映画『TANG タング』で主演を務める二宮和也さんのインタビューをお届け。役者としてひとりの人間として、彼にとっての「自分らしさ」とは。

二宮和也 インタビュー

愛情深く、飄々と流されず自分の場所に立ち続ける人

二宮和也の自分らしさ

カメラの前に立つなり「あれ、お久しぶりです。何年ぶりかな」とカメラマンと談笑。それと同じテンションで「はい、なんでも聞いてください」とインタビューが始まる。相手が誰でも、いつでもどこでも、隠さず作らず偽らず“二宮和也”として存在する人。役者として、ひとりの人間として、彼が語る“自分らしさ”とは?



Q
若い頃は、何が好きなのか、何が似合うのか、自分はどんな人間なのか、自分のことがよくわからないからこそ生きづらさや居心地の悪さを感じることも。「年齢や経験を重ねるにつれ、自分のことがわかり始めてラクになってきた」と感じる人は多いのですが、二宮さんもそのような感覚を抱いたことはありますか?


「僕自身はそこまで自分に興味がないので。生きづらさみたいなのは感じることもなかったかな。まあ、僕の場合は環境が特殊だったっていうのも大きいですかね。幼い頃から、表舞台で活動していたし。何かを偽ったり隠したりしようとしたところで、「そんなものはすぐにバレる」っていうベースで生きているから。そういう意味では、強くなったというか、図太くなったというか。また、この仕事は周りにプロフェッショナルが揃っているから。服も髪型も僕に似合うものを見つけてきてくれるわけで。「自分に何が似合うか」なんていうのも、あんま考えたことないしね。僕ね、「自分らしさ」とそんな真剣に向き合ったことがないんだと思う。人間と関わるのが億劫なタイプだからこそ、誰かと比べたり、誰かに憧れたり、誰かを羨ましく思ったりもしない。そもそも、その誰かと出会うような人付き合いが普段まずないから。だからこそ、こんなふうに生きれているんだと思います(笑)。」



Q
「あの人、自分らしく生きているな」と思うのはどんな人?


「自分らしく生きている」と言ったらやっぱり、犬や猫になるんじゃないですかね。街中で見かけるたびに思いますもん。「思うがまま、生きているなぁ」って。なんか、難しく考えてしまいがちだけど、「自分らしく」ってそれくらいのハナシだと思うんですよ。今日から、自分らしく、自由に、やりたいことをやってくださいと言われたらどうなるのか。犬とか猫を見ていればわかりますけど、大体が寝ていますからね(笑)。僕はあれが“世の理(ことわり)”だと思っているんですけど。やりたいことって、そんなもんなんですよ。それでいいんだと思うんですよ。そんな大仰に考えなくてもいいんですよ。猫がいっぱいいる島とか行ってみてくださいよ。もうね、ほとんどが寝ているんだから(笑)。」



Q
後輩から「二宮君みたいに自分らしく生きられる人になりたい」と相談されたら、どんなアドバイスをしますか?


「今も昔も、大勢が集まるような場所に顔を出したりしないし、同年代や年下の役者さんが集まる飲み会みたいなのも行かない。そもそも「教えてください」と言われるような人に出会う機会も少ないので。正直、「教えてください」と言われたところでなんて答えていいのかわからない。例えば、お芝居に関して聞かれたとしたら……。わりと自分的によかったなと思っているのは、人間と関わる瞬間が主に仕事だったこと。お正月に一週間くらいの休みがあったりすると、普通に声が出なくなったりしますからね。喋らないから、声の出し方を忘れちゃう(笑)。それくらい、他人に会わない生活を送っているからこそ、仕事現場で出会う人間に興味がわく。相手の目を見たり、動きを見たり、癖のようなものを感じたり。自分自身もそこでようやく動いたり喋ったりするので。それがお芝居の生っぽさに生きているんだと思います。「教えてください」と言われたらいくらでも教えるけど、こういうハナシを後輩にしたところで、参考になるとは思えないし、なかなか説明もしづらいし。また、僕なんかを参考にしてしまうとなかなか尖った人になっちゃう可能性があるから。「気をつけたほうがいいぞ」って個人的には思いますけどね(笑)。」

二宮和也

1983年6月17日生まれ、東京都出身。1999年、嵐のメンバーとしてデビュー。その後ドラマ、映画、バラエティなど活躍の場は多岐にわたる。俳優業では『母と暮せば』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。映画『ラーゲリより愛を込めて』が今冬公開予定。MCを務める『ニノさん』(日本テレビ系)は毎週日曜10時25分~放映。

『TANG タング』

『TANG タング』
ゲーム三昧で、妻に家を追い出された主人公・健(二宮和也)と、記憶をなくした迷子のロボット・タング。2人は失ったタングの記憶を取り戻すため、世界を巡る冒険に出かけることに! その先で見つけた〈人生の宝物〉とは―? 2022年8月11日(木・祝)公開。配給:ワーナー・ブラザース映画

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取材・文/石井美輪 構成/萩原有紀(MAQUIA)

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