この時期になると特に気になる足裏やかかとのガサつき&ひび割れ。実はあまり知られていない原因や、ついやりがちなNGケア、角質ケアを含むセルフケアのポイントなどについて、足の専門医にお話を伺いました。

足裏・かかとのガサガサやささくれ

足裏は毎日使って消耗するパーツだからこそ継続的なメンテナンスを

監修してくれたのは……
桑原靖さん

足のクリニック 表参道院長

桑原靖さん

日本フットケア・足病医学会評議。2013年、東京・表参道に日本初の足専門クリニックを開院。形成外科、整形外科、皮膚科、循環器科、リウマチ科など、足に関する各分野で専門的な医療を提供。

かかとにかかる負荷は、実に体重の70%! 立つ、歩くといった日常の動作で負荷がかかり続ければ、摩擦で乾燥したりガサガサになるのは当然。ガサガサになったかかとは肌の表面に凹凸ができた状態なので、放置しておくと床や靴などとの摩擦が大きくなり、悪化するとひび割れなどにつながります。



また、石鹸で洗い流した皮膚のバリア機能が回復するには24時間かかるといわれています。無防備な状態が24時間も続くからこそ、保湿やケアの見直し、靴選びなどを通じて、足裏を刺激から守る工夫が必要です。足裏の皮膚のターンオーバーは1カ月ほど。適切なケアをしていてもなかなか症状が改善されない場合は、乾燥以外の原因が考えられますので、病院で相談してほしいと思います。

足裏・かかとのガサガサやささくれの原因とケア方法

足裏・かかとのガサガサやささくれ

【原因①】乾燥によるバリア機能の低下

秋冬はもちろん、素足で過ごすことが多い夏もエアコンなどによって皮膚が乾燥にさらされ、バリア機能の低下によるカサつきやひび割れを起こしやすい状態。また、素足で過ごすと、皮膚への外的刺激が増えて角質が厚くなる原因に。特に、床暖房の上を素足で過ごしている人は暖房の熱によって水分と油分を奪われ、さらにガサガサになりやすいので要注意。

対策|朝は靴下を履く前、夜はお風呂上がりにしっかり保湿

保湿ケアのポイントは、塗るタイミングとコスト。まずは目覚めて靴下を履く前と、お風呂上がりの保湿を毎日のルーティンに。このとき、すぐに靴下やスリッパを履いてしまうと、せっかく塗ったクリームが奪われてしまうので、最低でも10分は浸透のための時間をつくって。かかとがひび割れてしまっている人や、床暖房の上をどうしても素足で歩きたい人は、かかと部分にシリコンなどがついた保湿用ソックスを取り入れてみて。



保湿は習慣化して続けることが重要なので、使用するアイテムは市販のもの&コスパ重視で選んでOK。気温や湿度に合わせて夏は軽め、冬は重めのテクスチャーを選ぶとより効果的。


【原因②】かかとの水虫(白癬菌)

「水虫」と聞くと、指の間の皮がむけたり、ジュクジュクしたりするイメージがあるけれど、かかとの水虫はそうした症状が出ないことも多いのだそう。保湿ケアをしてもなかなか改善せず、水疱や虫食いのような皮むけがあるなら水虫の可能性大。また、皮膚は体からのサインが現れやすい場所なので、内臓関連の疾患や内服薬の反応として肌にトラブルが現れることも。

対策|最低でも3カ月はしっかりと治療を

保湿をしても改善されないようなら、まずは皮膚科へ。水虫検査で診断が出た場合は、処方された治療薬を最低でも3カ月間継続すること。そのときに重要なのが薬の塗り方。薬を塗る際、手の指の第一関節分が片足分の目安。たとえ目に見える症状が現れていなくても白癬菌に感染している可能性があるので、足趾の間やかかとをはじめ、足裏から足首までの範囲すべてにしっかり塗り込んで。

【原因③】足裏にかかる体重バランスの乱れ

足裏のかかと・親指・小指の付け根の3点を結ぶラインはアーチ状になっていて、体重を支えるクッションの役割を果たしています。ところが、女性は男性に比べて筋肉が柔らかい上、加齢や運動不足などによって筋肉が減ると、歩く時に足裏のアーチや体のアライメント(骨や関節の配置)が崩れる原因に。



その結果、かかとに体重の負荷がかかりやすくなり、足裏が圧迫されたり擦れたりしてガサガサが悪化。また、外反母趾やハンマートゥなどで足の指が縮こまって上手く使えない人も、かかと側に体重がかかりやすいのだそう。

対策|かためのインソールでアーチを復活

足のアーチが崩れてかかとに負荷がかかっている人は、アーチを元に戻すためのインソールを使うのがおすすめ。インソールは体重を支え、アーチの形を整えるためのものなので、柔らかい素材では効果なし。桑原先生のクリニックでは、国家資格を持つ義肢装具士が常駐していて、医療保険で製作することが可能。体重のバランスや歩き方などを見直すリハビリ科も設けています。

【原因④】合わない靴との摩擦による刺激

足の形に合わない靴を履いていると、摩擦による物理的な刺激になる上、油分が奪われてガサガサに。特にフラットシューズやパンプスなど足の甲を覆う範囲が少ないデザインの靴はかかとが浮きやすく、摩擦を起こしやすいので注意。

対策|かかと&甲をホールドする靴を選ぶ

靴選びの大事なポイントは、足の甲とかかとがしっかりとホールドされていること。足の形は一人ひとり違うので、シューフィッターがいるお店で相談しながら自分の足にフィットする靴を選んで。仕事柄どうしてもパンプスなどを履かなければいけない人は、インソールや靴用クッション、シューズストラップなどを使ってフィット感を高める工夫を。 

【原因⑤】角質の削りすぎ、手でむしるなどの不適切なケア

過剰なケアは、乾燥やガサつき、ひび割れなどに直結。特に多いのが、角質の削りすぎ。かかとには角質が厚くて硬い部分と、角質が薄くて柔らかい部分があり、やすりなどで角質の薄い部分にまで強い刺激を与えると、硬い部分との境目からどんどん肌荒れが悪化してしまうのだそう。足裏の角質除去パックも、肌が弱い人は荒れてしまう可能性があるので注意。



そして、足裏のささくれが気になって手でむしってしまうのもNG。皮膚への刺激になるのはもちろん、肌表面に過剰な凹凸が生まれることで摩擦が高まり、さらに表面がガタガタに。

対策|どうしても気になる部分にだけ紙やすりをかける

やすりを使うなら、おすすめは紙製タイプや軽石。金属製は刺激が強く、電動タイプは摩擦による熱が肌への負担になるのだそう。タイミングは入浴時、湯船に浸かる前の体が濡れた状態が理想的。乾燥した状態でやすりをかけると肌への負担が大きく、湯船に浸かった後の足裏は肌の水分が多くて削りすぎてしまうため、体を洗ったあとの軽く濡れた状態がベストだそう。



手で触った時に硬くてどうしても気になる部分だけ、1週間〜10日に1回ぐらいのペースでお手入れを。お手入れ後の保湿も忘れずに。かかとを指でつまんだときに1〜2cmほどの幅があれば、保湿ケアだけでも十分。ささくれがある人は、やすりで軽くこすって肌の凹凸をなめらかにしておくと、傷が広がるのを防ぐ効果あり。



【編集部おすすめ】足裏・かかとのガサガサやささくれの予防ケアコスメ

セルフケアの基本となるのは毎日の保湿! 使い勝手と肌への心地よさに着目して編集部がピックアップしたケアアイテムをご紹介します。

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乾燥が気になる大人の女性の肌におすすめの最高保湿シリーズのボディクリーム。ふわっとしたテクスチャーながら濃厚なクリームが肌にとろけるようになじんで、気になる肌荒れやひびにアプローチし、しっとり柔らかな肌に導く。無香料。医薬部外品。160g ¥1760(編集部調べ)/ニベア花王

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87年におよぶ角層研究と技術をかかとケアに応用。有効成分の尿素とグリチルリチン酸ジカリウムがひびわれを防ぎ、ハトムギエキスが角質を保湿して柔らかに。塗るとすぐに浸透するオイルフリーのジェルタイプ。天然由来のラベンダー油の香り。医薬部外品。30g ¥1320/ナリスアップ

イラスト/本田佳世 構成・文/国分美由紀 企画/有住美慧(MAQUIA)

※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。

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