角層を制すればすべてうまくいく!

「整った角層を模倣する」夢のような発想を実現、そんな驚きのニュースが到着。いま熱い角層の最前線とは?


安倍佐和子さん

ビューティエディター

安倍佐和子さん

サイエンスからホリスティックまで幅広い知識を活かし、スキンケアトレンドを分析&発信。 

小田島秀樹さん

カネボウ化粧品 (研究員・スキンケア担当)

小田島秀樹さん

UVアイテムの研究、海外赴任を経て、2017年よりスキンケアの研究開発を担当。 

角層は人類の進化に必要不可欠だった



安倍 角層は人類が進化する過程で手に入れたというのは本当ですか?
小田島 はい、私たち人類が角層を進化させたのは、生物が海から陸上へとあがる過程。すぐさま始まったのが乾燥との闘いで、厳しい外的環境から肌を守るために角層を進化させる必要があったんです。
安倍 角層を持つ生物は、ほかにどんなものがありますか?
小田島 両生類や爬虫類にも角層がありますが、環境が異なるので人の角層とは異なります。
安倍 確かに。私たち人類は、進化の過程で角層そのものを進化させていったんですね。
小田島 とくに角層が持つ水分保持機能とバリア機能はとても重要です。
安倍 厚さわずか0.02mmと言われますが、その責務は重大なんですね。
小田島 顔の皮フの場合、角層は10数層程度でほかの部位と比べて、2倍ほど水分蒸散量が高いと言われています。水分保持機能やバリア機能が低下すると防御力が弱まり、うるおいを逃がしやすく、トラブルの要因に。見た目の美しさはもちろん、生物学的にも角層ケアは大きな課題なんです。

安倍佐和子責任編集「THE角層JOURNAL」_1

角層は人類の進化と密接な関係にあった


生命の起源に遡れば、乾燥という過酷な環境変化から身を守るために、角層を進化させながら生き延びてきたことがわかる。 

kanebo

美肌の鍵、角層ケアに革命

安倍佐和子責任編集「THE角層JOURNAL」_3

角層を模倣する新処方で、理想の角層へ


安倍 角層ケアの重要性がわかると、理想的な角層を手に入れる方法も知りたくなります。今回、新知見があると伺いました。
小田島 生体模倣技術からヒントを得てたどり着いた角層模倣発想です。
安倍 生体模倣?
小田島 地球上の生物が環境に順応する過程で手に入れた機能から学ぶ ことです。ハチドリのホバリングからドローンといったように、生体模倣技術を応用することで、従来とは異なるアプローチのスキンケアが実現できないかと考えました。 
安倍 角層模倣とは整った角層を模倣しようという発想ですね? 
小田島 はい。もともとカネボウ化粧品は80年代から生体模倣技術を研究してきました。長年にわたり研究を積み重ねていく中で、角層のような層構造を持つ製剤を探索していましたが、今回、試作を繰り返す過程で、塗膜がきれいな層構造を保ち、水分蒸散抑制効果の高い製剤にやっとたどり着いたんです。
安倍 奇跡的な出会いと言えそう!
小田島 角層模倣発想実現のために最もこだわったのが、浸透性に優れたローション状製剤の開発です。 
安倍 それはなぜでしょう? 
小田島 今まで水分を与えて逃がさないためには、どうしても化粧水と乳液のステップが必要でした。でも角層模倣から着想した新処方なら一品でも可能だと考えたからです。
安倍 2ステップ分のお手入れ が一品で可能になるのは嬉しいです! ところで気になる新処方ですが、整った角層のヴェールが第二の皮フを纏っているようなイメージですか?
小田島 そうですね。一品でも瞬時に理想の角層を手に入れたような実感ができる処方と言えます。加えて、角層模倣による保湿ヴェールで、光を角度依存なく均一に跳ね返し、拡散させることができるので、ふんわり明るいツヤも生まれます。
安倍 自分の肌のきれいの可能性を実感できそう! マスク着用が日常になりつつある今、角層模倣発想のスキンケアなら、環境の変化にも心強いですね。 

生体模倣発想で角層の"すごい"働きをON

kanebo

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イメージ図  (提供:カネボウ化粧品) 

瞬時に角層模倣膜を肌の上に形成。角層に水分や配合成分を浸透させ、水分蒸散を抑えながら保持する処方で化粧水と乳液の働きを1本で可能に。

生物が持つ能力に学ぶ模倣技術とは?


生物の能力に着目した生体模倣技術はさまざまな分野で応用。たとえば、ハチドリのホバリングがドローンに、トンボの複眼がカメラレンズにといった具合だ。 

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安倍佐和子責任編集「THE角層JOURNAL」_7

目から鱗! 
角層ケアは、理想とする
角層の保湿力とバリア機能を
瞬時に手に入れ、角層自らを
理想の状態に導いていく時代に

安倍佐和子責任編集「THE角層JOURNAL」_8

生体模倣技術の応用はすでに知られているけれど、角層模倣発想は革新的。理想の角層に倣い、スキンケアで自分のものにできれば肌はもっと美しく強くなれるはずだから。人類の進化に欠かせない角層を見直すことで、きれいの伸びしろはもっと広がりそうだ。


イラスト/瀧川裕恵 構成・文/安倍佐和子 企画/若菜遊子(MAQUIA)

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