MAQUIAは今年で創刊20周年。そんなスペシャルイヤーを記念し、美の賢人たちのインタビューを連載中。6回目となる今回は、俳優、監督、プロデューサー、エッセイストなど様々な顔を持つ桃井かおりさんが登場。渡米して約20年、アップデートし続ける彼女の生き方とは? 洋服のように人生を粋に“生き崩し”、唯一無二な存在であり続ける、彼女の人生美学に学びます。

桃井かおり インタビュー

MAQUIA20周年記念連載
「明日の私をMAKEしよう」#6
誰の真似でもない、
「桃井かおり」という生き方

桃井かおりさん

俳優、監督、プロデューサー、エッセイスト

桃井かおりさん

ももい かおり●1951年4月8日生まれ、東京都出身。1971年に映画『愛ふたたび』に出演し、映画デビュー。2005年公開のハリウッド映画『SAYURI』出演を期に、アメリカに拠点を移す。2006年には自身の短編小説を映画化した『無花果の顔』で長編映画監督デビュー。2作目『火 Hee』(2016年)は、ベルリン国際映画祭他、数々の国際映画祭に入選。監督としても12の賞を受賞。3作目の公開を控えている。

洋服を「着崩す」ように、人生も「生き崩し」たい

過去や物事にも執着せず今までの自分を捨てる70代


グラスに注いだビール片手にメイクルームを飛び出し、颯爽とカメラ前に現れた桃井さん。まるでダンスをしているかのように、リズミカルに撮影が進む。54歳で渡米し、64歳で結婚。現在73歳。LAで暮らし、アメリカで俳優活動を続けている。

「50代って確実に“飛びどき”だったんだよね。若い頃とは違って、だいたい先が見えてるじゃない。日本にいたら、ただいるだけで大御所扱いされちゃうし、努力しなくても仕事は来る。このままだと落ちぶれて行くだけだなって思ったの。“桃井かおり”を日本で使い倒したし、お金もあって自信もある今だなって」

そこから日本での地位や名声には執着はせず、アメリカへと渡った。

「母が死んだとき、遺品とか色々整理して、4tもゴミを出したのよ。それが70代に入って最初の仕事だったのね。そこから“死”が一気に身近に感じられて。それまでは何かを買うのが楽しくてしょうがなかったんだけど、ジュエリーもブランドバッグも、自分にとって不要なものだって気付いたの。夫も“荷物を全部抱えていたら歩けなくなる”って考えだから。トランクに入る程度の荷物で生きられればいいねって、今はどんどん整理してる。過去に囚われず、物にも執着しない。身軽になった今、どこへでも行けそうじゃない?  着物や服を“着崩す”ように、人生もそうやって“生き崩し”ていきたいよね。そう思うと、長生きって洒落てるのよ。蛇革だって古い方がいいんだから」

蛇だって古いほど柄がいいんだから、年は食うべきなんだよね

「桃井かおり」という生き方について。「洋服を『着崩す』ように、人生も『生き崩し』たい」_2

MAQUIA 10月号
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/稲垣亮弐〈マロンブランド〉 スタイリスト/関口琴子〈ブリュッケ〉 取材・文/谷口絵美 構成/火箱奈央(MAQUIA)
カーディガン¥55000/SSENSE(OUAT) ブラウス¥35200/AKIKO OGAWA パンツ¥53900/BRAND NEWS(leur logette) 靴/ブリュッケ
※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。

最終更新日:

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