ここ数年で一気に変わった美白のトレンド。ひと昔前のようにただ肌の色を白くしていく「美白」ではなく、シミやそばかすを含め、炎症による赤みやくすんだ印象を払拭し、肌全体の色や質感を含めて明るく均一にすることが今の本流。
メラニンと肌の見え方の関係にいち早く着目し、約30年にわたり研究を続けてきたクリニークがそんな色素沈着改善に有力な独自複合成分を開発。2021年12月4日に開催された日本研究皮膚科学会第46回年次学術大会・総会において発表されたという、その最新研究報告を、美容成分にも敏感なマキア読者にいち早く公開します!
クリニーク グローバル研究開発 エグゼクティブ ディレクター
トム・マモーン博士
1986年に入社して以来、30年以上にわたり基礎研究に携わる。その高い皮膚科学の知識に基づく最新知見はクリニークの数々の製品開発につながっている。
メラニン生成を抑制する成分を含む新たな独自複合成分を開発!
トム・マモーン博士(以下、トム):皮膚における過剰な色素沈着を防ぐためには、メラニンを作らせないということはもちろん、今、肌に存在するメラニンを薄める、あるいは消失させることができるかを考える必要があります。クリニークはそのための方法として複数の成分を組み合わせた独自の複合成分を開発しました。
MAQUIA:メラニンを作らせない方法は、各成分いろいろありますが、独自複合成分はどういうアプローチをするのですか?
トム:私たちの研究チームが1000種以上の自然由来の抽出物から発見した学術名〈1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)プロパン〉の成分は、シミの素になるメラニンの生成に関与する酵素チロシナーゼの活性を抑えます。酵素チロシナーゼは活性化しないとメラニンを作れないので、メラニンの生成が低減され、結果、過剰な色素沈着を防ぐのに優れた作用を発揮します。
MAQUIA:つまりメラニン色素の色が薄くなるということですね? でもチロシナーゼ抑制を行う成分は既にいくつかあると思うのですが……。
トム:はい、その通りです。これにN-アセチル・グルコサミンと、一般にはサルノコシカケという名で知られているホウロクタケ属のキノコに含まれる酵素を組み合わせたものが、今回発表した独自複合成分です。皮膚局所に過剰に沈着した色素を大幅に減少させ、肌の明るさを取り戻すことが証明されました。
既に沈着したメラニンへも対応
MAQUIA:それはスゴイですね。シミやそばかす以外に、メラニン由来のくすみ感みたいなものにも効きそうな予感……。先ほどメラニンに対して多角的アプローチをするとおっしゃっていましたが、チロシナーゼ抑制以外のアプローチとはどういうものなのか教えてください。
トム:既に沈着したメラニンへの対応として、N-アセチル・グルコサミンが角質剥離を促し、メラニンを含む古い角質細胞を除去します。メラニンを含む古い角質は、肌全体のくすみ感の原因の1つでもあります。さらに先に紹介したサルノコシカケと呼ぼれる巨大なキノコに含まれる酵素が既にあるメラニンを分解します。この酵素を用いた溶剤が紫外線による日焼け、つまり色素沈着を低減することを発見しました。クリニークの研究者は、皮膚の色素沈着改善を可能にするために、多角的なアプローチを常に追求しています。自然界にある植物や微生物などあらゆるものをスクリーニングし、より効果のある成分を見つける研究を続けています。
MAQUIA:既にあるものを薄めたり、消したりしつつ、新しいものを作らせないアプローチで過剰な色素沈着やくすみ感を改善して、明るく均一な肌にしていくのですね。それも自然由来のものから見つけたと言うから驚きです。この独自複合成分は注目成分として絶対、マークしておかなくちゃっ!
クリニークの研究姿勢
クリニークの研究者たちは、色素沈着改善のために、多面的なアプローチを追求し続けています。クリニークブランドは、自然由来の成分の最良のバランスを考えながら、最適なスキンケアアプローチを今日も探索し、今後の製品開発に活かしていきます。
取材・文/平 輝乃 イラスト/カツヤマケイコ 構成/佐藤 陽(MAQUIA ONLINE)