胃弱エディターが突撃! 胃を強くするためにできること5選_1

緊張すると胃やお腹が痛くなる、もっと食べたいのにすぐお腹がいっぱいになってしまう……そんな悩みを抱える“胃弱”なマキアエディターの横山が、胃を強くするべく専門家に直撃取材! 健やかな胃を手に入れるためのポイントを教えてもらいました。

「胃」に対する数々の疑問に答えてくださったのは……
三輪洋人先生

兵庫医科大学病院 副院長

三輪洋人先生

医学博士。兵庫医科大学内科学消化管科の主任教授も務める。専門は消化器内科で、2013年に初めて病名がつけられた「機能性ディスペプシア」の診療ガイドラインを作成した第一人者。著書に『胃は歳をとらない』(集英社)など。

中国医学研究家、国際薬膳師、管理栄養士。「薬膳教室心味」主宰。西洋栄養学と薬膳を融合し、体・心・医学・料理をつなげて現代人の生活スタイルや体質に合わせて指導する独自のスタイルが人気。

まずはチェック! こんなあなたは"胃弱"かも?


□緊張するとお腹のあたりがキューっと痛む
□朝起きた時、昨日の夕食が消化されていない気がする
□お腹が空いていたのに少し食べただけでお腹いっぱいに感じる
□お腹が空きすぎても胃がいたい
□食べ物を見ただけで胃がもたれる
□姿勢が悪い
□食べるのが早い


まずは胃にまつわる疑問を解消!

Q「胃が弱い」とはどんな状態のことですか?
A胃がきちんと働けていない状態です


「何らかの原因によって胃がうまく働かなくなってしまい、すぐに調子が悪くなる状態が続いていることを指します。もし胃の不調が続いていたら、それは胃が弱っている可能性が高いですね」(三輪先生)
「たとえば、食欲がわかない=受け入れる力が弱くなっている胃がもたれる=消化がスムーズにいっていない、など食べたものを受け入れ、消化して、次の臓器に送るという胃の働きが弱っている状態です」(瀧本先生)


Q胃の不調の原因は?
A「自律神経」が影響している可能性大


「50代以上はピロリ菌が原因のケースも多いですが、マキア世代であれば暴飲暴食やストレス、不規則な生活などによる自律神経のバランスの乱れが大きく影響していると考えられます。特にストレスを抱えていると交感神経が優位になって消化・吸収が抑制され、血流悪化によって胃への酸素や栄養素の供給も減少し、不調の原因に。胃潰瘍や胃がんのように内視鏡で見てわかる病気(器質的疾患)と違って原因がわかりにくいため、“原因不明”という不安からさらにストレスを感じるという負のスパイラルに。けれど、外的な要因が原因だからこそ、日頃のセルフケアでの予防が可能といえます」(三輪先生)


Q胃を弱ったまま放っておくとどうなりますか?
A QOL低下だけでなく病気につながる可能性も!


「胃の不調は、消化器全般に加えて他の臓器や精神状態を示すバロメーターであり、胃潰瘍や胃がん、肝臓や膵臓など他の病気が隠れているケースもあります。たとえ病気ではなかったとしても、胃の痛みや不快感はQOLの低下につながってしまうので対処が必要です」(三輪先生)
「働きが低下していると食事からうまく栄養を摂取できないので疲れやすくなったり食べたものをエネルギーに変えられない場合は太りやすくなることも。また、ストレスなどが原因で気の流れが滞ってしまうとお腹が張る状態が続き、炎症の原因につながってしまいます」(瀧本先生)



Qどの程度の症状で病院へ行くべきですか?
Aつらいと感じたら迷わず受診を


「便秘や下痢、なんとなく胃が重苦しい、胸やけがするといった症状が週に2〜3回以上続いている場合や、症状が強くてつらい時市販薬を試しても改善しない場合は必ず消化器内科や胃腸科、内科を受診しましょう。胃カメラや超音波などの検査で“異常がない”と知るのも大切なこと。しっかり検査をしたという安心感で不調が改善される人もいるんですよ」(三輪先生)

Q胃がつらいのに検査で異常なしとなるのはなぜ?
A 「機能性ディスペプシア」かもしれません


「じつは、不調の原因がハッキリとわかる人はむしろ少数です。胃弱の症状が慢性的に続いていても、胃カメラ(内視鏡)検査では異常がないことがあります。働きすぎや風邪、ストレスなどによる一時的な不快感であれば問題ありませんが、胃が痛い・重いなど、胃の不快な症状が1週間に2〜3回以上、1カ月ほど慢性的に続いているなら『機能性ディスペプシア』かもしれません。この病気は特に女性に多く、日本の10人に1人が発症していると言われます。ストレスなどによる自律神経のバランスの乱れが原因で、消化不良や胃の痛みといった症状が数カ月〜数年続くこともあります」(三輪先生)

今日からできる! 胃を元気にする5原則

1.生活リズムを整える

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「不調の原因となる自律神経の乱れを防ぐポイントは、生活リズムをできるだけ規則正しく整えること。決まった時間に⾷事や睡眠をとるように⼼がけると不規則な⽣活による心身のストレスが減り、胃の不調改善につながりやすくなります。また、食べた直後に眠ると夜中に胸やけを起こしたり、睡眠の質が低下したりするので、眠る3時間前までには食事をすませるようにしましょう」(三輪先生)

2.食事はゆっくりと、腹八分目を守る

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『もう一品、何か食べたいな』と感じたら食事の終えどきと覚えてください。また、毎日の食事の時間がだいたい同じだと体がリズムを覚えるので、次の食事に向けて食べすぎることなく終えられます」(三輪先生)
「咀嚼は消化の第一段階。胃が弱い人に限って食べるのが早かったり、量を食べすぎていたりするので、よく噛みながらゆっくり食べる意識を持ちましょう。また、冷たいものは胃の動きを止めてしまうので、できるだけ控えて」(瀧本先生)

3.「和胃」の食材の力を借りる

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「中医学では、消化を促進して胃を強く元気にしてくれる食材を『和胃』や『健脾』と言います。代表的なもので言うと、おくらやキャベツ、鶏肉、じゃがいも、大根など。消化しやすいように加熱してスープにすることで、食材の力を余すことなく取り入れられます。こうした食材を意識して取り入れることで、胃の状態も少しずつ変わっていきますよ」(瀧本先生)
LG21乳酸菌は、機能性ディスペプシアの主な症状である早期満腹感や胃痛、胃もたれなどの軽減効果があることが報告されています」(三輪先生)

4.猫背を改善する

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「日常の動作でいちばん気をつけて欲しいのが猫背です。猫背や前かがみの姿勢が続くと胃が圧迫され、胃液が逆流しやすくなります。また、横隔膜の働きを低下させ、逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなどの胃の不調にもつながります。日頃から姿勢を意識するのはもちろん、胃の不調がある時は“食後に前かがみの動きを避ける”ことも意識しましょう」(三輪先生)

5.胃腸薬や漢方薬を上手に使う

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「漢方薬で言うと、『半夏瀉心湯』は食欲不振や消化不良『胃苓湯』は急性胃腸炎に、『加味逍遙散』はストレス性の胃痛にも使われます。『四君子湯』は胃が虚弱な人に適用されます。ただし、胃の不調には種類があり、原因の見極めが大切なので、自己判断せず薬剤師に相談しましょう」(瀧本先生)
「胃痛や胃もたれ、胸やけなど胃酸の過剰分泌が原因の不調には『胃酸分泌抑制薬』空腹時の胃痛や吐き気には『胃粘膜保護・修復薬』ストレスや緊張で痙攣するような痛みがある時は『鎮痛鎮痙剤』など、胃薬も症状に応じて薬の種類が異なります」(三輪先生)

もっと胃のことを知りたい人にオススメ!

胃弱エディターが突撃! 胃を強くするためにできること5選_7

『胃は歳をとらない』(集英社新書)三輪洋人著
胃は加齢の影響を受けない臓器だった⁉️  胃の不調や疲労の原因はもちろん、「機能性ディスペプシア」や「逆流性食道炎」の謎、今日からできるセルフケアをわかりやすく解説した一冊。胃が痛い、胸やけがする、食べると重苦しい、酸っぱいものが込み上げる……そんな不調を感じているなら必読!

イラスト/田中麻里子 取材・文/国分美優紀 企画・構成/横山由佳(MAQUIA)

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