1997年、『硝子の少年』でのデビューから25年。共に歩み続け、同時にソロでの世界も広げてきたKinKi Kidsのふたり。今、堂本剛さんにとっての音楽とは何か。

KinKi Kids 堂本剛

祝25th Anniversary
ふたりにしか奏でられない世界を支えてきた、その美学とは?
KinKi Kids
美しく時を重ねるということ

 

堂本 剛

1979年4月10日生まれ、奈良県出身。2002年にシンガーソングライター活動を始め、さまざまなプロジェクト名で活動ののち、2017年よりソロプロジェクトENDRECHERIを開始。ファンクミュージックを追究し、音楽性の高さで世界からも注目を集める。最新アルバム『GO TO FUNK』を提げたライブツアーのBlu-ray&DVD『ENDRECHERI TSUYOSHI DOMOTO LIVE 2021』(RAINBOW☆ENDLI9)が8月24日発売予定。

Tsuyoshi Domoto
音楽の向上を通して、生きる意味を感じたい

自分のままで生きる術を音楽が教えてくれた

KinKi Kidsの一翼として、また一人のシンガーソングライターとして、真摯に表現を追求。「音楽を作っている時が一番幸せ」と語る堂本剛さんが、音楽と向き合う時間を通して辿り着いた境地とは?
「僕の毎日は、音楽の作業をしている時間がほとんど。食事も頭がクリアになり楽曲のひらめきを得られるので、無添加ベースにしています。でも元々食にも他の娯楽にも大きな関心はなくて、音楽さえ作れたらそれで十分。そう感じるようになったのは、特殊な世界で特殊な人生を送ってきたことが大きいと思います。幼い頃から人が求めるものに応え続け、みんなにとってバランスが良い状態を保とうとしてきた。自分の本心では生きられない状況から解き放ってくれたのが、音楽だったんです」


音楽という表現方法の中では「変わらない自分のまま成長していくことができる気がする」と剛さん。
「同調はするけれど、自分をなくしたくはない。それを両立する術を自然に教えてくれるんです。例えば、世の中には譜面通りにやる音楽とやらない音楽がありますよね。僕は決め事がない方が好きだけど、どっちもできるのが理想。譜面通りに曲が始まり、間奏でフリーに解き放たれて、また決め事に戻っていく。そうやって行ったり来たりしている感じが人生に似ているなって思います」


ルールには従いつつも、“本当の自分”で生きていく。そう心を決めたのは、30歳を過ぎた頃だという。
「それまでは人のことばかり気にして、自分に優しくなかった。もっと自分を愛して、自分に一番いい方法を選んであげるべきだと思ったんです。親もきっと、何かの言いなりになりながら活躍するより“大変やな、でも自分らしく生きてるな”っていう姿を見る方が喜ぶ気がして。
誰かにとっての理想や人々が投げかけるいろんな言葉にとらわれず、自分の心の声に耳を傾けて生きる。そう心がけるようにしたら、不自由を感じることはほぼなくなりました」

心の目で捉えることで現実の見え方が変わる

心の声を聞くのと同様に大切にしているのが、“心の目で見ること”。
「現実ってすぐには変わらないじゃないですか。でも心は1秒で変えられる。自分の概念や感情が変わると、現実も違って見えてくるんです。だから、心の目でいろいろな物事を見ながら過ごしていると結構楽になるんですよね。こだわっていたことから解放されて、不自由の中に自由を見出せるようになる。僕は、“時間が解決してくれる”っていう言葉は存在しないと思っているんです。自分が解決するかせえへんかで、変えたいなら自分で動けばいい。そのために何が必要なのかを考えて、できることから一個一個やる。すごく簡単な話なんですよ」


自分を貫くには相応の強さが必要に思えるが、穏やかなその口調から滲み出るのは、押し通す強さではなく、折れることのないしなやかさ。
「失敗を恐れる人は多いけれど、誰かから見て失敗に思える行動が必ずしも自分にとって失敗とは限らないはず。成功もまた然りで、そのことを知れば知るほど自由が広がっていく気がします。だから人と比べたり羨んだりする感情はこの世で一番いらないし、嫉妬している1秒を自分の向上に繋げる方がいいと思う」

一人の活動も二人の時も僕の中では同じ”音楽“

世間の決めつけや偏見に苦しみながらも、時間をかけて自身の道を切り拓いてきた剛さん。その根底には、先達より受け継がれてきた“ジャニーズイズム”が存在している。
「創業者のジャニーさんは、アーティストを求めていたと思うんです。譜面通りとフリーの話で言うと、“何小節か好きにパフォーマンスをやれ”と言われた時に何もできない人は求めていない。“君から溢れ出るものを表現しなさい”と常々言っていたので、僕はそれを実践しているだけ。一見かけ離れたことをやっているように見えても、いろいろな方の存在があって今の自分がある、ということを1秒たりとも忘れてはいけないと思っています。それは一人の活動でも、二人の時も同じ。僕の中では音楽という点に違いはなく、どちらも本気。ただ同じ色のものをやっても仕方ないから、違うものをやっているわけで。第三者は好きに言うけれど、そこに付き合うより自分のエンターテインメントを追求することに時間を使いたいんです」


そう言い切る姿に迷いは一切なく、どこか清々しささえ漂う。
「心の目と心の耳に従って日々を積み重ねていると、自分らしく生きることを諦めていない、純粋でキラキラした人たちに出会うんですよ。彼らに勇気をもらうことで、自分もそう生きようと改めて思える。僕の望みはただひとつ。歌も踊りも楽器も全て、この命を使って最大限できることをやりたい。惜しみなく努力すれば向上していくのが音楽の面白いところで、それを実感できるのも生きているからこそ。去年より今年、今年より来年……と上を目指すことを繰り返して、自分が生まれてきた意味や、生きるという選択をした意味をもっと持たせていきたいんです」

 

KinKi Kids

1997年にシングル『硝子の少年』でCDデビュー。デビュー25周年イヤーとなる今年は、先日開催されたドーム公演『24451 〜君と僕の声〜』や、16社の企業のテレビCMに25円で出演する異例のキャンペーン『#キンキ25円でCM出演』など、さまざまなメモリアル企画を展開している。

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取材・文/佐藤裕美 真島絵麻里 構成/清田恵美子(MAQUIA)

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