同じ悩みを抱える人たちのために、更年期の実体験を発信し続けている有森さん。その経験を、医師とともに振り返ります。

更年期、どう過ごしてきた? どうすべきだった?
俳優・有森也実さんの場合
“メンタルの不調や変化は全部“ホルモン”のせい”
「最初に体の変化を感じた頃は、自分が変わっていくことに怖さを覚えたり、不安になっていました。でもそれは全て“ホルモン”のしわざ。自分の意思ではコントロールできないものだし、“受け入れる”というのが私の選択でした。更年期はいつかは終わるもの、落ち着くものだとわかると、むしろ安心したんです。だって原因は“ホルモン”なんですから。今の不調は必ず終わると知ったからこそ、向き合うことができました。更年期は今までの自分や生活を見直し、新しいこと、やってみたいけれどできなかったことなどを始めるきっかけにしてもいいかもしれません」(有森さん・以下同)
不安定な心も更年期の症状?
メンタル
体の不調以上に、メンタル面での変化との向き合い方が、有森さんも課題だったそう。ホルモンとメンタルの関係を医師とともに紐解く。
有森さんに起こったこと
大好きだったバレエレッスンに突然行けなくなり、大きなショックを受ける
「バレエは私の体と心をニュートラルにしてくれる、なくてはならない存在です。ところが更年期に入ってから、突然バレエレッスンに通えなくなりました。なんとか途中まで向かったのに、引き返してしまったことも。本当に悲しかったですね。結局2年くらいはバレエができず。その後、自然と通えるようになったのですが、今でも理由がわからずじまいです」
「美しさ」や「女性らしさ」と「年齢を重ねること」の乖離に悩み、鏡を見て不安になることも
「更年期を経て女性らしさが失われていくのでは? という不安も。当時はまだ『女優』という呼称で、美しさを求められる職業だったのでとても葛藤がありました。私は自己肯定感が高い方ではないので、バレエレッスンで自分をニュートラルに戻すことが多かったんです。だからバレエができなかったこともメンタルに大きな影響が。でも同時に、いつまでも同じ美しさを求め続けることに疑問を抱き、ナチュラルに年齢を重ねることや、自分のエイジングを受け入れるきっかけにもなりました」
音楽の好みが変わるなど嗜好の変化があった
「この時期は、不思議とドラマティックなものに惹かれる傾向にありました。ベートーヴェンが最後につくったピアノソナタや、映画『ピアノ・レッスン』のサントラなどをよく聴いていましたね。叙情的な音楽を耳にしたり、アーティスティックなものを目にしたくなる。私の辛い気持ちに自然と寄り添う方法だったのかもしれません」
対策としてやったこと
新しいことに挑戦し、今までと違う世界を知る
「バレエレッスンに通えないことで新しいダンスを始めたこともプラスに。私はもともと『新しく始めることの方が簡単』というマインドなので、今まで習ってこなかったダンスにチャレンジしたことで、視野を広げるきっかけになりました。ペアで踊ることで人に触れたことも、気分が変わり更年期のメンタルに良い影響を与えたように思います」
信頼できる先輩に相談し、マインドを切り替えるきっかけに
「更年期を自覚したばかりの頃、初めての経験で自分に何が起こっているのかわからず不安に……。そんな時に信頼する先輩に相談をしてみました。『大丈夫よ、みんな通り過ぎることだから』という彼女の一言がとても救いとなりました。更年期はいつか終わる、ずっと続くわけじゃない。気持ちがラクになって、自分なりに向き合おうと思えるように」
香りの力を借りて、ノンストレスな生活を心がける
「“女性らしさ”への不安は人それぞれ。じゃあ私が女性らしくいられるって何? と思った時に欲したのが“香り”でした。ゼラニウムの香水を纏うと、やわらかい気持ちになれるんです。ゼラニウムが女性ホルモンにも良いなんて噂を耳にしたからかもしれません。あとは好きな香りの石鹸を集めたり。好きな香りに囲まれることで、気持ちのカームダウンにつながりました」

有森さん愛用のフレグランス。エジプト産とレユニオン島産の2種のゼラニウムのエキスを中心に構成したスパイシーな香り。ディプティック オー ド トワレ ゼラニウム オドラタ 100ml ¥24750/ディプティック ジャパン
MAQUIA 6月号
撮影/nara〈vale.〉 ヘア&メイク/福沢京子 取材・文/松井美千代 構成/山下弓子(MAQUIA)
衣装/本人私物
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