腸内や口内のように、肌にもビ~ッシリと棲息する「菌」。「MAQUIA」5月号では、その「菌」が美肌を育む理由に迫ります。
肌の調子は「美肌菌」たちのごきげん次第
美肌のための「菌活」始めよう
腸内や口内のように、肌にもビ~ッシリと棲息する「菌」。実は、その「菌」こそが美肌になれるかどうかのカギを握っているって知ってた?
答えるのは...
皮膚科専門医
慶田朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。皮膚について深い知識を持ち、最先端の皮膚科学を常に研究。
「肌菌の実態がクリアになったのは、最近のこと。ひとりの人の顔には約200菌種の常在菌が存在。これは腸内細菌にも劣らない豊かなフローラ。肌を確実に支配しています」(慶田先生)
Q そもそも「美肌菌」には
どんな種類があるの?
A 主に3種類。アクネ菌にも「美肌菌」が
いわゆる善玉菌と言われるのは、この3種。えっ?アクネ菌はニキビのもとだから悪玉菌では、と思うはず。実はアクネ菌には菌種が多数あり、その多くが美肌に欠かせない役割を果たしている!
表皮ブドウ球菌
皮脂を分解して
天然のうるおいに
美肌pH、弱酸性に保つために欠かせない菌。皮脂を脂肪酸とグリセリンに分解して、天然の美容液に。
サーモフィルス菌
セラミドを作り
バリア機能をUP
最近注目されている美肌菌。セラミドを作り出す酵素を持ち、肌のバリア機能修復に欠かせない。
アクネ菌(善玉)
悪玉菌の増殖を防ぐ
皮脂をエサにプロピオン酸という代謝産物を放出。この酸が悪玉菌の増殖を抑え、肌を弱酸性に保つのをサポート。
Q 肌によくない菌もある?
A 「汚肌」を引き起こしかねない菌、あります
ニキビを引き起こすアクネ菌や黄色ブドウ球菌、マラセチア菌は、ともすると「汚肌」を引き起こしかねない菌。これら悪玉菌と呼ばれる菌はいずれも常在菌で、美肌菌が健在なら悪さをしないでおとなしくしているもの。「汚肌菌」に変貌させないことが大事。
黄色ブドウ球菌
一気に増えると
敏感肌の原因に
それほど悪さをしない菌だが、洗顔のしすぎや乾燥で肌がアルカリ性に傾くと一気に増え、敏感肌の原因に。
マラセチア菌
背中ニキビや
フケの原因菌
カビの一種で、春以降増える菌。背中ニキビやフケを引き起こすマラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎の原因。
アクネ菌(悪玉)
古い角質を好む
大人ニキビのもと
ニキビの原因になるのは、悪玉に属すアクネ菌の一部の株。皮脂が多く、古い角質に囲まれた毛穴で繁殖。
Q 乳酸菌を食べると、お肌にもよい?
A 腸内環境が整うと美肌菌好みの肌に
乳酸菌を摂って、直接美肌菌フローラが変わることはないけれど、腸内環境が改善することで、皮膚バリアが改善。水分量が上がることもわかっている。美肌菌にとって居心地のいい環境になるので、肌にとっても菌活になるといえる。
Q 肌の「菌活」って、
美肌菌の数を増やせばいいの?
A 美肌菌の「割合」を増やし、多種多様に
肌の総菌数はある程度一定で、美肌菌と悪玉菌がせめぎ合っている状態。美肌菌にとってよい環境を整え、悪玉菌にとって居心地の悪い環境にして、美肌菌の割合をアップ。多種多様な細菌社会(フローラ)をつくるのが肌の「菌活」。
Q キレイな人の美肌菌を移植できる?
A 一緒に生活すれば自然ともらえるかも
胎内の赤ちゃんの肌は無菌。生まれてくるときお母さんの産道で菌をもらい、スキンシップでフローラに。大人になった今も、一緒に暮らしていれば自然と菌を共有し、フローラが似てくる可能性あり。