誰の中にも、多面的な“私”がいる。表現者として多彩な“私”を生きる彼女であれば、なおのこと。俳優・河合優実さんが語る、さまざまな“私”。日々に向き合うその姿に、アイデンティティの在処を探して。

河合優実さんが語る私とは?欲は少ない方だけれど、前に進むためなら積極的になれる インタビューをお届け

河合優実。十人十色の“私”を生きる

お話をうかがったのは…
河合優実

俳優

河合優実さん

2000年12月19日生まれ、東京都出身。2019年に俳優デビュー。映画『由宇子の天秤』やドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』など多数の話題作に出演し、2024年公開の主演映画『ナミビアの砂漠』と『あんのこと』で数々の映画賞を受賞。2028年度前期放送のNHK連続テレビ小説『ほんのモキチ』では主演を務める。

ととのえる私

きちんと生活することは自分を整える手立てのひとつ

食事に気を遣っていた時期に、PFC(タンパク質/脂質/炭水化物)バランスについて勉強したんです。今はわりと好きなように食べていますが、体に良いものを選ぶ基準は身についている気が。


体が重たいと感じる時や作品に向けてもう少しコントロールしたい時は、自炊をしたりして調整します。日常の動作の中で体の可動域が狭くなっていると感じることもあるので、そういう日は少しでもいいからストレッチを取り入れたりも。


だらけていると自分が心地よくないから、ちゃんと生活するっていうだけのことなんですけどね。

日々を心地よく過ごせたら素敵な人になれる気がする

自分が心地いいと感じる外見は、人によって違うと思うんです。ただ、外に基準を求めると満足いくことがないから、私自身は鏡を見た時に自信が持てたらそれでいいと感じていて。


逆にどれだけ手を施しても、肌が荒れたりするとずっとそこが気になってしまったりも。それってお仕事をする上でいい影響はないので、心にノイズが生じない状態を目指して整えています。


自分は見た目よりもその人の振る舞いに魅力を感じるからこそ、心地よい気分で日々を過ごしていたら素敵な人になれるんじゃないかなという気持ちもあります。

椅子に寄りかかってポーズをとっている河合優実さん

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たしなむ私

帰宅後に飲む一缶のビールがオンオフの切り替えスイッチに

自分の機嫌をとる方法、たくさんありますね。そのひとつが、お酒。中でもビールが好きで、家に帰ってきたら一缶プシュッとあけるのが習慣になっているんです。


そうやって1人でゆっくり家飲みするのも好きだし、友達とお店で飲むのも好き。シュワッとした感覚を味わうことで、気持ちの切り替えをしているんだと思います。


といいつつ、そのルーティンをあえて変えてみることで、何かしらの変化が生まれるかもしれない……という思いも。なので、最近はビール以外のシュワッとしたものも試してみようと計画中です。

尊敬する方々が作り出す作品は自分にとっての心の栄養

あとはやっぱり、映画や演劇を鑑賞することです。尊敬する作り手の方々の作品を観ると「作ってくれてありがとうございます」という気持ちになりますし、心の栄養になっていると感じます。


最近観て印象に残ったのは、濱口竜介監督の『PASSION』という映画。半径が小さい話にも思えるけれど、そこから見えてくるスケールの大きさが凄まじくて……。多分、同じストーリーを口で伝えたり本で読んだりしたら、全く違う体験になると思うんですよね。“これは映画でしかできないことだな”と感じて、とても勇気をもらいました。

くつろぐ私

生産性のあることがしたくって休日はもっぱら家事に勤しみ中

お休みの日は、その時の気分で予定を決めます。どちらかというと何もしない派ですが、最近は生産性のあることがしたい気分で。おざなりになっていた家事に手をつけようと思い立って、お掃除したりしてますね。


一人行動も楽しめるタイプなので、お仕事で地方に行って1日空いたら、絶対に外出してそこにしかないものを見に行きます。


よく行くのは美術館や公園で、神社やお寺に足を運ぶことも。お参りをする時は住所と名前、お願い事を心の中でできるだけ正確に唱えるために、長いこと手を合わせていると思います(笑)。

撮影が終わった後の休息は次に備える区切りの時間

休息は、私にとって絶対に欠かせないもの。いろんなタイプの俳優さんがいらっしゃると思うのですが、私は休まずに働けるタイプではない気がして。


“休みができたら必ず旅行に行く”といったルールは特に設けていないけれど、今までやってきたことを一度忘れる時間や、次の作品に備える時間のような“区切り”が必要だなと思うんですよね。

顔の前に手をおいたポーズをとっている河合優実さん

もとめる私

欲は少ない方だけれど前に進むためなら積極的になれる

基本的に欲は少ない方だと思います。物欲もそんなにないし、人に対してもあまり求めない。小さな頃から、おねだりした記憶が特にないんです。長女だからかな? うちの末っ子はおねだり上手で、昔は「ずるいな〜」と思っていました(笑)。


大人になった今は何も思わないし、むしろ何も求めない自分の問題でもあると感じる部分も。


もう少し欲しがった方が良かったんじゃないかと思ったりもしますが、人生において前に進むための欲みたいなものはごくたまに持つことがあって。そういう時だけは積極的になれるんですよね。

体を傾けたポーズをとっている河合優実さん

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自分が惹かれる相手とは自然と引き寄せ合う気がする

振り返ってみると学生時代から表現することにはわりと貪欲で、文化祭とかでダンスリーダーをやる時はすごく情熱的だったと思います。


今も“この役がやりたい”、“この人と仕事がしてみたい”と感じることはありますが、それはこちらだけの希望というより、引き寄せ合う部分もある気がするんです。自分が惹かれる人とは興味が重なっていて、通じ合う部分を期待して自然と互いに近づいていくのかなって。


だからこそ、叶わない時は無理にアプローチはしないんです。それは、“来るべき時に来る”と信じているからかもしれません。

座ってポーズをとっている河合優実さん

いきてく私

素敵だなと思うものから得たときめく気持ちを大切にしたい

いろんな“私”についてお話ししてきたけれど、自分が生きていく上で絶対に必要だと感じるのは“ときめくこと”。素敵だなと心から思えるものに触れに行く時間や、その時の感情を大切にしたいんです。


私の場合はそれが映画だったり演劇だったりするので、そこで得たものを仕事を通じて人に返していくことになる。ぐるぐる回っているなって感じます。


ときめくものはたくさんありますが、歌やダンスで浴びるように音楽を楽しめるショーのようなものが本当に好きで。以前ダンスをやっていたこともあって、ステージへの憧れが根底にずっとあるんじゃないかなと。


思えばお笑いも昔からたくさん見てきましたし、人を喜ばせたり元気づけたりするものが単純にすごく好きなんですよね。ショーを観るたびに感動しますし、そこに立ちたいという憧れはずっとあります。


一方で、そういったエンターテインメントを通して人を楽しませることと、たくさんの出来事が起きている今の世の中から目を背けないこと。そこのバランスをどうとっていくのかは作品を観る時も演じる時も考えますし、向き合わざるを得なくなってきたという実感も。


0から1を作る立場ではなく、演じるという立場で参加するとしても何かしらのメッセージを発していることは自覚していたいと思いますし、“今、みんなに何を考えてもらいたいか”という問いが常に頭にある気がします。

河合優実さんの横顔



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