猛暑が肌、からだ、ココロを攻撃しつづけた夏。この暑さ、今年も秋まで長引きそう。漢方には残暑を「長夏(ちょうか)」ととらえ、キレイ維持の教えがあるそう。8月下旬から9月に続く暑さの乗り越え方を漢方マイスターに取材しました。

美容ジャーナリスト 小田ユイコの“マニアックビューティREPORT”
今月のキーワード「漢方で長夏(ちょうか)ケア」
猛暑が続いた7月、8月。小田は例年以上に肌あれに見舞われ、まわりを見渡せば睡眠の質が安定せず、重だるい体に悩む女子たちがゴロゴロ(笑)。
“四季の国”から二季化したと言われる日本。去年もおととしも、9月に入ってからの「延長戦」がさらに肌、からだ、ココロに過酷だったことを思い出し、なんとかせねばと漢方の門をたたいてみることに。
漢方マイスターの坂本樹さんに、残暑を乗り切り、キレイをアップさせる漢方の教えをうかがってきました。

漢方マイスター
坂本 樹さん
漢方専門の製薬メーカー、ツムラの社員で、社内でも2人しかいないツムラ漢方グランマイスターのひとり。漢方の知見をもとに、季節の養生や未病ケアなどを世に広める。
長夏にキレイでいるカギは「発散」。暑さを警戒した活動量低下が落とし穴
——9月に入っても真夏のような気温、湿度、日差し。どうしたら夏の不調を回復し、キレイを取り戻せる?
「漢方では、夏は“気”が上向き、外へと向かう“発散”の季節。漢方で長夏と呼ぶ9月も、暑いので発散がケアの基本です。発散しないと汗をかかず、体内に熱がこもって、気が逆流。気・血・水の巡りが悪くなり、肌、からだ、ココロに不調が表れやすくなるのです」と坂本さん。
——発散ってアウトドアやフェスに出かけるような活動?
「はい、自然の中に出かけたり、フェスや旅行など夏らしい活動は、効果的に発散でき、気をととのえてくれます。でも酷暑中は、過度な活動には注意も必要。発散とは、動き、外に出て適度に汗をかき、人とコミュニケーションを取ること。涼しいカフェへ出かけていって、友達とおしゃべりするのでもいいんです」
——夏はリモートワークばかりで、オンタイムも発散が足りなかったかも。
「近年は暑さを警戒しすぎるあまり、本来は発散の季節なのに活動量が落ちて、メンタルが停滞。不調の大元はそこにあります」
漢方でいう長夏って?
夏と秋のあいだに位置する第5の季節
漢方では、夏と秋のあいだに「長夏」という第5の季節が。高温多湿が続き、脾(胃腸)や水分代謝に負担がかかる時期をさす。二季化が進む今の日本では、8月下旬から9月の残暑期が「長夏」にあたる。全身に不調が表れがちなため、長夏に合った養生は必須だと坂本さん。

長夏に起こりがちな肌・からだ・ココロのトラブルは?
熱ごもり、“湿”の停滞、気の逆流、胃腸の弱りで生じる「複合不調」
長夏は肌がもっともゆらぎやすく、倦怠感やむくみ、イライラや不眠などからだやココロにも複合的にトラブルが起こりがち。対処的ケアでは追いつかず、日々の活動や食べ物、セルフケアなど漢方発想の心掛けが必要。
ココロ
● イライラ
● 不眠
● やる気低下
からだ
● 倦怠感・疲労感
● むくみ・重だるさ
● 頭痛
● 胃腸の疲れ・食欲不振
肌
● ニキビ・ふきでもの
● 赤み・かゆみ
● 乾燥・インナードライ
● くすみ・ゴワつき
「冷たい、脂っこい、激辛」な食べものは“脾”に負担! 漢方薬を試してみるのも手
——ちょうどいい発散って難しいかも。
「そうなんです。活動は大事なんですが、大量の汗をかくと“気”(元気)が抜けて、疲労が蓄積。長夏は涼しい時間帯の散歩やぬるいお風呂で、ゆるく適度に汗をかくのが理想的」
——発散以外に注意すべき点は?
「長夏は脾(ひ)(胃腸)が弱る季節。冷たい飲み物や冷やし中華、そうめんなどの食べすぎは消化力を落とし、むくみ、重だるさ、肌の乾燥、くすみにつながるので気をつけて」
——辛い食べ物、スパイス系メニューは体を温めるからOK?
「おいしいのですが、食べすぎ注意です! これらの食べ物は発汗しすぎて“気”が抜けがち。揚げ物など脂っこいものも、弱った胃腸ではもたれの原因に」
——元気を出そうと食べているつもりが、むしろ倦怠感の引き金になっていたかも。
「それと、9月になっても室内と屋外の寒暖差を侮るべからず。自律神経の乱れで、夏からの頭痛、肩こり、睡眠の質の低下を引きずりかねません。薄手の羽織ものは常備し、首、肩、おなか、足首を冷やさないようにしましょう」
——ところで、市販の漢方薬って気軽に試してみてもいいの?
「軽い不調の段階で、重い不調予防のために漢方薬を使うのはおすすめ。パッケージに書かれている症状があてはまるかどうかを見て、自分に合うものを探してみてください」
——不調が複雑化する長夏こそ、漢方薬デビューのしどきかも!
温め、抗酸化、旬のフルーツがカギ
漢方発想の食べ方で長夏にキレイを磨く
長い歴史の中で体系化された漢方の知恵。特に、季節性を重視した食べ方は、現代の今こそ応用したい!
肌・からだの酸化を止める ポリフェノール

緑茶、ブルーベリーなどに含まれる優秀な抗酸化成分。冷凍ブルーベリーは手軽に食べられ体内に吸収されやすい。
胃腸の温活 野菜スープ

冷たいもの、脂っこいもの、生野菜が胃腸に負担。温かくて、消化にやさしい野菜の具沢山スープを、1日1杯飲みたい。
熱を取ってうるおす スイカ

天然の白虎湯(びゃっことう)(漢方薬)と呼ばれるスイカ。たまった熱をやさしく冷まし、たっぷりの水分でうるおす。
うるおして炎症をケア 梨

天然の甘露飲(かんろいん)(漢方薬)と言われる梨。うるおしながら炎症を取り去る。特にのどの乾燥にいい。
長夏の不調に効く 漢方薬
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
むくみ、重だるさ、汗のかきすぎで“気”が抜けるタイプに向く。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
熱ごもりによるイライラ、顔の赤みやほてり、睡眠の質が悪い人に。
MAQUIA 2026年10月号
取材・文/小田ユイコ イラスト/きくちりえ〈Softdesign〉 企画/吉田百合(MAQUIA)

























































































