかなかないからね。こういう活動をしていく中で、そんな自分の“居場所”がある、それは心強いことだなって。改めて感じる瞬間でもあったというか」


スタートが違ったら、違う一冊になっていたと思う。


――ロングインタビューでは「連載を始めた時期が良かった」と語られていますよね。

「それまでは、世間に晒され注目されることに戸惑い悩んだり、殻に閉じこもることが多かったけど、尊敬すべき大人達との出会いが自分を変えた。そこから、第二の人生をスタートさせることができたというか。ちょうど、その頃にスタートしたのがこの連載で。また、『Going! Sports & News』の仕事をスタートさせたのもその頃で。それもまた、自分のベースにしっかりなっている。同時期にそういう仕事に巡り合えたのも、その縁もまた、振り返ると面白いなって」

――違う時期に連載をスタートさせていたら、この本もまた、違う一冊になっていたと思いますか?

「と、思います。それ以前の自分だったら、ここまで正直に話せなかったと思うし。ここまで自分を切り取れなかったと思う」


いろんな意味でドラマティックだった時間。
それも隠さず“ありのまま”掲載したかった


――今回、連載を本にまとめるにあたって、亀梨さんからオーダーがいくつかあったと聞いています。そのなかのひとつが「ありのままを全て掲載してほしい」だったと。

「この7年間、本当にいろんな出来事があったんだけど。それについても、この連載では正直な気持ちで語っているんですよ。でも、当時とは状況が変わっていたり、いろんな大人の事情があったり……いざ、本にするってなると難しい状況が生まれたりする。でも、そこを削ってしまったら、この本の意味が薄れてしまうんじゃないかなって」

――この約7年は亀梨さんにとって濃厚かつドラマティックな時間だったと思います。メンバーの脱退、KAT-TUNの充電期間突入、そして、再始動……本当にいろんな出来事がありましたよね。そして、それに対するリアルな思いもちゃんとこの本に綴られている。

「こうやって、過去の連載を見返していると “良いとき”ってあまり残っていないんだよね。逆に色濃く残っているのが2014〜2015年。この頃は、映画『バンクーバーの朝日』や『ジョーカー・ゲーム』、ドラマ『セカンド・ラブ』と役者の仕事が充実していて。もうひとつ、自分のベースになる何かを捉えた実感を得ることができた時期でもあるんですけど。同時に、いろんなことを深く考えた時期でもあるんですよ。そういう意味でも、忘れられないのが“風”の回。それを挙げる理由は……ここで語るのではなく、読んで感じてもらいたいんですけど。でも、そんな時間を過ごし、覚悟を得たからこその2016年と2017年だったというか。すごく意味のある時間でもあったと今は思うんですけどね」


取材・文/石井美輪

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