女性の一生で、波のように変化する女性ホルモン。40代は女性ホルモンが減っていく事実を受け入れ、賢く波を乗り切って、今と未来に備える世代。

上手に乗りこなそう!
女性のホルモン変化

東京・表参道のMET BEAUTY CLINICで婦人科、フェムケアを担当。産婦人科専門医。女性のライフステージに寄り添った治療が評判。
女性ホルモンの変化を知っておけば不調に対応しやすくなる!
「女性の一生に大きく関わる女性ホルモン。体の成熟、エイジングも女性ホルモンの変化とともに起こり、喜びや幸せを感じさせてくれる一方、体と心の不調や病気とも密接に関与しています。40代は忙しくて社会的な責任が増えるにもかかわらず、女性ホルモンが減っていき不調が現れやすい世代。女性ホルモンの波を知って、上手に乗りこなすことでより快適なライフスタイルと未来が見えてきますよ」
女性ホルモンの変化とは?
一生でティースプーン一杯といわれるほどごくわずかな量しか分泌されないのに、女性のライフスタイルと健康に大きな影響をおよぼす女性ホルモン。女性ホルモンには2種類あって、それぞれに役割が。今一度知っておきたい!
エストロゲン
子宮内膜を厚くして、妊娠に備えるホルモン。女性らしい丸みのある体をつくり、コラーゲン産生を促して美肌にも大きく関与。自律神経を安定させ、血管、骨、脳などを健康に保つ。
プロゲステロン
エストロゲンにより厚くなった子宮内膜を柔らかくキープして、妊娠しやすい状態に。水分や栄養素をため、妊娠が成立したら維持する役目も。体温を上げ、食欲を増やす。
【 生理 】
個人差はあるものの、40代になるとそれまで28日周期で順調に来ていた生理が不順になり、40代後半になると顕著に。いつ来るかわからない不安に加え、出血量も急に増えたり、少量の出血が長く続いたりしてストレスに。リラックスできる環境をととのえ、突然の出血に備えて生理用品を常備。
【 筋肉や体つき 】
エストロゲンが減ると筋肉の柔軟性がダウン。また、糖質の多い食生活でタンパク質の摂取量が減ると、筋肉がやせて筋力が落ちる傾向に。骨盤底筋群がゆるみ、子宮脱などのリスクも。ヒップやバスト、顔の輪郭もたるむことで全身のプロポーションが変わる。適度な運動とともにタンパク質もバランスよく摂る食事を心がけて。
【 睡眠 】
40代になるとホルモンのアンバランスで自律神経が乱れ、ベッドに入っても寝つけない、眠りが浅い、夜中に目が覚める、早朝目が覚めるなどの睡眠の悩みが起こりがちに。すっきり目覚められず、昼間に眠くなってしまうことも。起床や就寝のリズムをととのえ、適度に運動したり、お風呂にゆっくりつかるなどメリハリのある生活を。
【 メンタル 】
40代になりエストロゲンが減ると、幸せホルモンのセロトニンが減少。ノルアドレナリンやドーパミンといった興奮系のホルモンの抑制が効かなくなって、イライラ、クヨクヨ、うつうつしがちに。適切な食生活と運動でストレス管理をする一方、ホルモン補充療法など医療の力を借りる手も。
【 骨 】
エストロゲンの低下で骨の代謝が乱れ、もろくなる。美意識が高くUVケアが行き届いていることで、逆に骨の代謝に欠かせないビタミンDが不足することも。適度な運動で骨に刺激を与えて代謝をサポートしつつ、カルシウムやビタミンD不足にならないよう食事の見直しやサプリの検討も。

思春期
卵巣からエストロゲンの分泌がスタート。女性としての機能が育ち月経が始まる。急激にエストロゲンが増え、月経が安定せずだらだらと長い出血が続いたり、月経の頻度が減ったり、下腹部痛や腰痛など深い症状が出たりすることも。
性成熟期
規則的な周期で月経があり、ホルモン分泌の変動も安定したパターンに。妊娠、出産に適し仕事や趣味にも積極的に関われる時期。育児や社会的な責任によるストレスも増加。30代半ばを過ぎると徐々に卵巣のエイジングが始まる。
更年期
卵巣機能の低下に伴い、エストロゲンの分泌が徐々に減少し、40代後半ごろから急激に低下。月経周期が乱れ、50歳ころに閉経へ。ほてり、のぼせ、発汗などの症状が現れ、イライラ、クヨクヨしたりと、不安定な症状が表れる人も。
老年期
卵巣の機能がストップし、エストロゲン分泌がなくなる。それまでエストロゲンが守ってくれていた体の各器官の機能が低下し、さまざまな病気のリスクが上昇。太りやすく、血圧、血糖値が上がりやすく、骨が弱くなる傾向に。
MAQUIA 6月号
取材・文/小田ユイコ 構成/山下弓子(MAQUIA)
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