ふだん何気なくコスメを買う小さな行動は、社会をより素敵に変える大きなパワーを秘めている!? 化粧品メーカーが取り組む多彩な社会貢献活動にフォーカスし、キレイ+αにつながる新たなコスメ選びのヒントをお届け。

キレイになるのは誰のため?
コスメを通じて、社会や地球環境にできること
より良い社会作りに向けた企業の取り組みに注目
今、美容分野は大きな盛り上がりを見せる一大産業となっている。この盛り上がりと並行して、化粧品メーカーが社会貢献的な企業姿勢を見せる動きも活発化。
自分たちとは異なる視点や立場、社会課題などに気づき、生きやすい世の中にしていくために企業としてできることは何なのか。コスメメーカーによる様々な取り組みに注目が集まっている。
より良い製品が手に取りやすくなり、私たちの美容活動はますますイキイキとしたものになっているが、これからは一歩進んで、コスメを買って楽しむ消費行動の“その先にある影響”を考える知性が求められているのかもしれない。
“様々な多様性”について理解を深めるための取り組みを行っている資生堂は、LGBTQ+の顧客も安心して来店できるような応対研修やメイクアップ講座、トランスジェンダー女性・ノンバイナリー※1の方に向けた、「なりたいわたしに近づくメイク講座」などを実施している。
Tokyo Pride(アジア最大級のLGBTQ+イベント)へのブース出展、婚姻の平等(同性婚の法制化)キャンペーンやビジネスによるLGBT平等サポート宣言に賛同するなど、社内外を問わず行うLGBTQ+支援の取り組みが特徴的だ。
※1 自分の性自認(=出生時に割り当てられた性別ではなく、自分で認識している性)が男性・女性という性別のどちらにも当てはまらない(または当てはめたくない)あり方のこと。
オルビスは子どもたちの未来を支援する活動を実施。様々な困難を抱える子どもを支援する国内外のプロジェクトを、顧客と企業の共同募金活動という形で展開。
私たち消費者は、製品購入を通じた寄付、そしてポイント寄付という二つの形でプロジェクトに参加できる。今後も子どもたちの健やかな成長を願い、子ども自身はもちろん、周囲の人々に寄り添う取り組みも継続予定だとか。
自己表現と一人ひとりの個性美の発見をサポートするシュウ ウエムラは、不健康なデジタル習慣の問題解決に貢献するため、「connected not addicted/リアルにつながろう」という社会的メッセージを発信。デジタル依存症に関する啓発活動を国内の団体と協力して実施している。
2009年から「SAVE the BLUE Ocean Project」を続け、沖縄の海にサンゴの森を復活させる取り組みを行う雪肌精の活動は、地球の恵みを生かした製品作りをする同ブランドならでは。対象製品の購入がそのまま環境保全につながるという分かりやすさと、生分解性成分に着目している点も注目だ。
社会支援の視点から推しメーカーを決めても
こうした多様な活動を行う企業の中でも、抜きん出た活動実績を誇るのが花王。サステナビリティ分野の格付けやアワードで国際的に高評価を受けている。
現在力を入れているのが、美容社会貢献活動。美容を通じて誰もが心地よく暮らせる社会をめざす取り組み『Make Me Up』が2025年に始動した。
その一環として視覚に障がいのある方に向けたウェブコンテンツプロジェクトを担当する花王の岩谷冴夏さんは、セミナー講師として視覚障がいのある方と関わるなかで、世の中に出回っているコスメの多くが“鏡で見ること”を前提に設計されていること、とりわけメイクはほとんど視覚情報に頼らざるを得ないことに気づいたそう。
「視覚障がいと言っても、全盲の方から見えにくい方まで様々ですし、生まれつきなのか成長してから見えなくなったのかなど、状況もそれぞれ。
当事者と触れ合うなかで、みなさん、見えない・見えにくいなかでも、美容やメイクのことをお伝えするとパッと表情が明るくなったり、会場のボルテージが上がったり。
この“メイクを楽しみたい”という気持ちを目の当たりにし、気持ちに十分応えるコンテンツがないことが気になりました」(岩谷さん)
支援活動を通じて広がる美容の新しい視点
そこで完成したのが、聞くだけでメイクのコツがわかる『ミラーレスメイク』。音声を聞きながら手を動かすだけで塗布位置がわかり、ムラになりにくい自然な仕上がりのメイクへと導く画期的なメディアだ。
「実際に体験した当事者の方が喜んでくださったこともうれしかったのですが、私たち側にも、美容用語や感覚を言葉にすることの難しさを痛感するなど、気づきがたくさんありました。今後も当事者の声に耳を傾け、より良いものを提供していきたいです」(岩谷さん)
コスメを買う私の行動が誰かの支援につながるとしたら——。
視覚障がいに寄り添うメイク
花王の聞くだけでコツがわかるミラーレスメイク
読み上げソフトを使い音声の指示に従うことで、鏡を見なくても自然な仕上がりが叶うメイクガイドをウェブで展開。視覚障がいのある方が失敗を恐れずにメイクを楽しめるよう、当事者とともに試行錯誤して生まれた。

ミラーレスメイクを手がけた岩谷冴夏さん。

視覚障がいのある方との対談の様子。

『Make Me Up』のウェブサイト内のミラーレスメイクのコンテンツアイコン。
LGBTQ+支援
資生堂の社内外への包括的なLGBTQ+支援
包括的なLGBTQ+支援で知られる資生堂。2026年は、LGBTQ+応対研修刷新のほか、昨年に引き続きトランスジェンダー女性・ノンバイナリーの方向けのメイクアップ講座を実施。グループ内の当事者やアライ※2の社員による啓発セミナーも開催。
※2 理解者であり、支援者を指す。

Tokyo Pride 2025ではブースを出展。

トランスジェンダー女性・ノンバイナリーの方向けのメイク講座も好評だった。
子ども支援
オルビスのORBIS ペンギンリングプロジェクト
オルビスの商品購入やポイント寄付を通じた参加型プロジェクト。パートナーシップを結ぶ子ども支援団体とともに、子どもたちを支える。2025年は同社からの寄付金を合わせ、合計12,075,317円を寄付。

アプリを通じ1ポイントから寄付できる。

売上の一部が寄付される『グレープFe』(子供地球基金コラボデザイン)。
デジタル依存症啓発
シュウ ウエムラのconnected not addicted / リアルにつながろう
2024年10月に始まったデジタル依存症に関する啓発キャンペーン。日本デジタルウェルビーイング協会と協力して、デジタル依存症のメカニズムについて理解を広め、不健康なデジタル習慣の予防と問題解決に取り組む。

2024年10月にキャンペーンを開始。オンラインとオフラインのより良いバランスを提唱。
サンゴの森をまもる
雪肌精のSAVE the BLUE Ocean Project
キャンペーン期間中に『雪肌精』の対象商品を購入すると、その商品の底面積分に相当する「高温耐性をもったサンゴの森」が沖縄県読谷村地域の海で広がる取り組み。18年目を迎える今年は、初のキャンペーンキットを発売。

プロジェクト前の予定地。

サンゴの植え付けの様子。

現在の豊かに育った「サンゴの森」
雪肌精 BLUE チャコール スクラブ ウォッシュ キット

¥3520(編集部調べ)/コーセー(限定品)
キレイになるのは誰のため? 「私のため」の次の想い。
まとめ
・化粧品メーカーは、自社事業と親和性の高いCSR(企業の社会的責任)や社会貢献、サステナビリティ活動を積極的に推進
・化粧品メーカーの名前と一緒に「CSR」「社会貢献」などのキーワードで検索すると、その企業の取り組みがわかりやすい
・化粧品メーカーの社会貢献活動はブランド価値向上と社会課題の解決を両立する取り組みが主流
・近年は、仕組みづくりやコミュニケーションを通じて、顧客の社会貢献をサポートするのがトレンド
MAQUIA 2026年9月号
取材・文/長田杏奈 構成・文/山下弓子(MAQUIA)




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