10代の頃、“カリスマギャルモデル”として活躍していた益若つばささん。タレントやモデルとしてメディアで愛されつつ、アパレルや化粧品のプロデュースなども手掛け、現在は「益若つばさが手がければ売れる」と言わしめるほどの実業家に。ギャル時代から36歳となる今までの軌跡と素顔を探ってみると、しなやかでありながら骨太なマインドと、彼女が長年一線で活躍し、多くのファンから熱狂的に求められる理由が見えてきました。



 


ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_1

ドレス¥99000/SHIROMA

10代で学んだ、“すべてのもの・ことの理由を考える”という思考法

「高校生の頃、ギャル読モとして活躍していましたけど、実は全然ギャルじゃなかったんです。家でひとりでいるのが好きだったし、クラブもほとんど行ったことがない。好きな服は109じゃなくて下北の古着で、ギャルといえばの海も苦手(笑)。だから、日焼けした肌も、ギャルっぽいファッションも、雑誌の中の私は、私なりに考えた演出だったんですよ。

でも、さっぱりとしていて実は礼儀正しい、みたいな、自分の中には見当たらない“ギャルマインド”は、太陽みたいにカッコいいなと思っていて。メイクも可愛いなと思っていたけど、私は強いメイクよりお人形みたいな雰囲気のほうが好きだったので、ピンクチークをギャルメイクに取り入れたりして、“渋原MIXメイク”をするようになりました。当初はそんなメイクを気持ち悪がられ、それなりにバッシングもされましたけど、好きなものを混ぜていったらいつのまにかカリスマと言われるようになり、"甘めのギャルスタイル”も支持してもらえるようになりました。

だけど私って基本ひねくれているので(笑)、“可愛いって言われても私が可愛いわけないじゃん!”っていう感じで、周りからの言葉は全く信じていなかったな。今も良い評判ほど気にしないタイプです。

そんな感じで結構とっつきにくいキャラだったんですけど、ある日雑誌『Popteen』のモデルの子たちに囲まれて言われたんです。ばさは嫌なことも嫌って言わないから何を考えているのかわからない。つばさのことが好きだからもっと意見を伝えて欲しい。もっと言っていいんだよ”って。それまで人に気を遣って生きていたつもりなのに、自分の意見を言わないことで怒られるなんて驚いたけど、今になるとその言葉の意味がよくわかる。それに、自分の気持ちを伝えなければ相手ともなかなか仲良くなれないですよね。それ以来きちんと自分の思いを言葉にするようになり、このことが今の商品プロデュースにも繋がっていると思います。



『Popteen』時代に学んだもうひとつの大切なことは、“すべてのもの・ことの理由を考える”こと。例えば、先輩モデルが今日のファッションのポイントを編集さんに聞かれると、すごくはきはき答えられるんですよ。でもそれは、スタッフさんに無駄な時間をとらせないっていう裏の思いがあったと思うんです。そういう姿をよく見て、私なりに噛み砕いて、先輩モデルみたいにカッコよくなりたかった。ポージングに手間取るとスタッフさんが困るし、必然的に撮影時間も押してみんな疲れて機嫌も悪くなる。そうならないように赤文字系の雑誌、メンズ誌、あらゆる雑誌に全部目を通して、ポージングも表情も研究して。モデルにしては低い身長150cmの私がこんなことを言うのもなんなんですけど、“また仕事したいな”と思って頂けるようやっていました」



ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_2

「自分が絶対に欲しい」という熱が、プロデュースした商品の売上に繋がった

「21歳で結婚、22歳で出産。このタイミングでモデルのお仕事は全部辞めようと思っていました。当時は子育てとモデルを両立なんてできない時代だったし、世の中に嫌われる前に辞めたいと思い、自分から“全部雑誌は辞めます”って周りに伝えていました。そんなときに、『家でも仕事ができるようにプロデュースの仕事を始めてみたら? こういうのがもっとあったらいいのに。とか、ここがこうだったら完璧なのにってよく言っているよね?』ってアドバイスを頂いたんです。これが、『キャンディドール』や『ドーリーウインク』の商品プロデュースをするきっかけに。息子を食べさせていくためにもしっかり働かなければいけないし、そういう意味でもすごくいいお話でした。



最初のお仕事は実は、“パッケージのデザインだけ私が選んだ”という感じだったのに、バカ売れしちゃったんです。それがすごく悔しかった。その後本格的にプロデュースを始めましたが、最初からなんでもやらせてもらえるわけではなくて……。自分の意見が通る範囲を広げたかったから、ちょっとずつ売上に貢献してまずは結果につなげなければ! という一心でした。金銭面などビジネス的なことはまるでわからなかったけど、“こうしたい”“こうすれば喜んでもらえる”といった想いを必死で会社の偉い方に伝え、できた製品は発売されるたびにその会社の歴代一位の売上を叩き出していました。手掛けたアパレルもそうだったし、コスメも発売するたびに記録を更新している状況です。



商品を作るときは売上個数とか収入も大事だけど、そこって最後。いいものを作ればあとからついてくるものだと思っているので、それよりも、いかに自分が欲しいと思えるかを大切にしています。要は熱量だと思う。もので溢れている世の中だけど、ちょっとの隙間を見つけてまだ世にないものを作りたい。今だとカラーマスカラやカラーラインが流行っているけど、私はそことは少し違う雰囲気のものを使いたいなと思って作ったのが『ドーリーウインク マイベストライナー』です。ピンクだけどスモーキーとか、黒だと濃いからグレーで抜け感を出すとか、日常使いでもいけるようなトーンを落としたカラーをあえて選びました。つけまも今はケバい、濃い、と思われがちですが、マツエクの需要は変わっていない。だったらつけまで毎日取り外せるマツエクを作ったらいいんじゃないかと思ったんです。“10秒マツエク”というキャッチコピーを掲げて『ドーリーウインク イージーラッシュ』を作ったら、すごく売れて。“新時代のつけまつげ”と呼ばれ、令和の時代につけまが売れるという意外な結果が出ました。



とにかく絶対にいいものを作ろうという気持ちひとつでやっているので、いくら記録保持者と言われてもプレッシャーはないです。今は自分で立てた年間計画にのっとって動いていて、現状だと来年の秋冬までざっくり決めている状況。アイデアが出てきたら瞬発的にまとめて、といった感じなので、納期に遅れることはほぼないです」


 


 

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_3

自分が底辺と思って生きていれば楽。だからなんでも自分から動く。人のせいにしない。

「この世界に入って今年で20年経つんですけど、仕事のしかたも人への対応も、基本的には読モだった時代から変わっていないと思います。会食にもいったことがないし、偉い方の名前を覚えないので損したこともあるかもしれないけど……。でも、例えばアシスタントさんでも社長でも私にとっては同じなんですよ。だからどの現場でも自分から挨拶に行きます。そのほうが早いし、順序とか考えるのが面倒くさい(笑)。そんなことでちまちま悩むくらいなら、その間にひとつ新しいものを作ったほうがずっといい。自分がどの位置にいるかなんて考えません。自分が底辺って思って生きていれば楽だし、全部自分で解決しちゃうほうがストレスフリーなんです。



仕事やお金を稼ぐという思いが強くなったのは、10代の頃。昔付き合っていた彼との話なんですけど、ある日彼が、コンビニでちょこっとずつ私の買い物かごにものを足し、“あとで払うね”って言うんですよ。それで、あとから“さっきの500円返してね”なんていう自分ってちっちゃいなーって思ったんです。ケチなのはあっちなのに、こっちがケチみたいだなって(笑)。そのとき10代の私は、自分で稼ごうと誓った。私も読者モデルで1回の撮影で3000円しかもらえないけど、それは私の力が足りないんだ。だからもっと稼ごうって。お金を貸すことも、それが返ってこないこともあるけれど、それはしょうがない。全部自分のせい。誰もやってくれないのが当たり前って思っています。ギャルって世間から嫌われやすかったじゃないですか。きれいめの雑誌の方にはモデルじゃないと言われてきたし、お姉さん雑誌には出したくないって言われたこともある。周りから偏見を持たれてきたから、そういう人たちの気持ちもわかる。その経験があるから、全部自分で責任をとるし、自分でやっちゃうほうが早いんです。



今、意識的に気をつけていることがあるとすれば、人の悪口を言わないこと。人の悪口を言う人に賛同しないこと。その人には合わないけれど私には合うかもしれないし、そういうことを言ってくる人をむしろ疑ってしまう。モデル時代に女の子集団で生活していたので、そのあたりはすごく慎重だし、私のことを影でフォローしてくれるギャルがいたり、ギャルってすごく爽やかなんですよ!  ギャルで性格の悪い子に会ったことがないし、男関係でもめてるのも見たことがない。裏表がなくて嘘がないから付き合いやすい。世の中の皆さんもギャルマインドを学んだほうがいいと思うくらい(笑)。“いろんな人いるよね。私たちも変だしね!”みたいなギャルマインド=多様性。マイノリティがスタンダードになっていく今の流れのおかげで、私たちも生きやすくなりました」

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_4

まわりの人を信じながら、“今”という瞬間を全力で生きていきたい

「これだけ色々なことをやらせて頂いていても、たまに自分に飽きてしまうことがあるんです。若者向けのファッションブランド『EATME』が上り調子だったときに辞めたのも、それが理由。もう私がやらなくても育っていけるブランドだと思ったことも大きかったです。ファッションに関してはまた別のブランドをやってみたいな、という気持ちもありますね。



何かを生み出して皆さんに喜んで頂けたら、それをスタッフみんなで分かち合いたい。みんなで一緒にお金を稼ぎたい。0から1にすることが好きだけど、そのためにアンケート調査をしたり、データを取ったりすることは苦手だから、それは得意な方に振る方がスピーディー。日本は苦手なものをあえてやらせて、平均値に持っていくことが良いとされているけれど、苦手なものはやっぱり苦手ですよね。得意を伸ばして、それを信じてあげるほうがずっといいと思っています。



そう思えるのはうちの家族が放任主義だったからかも。なんの束縛もされないけれど、表立った応援もされない。でも『Popteen』時代も、“何歳でモデルを辞めるの?”なんて言いながら、朝5時半に駅まで送ってくれたり。現実を叩きつけてくるわりに、こっそりと応援はしてくれているんですよね。私が離婚したときもそう。“つばちゃんの人生を選びなさい”って言ってくれた。困ったときは相談に乗ってくれるけれど、基本はフリースタイル。それが私の仕事仲間とのスタンスにも息づいているような気がします。



37歳になる今年、こうして初めて美容雑誌に呼んで頂けてすごく嬉しかったです。昔より今のほうが美容の知識も豊富だし、エイジングケアやフェムテックなんかにも興味があるので、今の自分だから語れることが他にももっとあるんじゃないかなと思っています。自分も雑誌を作っているので、MAQUIAを通してものづくりに参加させて頂けることも嬉しいです。



今後は……漠然と家を建てたいな、っていう夢はあるんですけど、いつまでにとか、いくら稼ぎたいとか、地位がどうだとか、なにもないんですよ。目の前の今日を精一杯頑張って、楽しんで、“最悪明日の仕事を失っても大丈夫。理不尽なことがあったら、明日辞めたっていい”と思えるように、今という瞬間を全力で積み重ねていくことが大切だと思っています

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_5

「お洋服のデザインはiPadで。気分が向いたとき、昔の映画からインスピレーションを受けたとき、寝ていても思いついたら夜中でも描きます。iPadはインスタに載せるコスメの写真に手書きコメントを入れるのにも活躍。私が編集長を務めている雑誌『TOKYODOT』のコンテを書くときにも欠かせません。肩からかけられてApple Pencilも収納できるケースはAmazonで購入しました」

10年以上ずっと人気のカラー下地がいつだって手放せない

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_6

肌の色のトーンや悩みによって選べる3色のトーンアップ。プチプラながらその使いやすさと頼れる紫外線カット効果で大ヒット製品に。(右から)キャンディドール ブライトピュアベースCC ミント、同 ラベンダー、同 レモン 各SPF50+/PA+++ 各¥1540/T-Garden(レモンのみ限定品)

「プロデュースしているブランド、『キャンディドール』のカラーコントロールベースは神ベース! 今はラベンダーカラーの下地も豊富ですけど、キャンディドールでは10年くらい前から発売していて、今もずっとヒットしているんです。ちなみに、今も欠品してしまうほど人気です。私の場合はミントを全顔と首までしっかり。そのあとコンシーラーとフェイスパウダーでベースメイク完了です。透明感が欲しい方はラベンダー、レモンは男性にもおすすめです」

MAQUIA読者に推したいのは盛れる仕込みコスメ!

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_7

(右)瞳に立体感を与えるツヤ感ヌーディーブラウン。UVカット効果も。エンジェルカラー アクアリッチ バンビナチュラル ナチュラルヌード  10枚入り ¥1848/AngelColor
(中)指でぼかしやすいのにきちんと密着するリキッドタイプのシェーディング。キャンディドール シャドウリキッド 05 ¥1430/T-Garden
(左)自眉の黒さをやわらげて優しさを引き立てるダークグレージュのアイブロウマスカラ。ドーリーウインク アイブロウフィルター 04 ¥1100/コージー本舗

「MAQUIA読者の方に是非オススメしたい“バレずに盛れる仕込みコスメ”3品。右のカラコンはエンジェルカラーの中でもいちばんナチュラルで大人向き。今日私もつけています。中央はとことん色にこだわったシェイディング。赤みを抜いてグレージュっぽく仕上げたことで、いかにも感のないまるで生まれつきの“影”のような仕上がりに。全人類におすすめ! 左は男性にも使ってみて頂きたい眉マスカラ。今は眉は明るくするんじゃなく、印象を薄くするのがマイブームなんです」

たったひとつで理想の涙袋が作れます

ギャルモデルから起業家へ。「自分」を貫く益若つばささんが語る、赤裸々インタビュー_8

ぷっくりとした涙袋メイクに重宝するクレヨンタイプのシャドウ。塗りたての色やきらめきが続くのも優秀。(上から)ドーリーウインク スティックラメシャドウ 01、同 02 各¥1540/コージー本舗

「涙袋って3〜4工程かけて作っている人が多いということが、商品企画中のアンケートでわかったんです。だから、1つのコスメで涙袋が作れるコスメを作りたい!と思い、できたのがこのキラキラペンシル。涙袋がまったくない方でも、これを使えばきっちり盛れて、理想の雰囲気に近づけるはずです」

益若つばさ

モデル・タレント

益若つばさ

ますわかつばさ。1985年10月13日生まれ。埼玉県出身。
高校生の頃から読者モデルとして活躍。2006年頃より雑誌『Popteen』で大ブレイク。カリスマ読者モデルとして10代の少女を中心に絶大な支持を得る。現在はモデルやタレントとしての活動の他、実業家としても活躍。アパレルをはじめ、化粧品ブランド『ドーリーウインク』『キャンディドール』、カラーコンタクト『バンビシリーズ』のプロデュースを手掛け、どれも記録を塗り替えるほどのブランドに成長させた。その経済効果は海外も含めると1000 億円にも及ぶとも言われている。また、雑誌『TOKYODOT』では編集長を務めている。プライベートでは一児の母。

SHIROMA  お客様お問合せ先
03-6411-4779

※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。

撮影/ISAC〈SIGNO〉
ヘア&メイク/KITA
スタイリスト/八木下 綾〈J Styles〉
モデル/益若つばさ
取材・文/通山奈津子  企画・構成/横山由佳〈MAQUIA〉

最終更新日:

share