「MAQUIA」2月号から、海外へ行くときのロングフライトシーンにぴったりな神崎流美人レシピを伝授。機内で、さりげなく上品な女に見せるあれこれをレクチャーします。
神崎 恵 Megumi Kanzaki
mnuit主宰。ビューティライフスタイリストとしての活動の他、累計90万部を超える著書の執筆をはじめ、雑誌の撮影やトークショーなどで全国を飛び回っている。最新著書『MAKE ME HAPPY vol. 2』(扶桑社)も大好評発売中。
ロングフライトメイク
健康的な美しさと保湿を両立させる上空ベース
2016年夏、久々に息子たちだけを連れて主人の出張先まで10時間のロングフライトをしたときのこと。いつもなら、ぴたりと並ぶ隣の席は主人。何気兼ねすることなく、家にいるようにリラックスして過ごすことができていた。けれどそのとき隣に座るのは初めて見る知らないひと。とにかく迷惑をかけないようにと張り詰めた気持ちでいたところ。「うちにも男の子がふたりいて、もうすぐ3人目の男の子が生まれるんですよ。やんちゃには慣れているので大丈夫ですよ」と涙ものの救いの一言。今日から海外赴任で、来週には奥さんと息子さんたちが来てくれること。3人目は女の子が良かったけれど、やっぱり男の子だったこと。奥さんが可愛くてしかたないこと。
そんな話をほんのりしながらの数時間。ふと、フライトでたまたま隣の席だったひとと結婚した友人を思い出した。その報告を受けたときには、みんなで「そんなことあるもんかね〜」なんて夢も希望もない返しをしたけれど。考えてみると、ない話ではないかもしれない。例えばお互い独身で、例えば一人旅で、例えばちょっと気が合ったりして、例えば嫌いじゃない見た目だったりして、例えばその時間がちょっぴり楽しかったりしたら。しかも、普通ではあまりないほどの至近距離、その上食事も眠るのも一緒だなんて。それってデートを3~4回するくらいの内容量。
だから思う。機内ではいい女でいよう。うわべのいい女ではなく、生活そのものからいい女。機内は部屋みたいなもの。食べて、寝て、起きて、トイレにだっていく。生活のにおいが透けてみえる時間と空間だからこそ、すべてを丁寧にさりげなく上品に。それごとまるっといい女でいたい。
勿論、見た目だって重要。見た目はいつだって恋の入り口になるから。窮屈な機内でも圧迫しない軽やかさと、ナチュラルさを感じさせるメイクが基本。そして別れ際には、ほどよいメイク感で「キレイな女」を見せつける。空の上で始まる恋……やはりあるかもしれない。
MAQUIA2月号
モデル・メイク・文/神崎 恵 撮影/三瓶靖友 ヘア/赤羽麻希 スタイリスト/大島 愛 構成・文/若菜遊子(MAQUIA)