多彩なジャンルの作品に出演し、常に新たな表現に挑み続けている佐藤 健さん。本質をすみやかに見極め形にする、その明晰な眼差しで捉えた自身の使命や恋愛に伴う痛みと希望を描いた主演映画『四月になれば彼女は』への想いを語ってもらいました。

佐藤健 インタビュー

彼が語る恋、そして愛
佐藤 健
その瞳に映るもの

お話をうかがったのは
佐藤 健

俳優

佐藤 健

1989年3月21日生まれ、埼玉県出身。2006年に俳優デビューし、ドラマや映画など多くのヒット作に出演。また、アパレルブランド『ABYTS』のプロデュースも手がけている。素の表情が覗くYouTubeチャンネルは登録者数230万人超え。

初の長編に挑む監督に
寄り添う気持ちで見守った

「『四月になれば彼女は』は、映画化が確定する前から関わらせてもらった作品。台詞に対して意見を伝えることは他の作品でもしていますが、今回は物語の構成に関する部分や“監督はどなたに依頼するのがいいと思う?”といった話にも参加させてもらいました。山田智和監督はミュージックビデオを多く撮影している方で、長編映画の撮影は今回が初めて。彼にとっては難しいチャレンジで、プレッシャーもすごかったんじゃないかな。というのも、彼のように感性で仕事をしていくアート系の人は、言葉で人に伝えることをあまり得意としない場合が多いんですよね。でも、映画監督は俳優やスタッフに対して自分の意図を言語化する必要があって。今までそういうことをしたことがなかった山田監督がしどろもどろになりながらも説明するものの、そもそも人に伝えること自体が難しい作業じゃないですか。真っ直ぐな性格の長澤(まさみ)さんとかに『えっ、どういう意味ですか?』とフラットに質問されている姿を見て、『いいねいいね、新人監督はそうやって成長していくんだ』と思いながら見守っていました(笑)。

完成作品は映像美が本当に素晴らしく、特に印象的だったのがウユニ塩湖とラストの海のシーン。登場人物の感情に寄り添った音楽も非常にエモくて、藤井 風さんが書き下ろしてくれた『満ちてゆく』という主題歌が最後に映画そのものを包み込んでくれているように感じましたね」

いいことばかりではないけれど、
喜ばしいこともあるのが“恋愛”というもの

「今回の作品は、映画『世界から猫が消えたなら』や『億男』でご一緒した川村元気さんの小説が原作。『世界から猫が〜』では命、『億男』ではお金、今回は恋愛と、いずれも僕たちが自分ではコントロールできないものがテーマになっているんです。ご本人から聞いたところによると、“人間にとって身近にあるものなのに、ちゃんと理解できているのかがわからない。だからこそ、その正体を少しでも知りたい”という思いから書き始めているのだそう。その感覚にまず共感できるし、自分の中でぼんやりとしか掴めていなかったものが小説の中の台詞でズバッと言語化されて“ああ、こういうことだったのかも”と腑に落ちる瞬間もあって。そういった新しい発見が得られるところが川村さんの作品の魅力なのかなって思います。

今作も、他の登場人物も含めて共感する部分がかなりありました。どこか必死になりきれない部分は今の時代の空気と重なるし、僕自身ももがいている姿を人に見せたくないっていう気持ちがたしかにある。でもやっぱり、いいことばかりじゃないけれど、その分喜ばしいこともあるのが恋愛だと思うんですよね。この作品にはそういった恋愛の全てが詰まっていると思いますし、個人的にも“恋愛とは”、“愛を終わらせない方法とは”と考えながら撮影期間を過ごしたことで、今まで掴みきれなかった恋愛というものに対する理解が深まった気がしています」

もがいている姿を人に見せたくない。
そんな気持ちが、自分の中にあります

「この作品には恋愛の全てが詰まっている」──佐藤 健さんが語る映画『四月になれば彼女は』への思い_2

Information

「この作品には恋愛の全てが詰まっている」──佐藤 健さんが語る映画『四月になれば彼女は』への思い_3

映画『四月になれば彼女は』
3月22日公開
川村元気のベストセラー小説が映画化。精神科医の藤代 俊(佐藤 健)の元に、初恋の相手から手紙が届く。同じ頃、婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)が姿を消してしまい……。ウユニ塩湖やプラハの美しい景色を交えながら、愛とは何かを探し求める男女の姿を描く。3月22日より全国東宝系にて公開。

MAQUIA 4月号
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/大木利保 スタイリスト/酒井タケル 取材・文/真島絵麻里 企画・構成/萩原有紀(MAQUIA)
ブランチダブルイヤーカフ ¥2970/エルエイチエムイー 60'sゴールドウォッチ ¥7700、ゴールドブレスレット ¥9900、60'sモヘアショール ¥33000/ラムホールベルーフ その他/スタイリスト私物
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