人間にとって毎日必要不可欠のことながら、意外と知らない睡眠についての知識。不眠や睡眠不足、睡眠時間に関する疑問をマキアが徹底調査。これを読めば眠りの質が改善されること間違いなし!

【睡眠のギモン30】これってホントに正しいの!? 睡眠のプロに眠りにまつわるアレコレを教えてもらいました!_1

お答えいただいたのは……
友野なおさん

睡眠コンサルタント

友野なおさん

自身の睡眠改善で15kgのダイエットと重度のパニック障害を克服したことにより、睡眠を専門的に研究。全国での講演や商品のコンサルティングのほか、各種メディアで活躍中。

Q1.睡眠時間が短ければ不眠?

A.睡眠時間とは関係ありません

「不眠で重要視されるのは、翌日の社会生活に支障が出ているかどうかです。たとえ睡眠時間が短くても、熟睡感がなくても、昼間に眠くて眠くて仕事ができないなど生活に支障がなければ不眠とはいえません」



不眠の定義

☑︎1時間以上寝つけない

☑︎夜中に2回以上目が覚める
☑︎起きたい時間よりも2時間以上早く目が覚める
☑︎よく眠れたという自覚がない



▼ ▼ ▼
これら4つのうち少なくとも1つが週3回以上あって、
かつ1カ月以上続いている


翌日の社会生活に支障が出ているかどうか

Q2.不眠は遺伝?

A.性格の影響が大

「遺伝というよりも、性格によるところが大きいと思います。楽観的で『なんとかなるさ』と大らかなタイプの人より、真面目で正義感が強く、周囲への気遣いを忘れない神経の細やかな人の方が不眠で悩む傾向が」

Q3.何時間以上寝ないと睡眠不足になるの?

A.理想の睡眠時間は7~9時間

「アメリカの国立睡眠財団が提唱している理想の睡眠時間は、20〜60代では7~9時間。ですが個人差があるので、7時間寝ていなければ睡眠不足だと言い切ることはできません」

Q4.年齢によって必要な睡眠時間も変化する?

A.変化します

「小学生の頃は12~13時間、それから60歳ぐらいまでは7~9時間程度必要で、60歳以上になると7~8時間程度の睡眠時間が理想的。睡眠時間が減るのは、白髪が出てきたり視力が落ちたりするのと同様に、老化現象のひとつです」

Q5.22時~2時のゴールデンタイムは守った方がいい?

A.就寝時間が0時を超えないよう心がけて

「今まで22時~2時は成長ホルモンの分泌が活発になるゴールデンタイムといわれてきましたが、近年では否定されています。今いわれている、最新のゴールデンタイムは0時~6時。7時間睡眠が理想なので、この前後1時間で調節を。就寝時間が0時を超えないことがポイントです」

Q6.自分にとって最適な睡眠時間の見つけ方って?

A.同じ時間に寝て、何時に起きるかをチェック

「長期的な休みが取れたときに、目覚ましをかけずに毎日同じ時間に眠って何時に起きるか試してみて。次第に自分にぴったりの時間で目覚めるようになるはずです。その時、昼間の状態にも注意を。しっかり寝たつもりでも集中力が続かなかったり、寝落ちするようなら、いい睡眠ではない可能性が。寝る直前までスマホを見ていないか、入浴で体を温めているかなど睡眠環境を整えることも忘れずに」

Q7.睡眠と女性ホルモンは関係ある?

A.大いにあります

「女性は生理前になると体温が上昇して深部体温が下がりにくくなり、睡眠の質が低下します。これが閉経するまで月に1回、1週間~2週間のサイクルで続きます。さらに妊娠、出産、子育て、更年期、親の介護などが次々とやってくるので、年齢や時期によって適切な睡眠ケアが行えるよう知識や習慣づけが必要です」

Q8.カフェインを摂っていいのは何時まで?

A.20時以降は控えて

「カフェインの持続効果は、年齢が上がるほど長引きます。マキア世代なら夕方以降、遅くても20時以降は控えた方がいいでしょう」

Q9.睡眠と美肌の関係は?

A.睡眠は天然の美容液の発生源

「睡眠時に分泌される成長ホルモンは、いわば天然の美容液。この成長ホルモンをいかに大量に分泌できるかが、美肌のカギに。また、いい睡眠を促すセロトニンには強力な抗酸化作用があるので、紫外線対策のためにも分泌を高める生活を心がけて」

Q10.夢を見るのは眠りが浅い証拠?

A.そうとはいえません

「眠りの深さに関係なく人は一晩に複数の夢を見ていて、覚えているのは起きる直前のレム睡眠の時に見たものだといわれています。ただ、その夢が自分を苦しめる悪夢の場合は、心も頭も休まっていない可能性が。自分なりのストレスケアを見つけて、オンとオフの上手な切り替えを」

Q11.上手な昼寝の取り方って?

A.3つのルールに従って

「昼寝は夜の睡眠に影響しないよう15時までに、15分程度、座ったままで、が基本。家にいる場合でも、横にならずイスに座ったまま背もたれに寄りかかかる姿勢で行って。お腹が苦しくなければ、昼寝用枕などを利用して机に突っ伏した姿勢もおすすめです」

Q12.夜更かしした翌日は昼寝をして睡眠時間を増やした方がいい?

A.昼寝はせずに、早めの就寝を

「夜更かししても朝起きる時間がいつもと同じなら体のリズムは崩れないので、平日でも休日でも起床時間は厳守しましょう。昼寝は15分程度ならいいのですが、それ以上寝てしまうとその分また夜更かしになるので避けた方が無難。外出するなどして寝られない環境を作り、夜は眠気を逃さず早めに就寝するよう心がけて」

Q13.眠れない時に羊を数えるのって効果アリ?

A.呼吸を意識するのが◎

「羊の数が大きくなるにつれ、眠れていない自分を自覚するだけなのでNG。目を閉じてひとーつ、ふたーつとゆっくり息を吐くことを意識して、心と体をリラックスさせましょう。10まで行ったら、またひとーつ、ふたーつと繰り返して。数を数えることではなく、呼吸を意識するのがポイントです」

Q14.ショートスリーパーとロングスリーパーの違いって?

A.遺伝です

「必要な睡眠時間が6時間未満でも十分な人をショートスリーパー、10時間以上を必要とする人をロングスリーパーといいますが、これらは遺伝で決まります。逆のタイプになろうとしてなれるものではありません。無理をすると、むしろ肌が荒れたり、アレルギー反応が出たり、太りやすくなるなど自分の弱いところにダメージが出るので、特性に合った睡眠時間を確保して」

Q15.睡眠中にピクリとも動かず、寝返りを打たないのは問題アリ?

A.自覚なく寝返りを打っている可能性大

「たまたま就寝時と起きた時の姿勢が同じで、動いていないように見えているだけでは? 人は一晩に20~30回寝返りを打つといわれています。もし本当に動いていなければ、ずっと同じところが圧迫されることになるので、しびれや痛みを感じて夜中に目が覚めてしまうはずです」

Q16.糖質制限が不眠を引き起こすって本当?

A.朝の糖質は摂るべき

「糖質は睡眠の質を高めるのに必要な栄養素のひとつです。タンパク質に含まれるトリプトファン、ビタミンB6と糖質が結びつくことでセロトニンを作り出し、このセロトニンが夜になるといい睡眠を促すメラトニンに変わります。バナナにはセロトニン生成に必要な栄養素がすべて含まれているので、朝食にバナナを摂るのはおすすめです」

Q17.光をシャットアウトして寝たいのですが、朝日が入るようカーテンは少し開けておいた方がいい?

A.カーテンを開閉するグッズの活用を

「寝る時に光を完全にシャットアウトしようと、遮光カーテンを使うのはNG。日が昇るにつれて室内も明るくなる環境は、いい目覚めの大事な条件のひとつです。カーテンを少し開けておくのもいいですが、これからの季節は日が昇るのが早くなるのでかえって睡眠の妨げに。タイマーでカーテンを自動開閉できるグッズを使うのも、ひとつの手です」

Q18.歯ぎしりがあるのでマウスピースを着用していますが、緩和する方法ってありますか?

A.ストレスの有無や寝具を見直そう

「ストレスや食いしばりのクセなどがないか、日頃の生活を振り返ってみて。また、枕が高すぎると必然的に食いしばりやすくなるので、寝具が体に合っているかどうかも見直して」

Q19.寝言を言うのは問題ない?

A.はっきりとした大きな寝言は要注意
「何を言っているのかわからない、ムニャムニャとした寝言は問題ありません。ですが何を言っているのかはっきりわかるような寝言や、会話になるような寝言、突然大きな声を出すような寝言、さらに寝言と連動して動きが伴うような場合は、深刻な睡眠障害を起こしている可能性が。パートナーや家族がそういった状態なら、寝言を録音して睡眠外来に相談を。睡眠環境を改善すると、寝言も改善される場合もあります」

Q20.睡眠系のサプリメントのやめ時って?

A.量や回数を減らしてフェードアウトを

「今まで飲んでいたサプリメントをいきなりやめるのが怖い場合は、量を減らしたり、2日に1回飲むようにしたりと、徐々にフェードアウトさせてみては? サプリメントの代わりに睡眠に特化したハーブティーに切り替えるのもおすすめです」

Q21.夜中に目が覚めてしまい、眠れなくなってしまいます

A.マットレスの見直しを

「年齢とともに体型が変化して、今まで使っていたマットレスが体に合わなくなっているのかも。また、夜中に目が覚めて眠れない時は布団から出て、洗濯物をたたんだり靴を磨いたりなど、頭を使わなくていい単純作業をしながら眠気が来るのを待つと◯」

Q22.ソファでは簡単に寝落ちするのに、ベッドに行くと眠れません

A.眠気を感じたらすぐにベッドへGO!

「睡眠は、寝入りばなの約3時間をいかに深く、途切れることなく眠れるかが最重要事項です。成長ホルモンも、この約3時間に集中して分泌されます。それなのにソファで寝落ちしてしまうとこの深い眠りが得られず、睡眠の圧も弱まるので、布団に入っても寝つけなくなることに。眠気を感じたらすぐにベッドに移動するよう心がけて」

Q23.寝ても疲れが取れません

A.睡眠の量と質の見直しを

「今日の疲れを明日に持ち越さないためには、睡眠の量(時間)と質のかけ算が大切。睡眠の量が5時間を切っているなら、まずは量を増やして。量が十分足りているなら、スマートフォンやTVを見ながら寝落ちしていないかなど、質を高める睡眠環境の見直しを」

Q24.すぐに眠りにつけるものの、翌朝スッキリ起きられません

A.パジャマを着ましょう

「睡眠の質は何を着て寝るかによって左右され、翌朝の目覚めにも変化が。パジャマを着て寝ると不要な寝返りが減り、体が痛くなったり不快感から夜中に目が覚めたりすることも少なくなくなります。できれば吸水性、吸放湿性にすぐれた綿100%のもので、洗い替えも含めて2枚あると便利です。手洗いが苦でなければ、シルク素材もおすすめです」

Q25.布団に入るとなぜか思考が活性化して眠れなくなります

A.思考を中断するアクションを取り入れて

「布団の中に入ると情報源が自分の頭の中だけになるので、それまでに見ていた視覚的な情報や音の情報が思い起こされて頭が休まらないのだと思います。マインドフルネス瞑想を行ったり、まぶたの裏に自然の雄大な景色を投影してリラックスすることを心がけるとか、思考を遮断するようなアクションを取り入れる工夫を」

Q26.休日に寝溜めをすると、かえって体が疲れます

A.寝溜めはいつもの起床時間+2時間まで

「寝溜めは、休日明けの朝にかけて寝不足の状態を作るのと同じこと。ゆっくり寝たいのなら、いつもの起床時間+2時間までに。午前中いっぱい寝たい時は平日と同じ時間に1度起き、空を15秒ほど見て、それからもう1度ベッドに入って。目に光を入れておくと、睡眠のリズムが崩れにくくなります。また、朝起きた時にヨーグルトやバナナなどを少し食べておくと、生活リズムも崩れにくくなります」

Q27.秒で眠れるのも問題なのかも……と不安です

A.イエローカードの状態と心得て
「すぐに、どこででも眠れるというのは一見いいことのように思えますが、睡眠学的にはイエローカード。寝落ちするような状態は、それだけ睡眠が足りていないという体や脳からのメッセージです」

Q28.昔からとにかく朝が弱いんです……

A.規則正しい生活を心がけて

「朝スッキリ起きられないのは、シンプルにしっかり眠れていないせい。まずは毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにして体のリズムを整えて。就寝時間が1時間以上前後すると体のリズムは乱れるので、規則正しい生活を送りましょう」

Q29.夜寝る前にいろいろと考え事が浮かんでこなくなる方法が知りたい

A.マインドフルネス瞑想がおすすめ

「寝る前にイスなどに座って目を閉じ、呼吸に意識を向けるマインドフルネス瞑想を取り入れてみて。深くゆっくり息を吸って吐くを繰り返し、ひたすら自分の呼吸に意識を向けます。最初はいろんな思考が浮かんできますが、その都度浮かんだことに“仕事”“プライベート”などとラベルをつけて流し、再び呼吸に意識を戻します。まずは5分くらいから始めて、慣れてきたら少しずつ時間を伸ばすと◯」

Q30.授乳などで睡眠が細切れな時でも、疲れが取れる寝方が知りたい

A.子供と一緒に寝るのがベスト

「子供をコントロールすることはできないので、子供が寝ている時はお母さんも一緒に寝てしまいましょう。子供が寝ているうちがチャンスとばかりに家事や用事を詰め込みがちですが、頑張りすぎは禁物です。家族に協力を仰いで、少しでも睡眠時間を稼いでください」

取材・文/関本陽子 構成/足立舞香(MAQUIA ONLINE)

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