形成外科医 エンビロン開発者
Dr. デス・フェルナンデス
南アフリカ ヨハネスブルグのウイッツウォーターズランド大学医学部卒業後、スコットランドのエジンバラ大学に留学。1987年、ビタミンA配合のスキンケアブランド「エンビロン」を開発。2006年、南アフリカ共和国・ケープタウンに総合的な抗老化治療施設、ルネッサンス・ボディサイエンス・インスティテュートをオープン。2014年には、アメリカの富裕層向けサイト”INSIGNIA”で、世界のトップ10形成外科医に名を連ねる。2019年、ケープタウン大学 医学部外科 アドジャンクトプロフェッサー就任。
ビタミンCなど成分ブームの中、美容マニアたちが今注目しているのが、ビタミンA（レチノール誘導体）。使ってみたいけど、肌がどう変わるの？ ビタミンCとどう違う？ ビタミンAコスメのパイオニアで、エンビロンの開発者でもある世界的権威、Dr. デス・フェルナンデスに、美容ジャーナリスト小田ユイコさんが直撃取材しました。
今、脚光を浴びているビタミンA。 Dr. デスはなぜいち早くコスメに取り入れたの？
今、美肌ビタミンとしてブームが再燃しているビタミンA。Dr. デスは、なんと1970年代後半からビタミンAの研究を始めていたという。
「当時、ビタミンAは皮膚がんへの効果で医療の世界で注目され、紫外線などによるシワやたるみなどの防止、ニキビあとや傷跡などの治療などにも使われていました。そこで1982年、40歳だった私は、ビタミンA配合のクリームを手作り。自分の肌で試してみました。すると、日差しが強烈な南アフリカに育ち、紫外線ダメージで深いシワができていた私の肌に、みずみずしいハリと弾力がよみがえったのです。優れたエイジングケア効果を確信しました」（Dr. デス）。
その後、1987年にビタミンA（レチノール誘導体）配合のスキンケアブランド、“エンビロン”が完成。世界的ヒットとなり、ドクターズコスメの先駆けとなった。「今ある肌悩みのケアはもちろん、ビタミンAを使い続けることで将来の肌に活かしていただきたいです」（Dr. デス）。
QビタミンAはシワや毛穴、ニキビ跡にどう働きかけるの？
「ビタミンAを与えることにより、肌が回復するときに欠かせない成長因子、TGF-β3が刺激されます。またシワ、毛穴、ニキビ跡のケアに欠かせないコラーゲンの生成にもビタミンAは深く関与。コラーゲンを破壊する酵素を食い止めつつ、コラーゲン生成も促します。さらには、ビタミンAは表皮の細胞・ケラチノサイトの増殖を促し、ターンオーバーを整えるので、肌が健康的になり、透明感もアップします。そして、ビタミンAは抗酸化物質と併せて使うことで、さまざまなエイジングを予防します」（Dr. デス）
QビタミンCと比べて、美肌効果はどちらが優れているの？
「ビタミンCは特定の効果に特化して優れていますが、マルチな働きという点ではビタミンAのほうが上回っています。それは、ヒトの遺伝子2万個のうち、ビタミンAが刺激できる遺伝子の数が1000個を超えているから。ビタミンCが刺激する遺伝子の数は4~6個。このことからもビタミンAが美肌ケア、エイジングケアに圧倒的に有利であることがわかります」
QビタミンAはピリピリする？ ゆらぎ肌のとき、使っていいの？
「ピリピリしたり、乾燥感、皮むけ、赤み、かゆみなど、ビタミンAを塗ることにより起こる症状をレチノイド反応といいます。これは、皮膚内のビタミンAが欠乏していることで、ビタミンAをキャッチするレセプター不足によって起こります。敏感肌であることや、皮膚が薄いこととは関係ありません。まずは低いビタミンA濃度からスタートし、徐々に濃度を上げていけば、レセプターが増え、レチノイド反応を避けることができます。また、ビタミンAケアで肌のターンオーバーが整い、健康的でなめらかになると、バリア機能が整いゆらぎにくい肌になっていきます」（Dr. デス）
ビタミンA（レチノール誘導体）のほか、ビタミンC、E、ペプチドなどの美容成分を贅沢に組み合わせ、ハリと弾力のある肌に導くエイジングケアシリーズ。”Cークエンスセラム”は１、２、3、4プラスとビタミンAの濃度が4段階で用意されていて、徐々にステップアップすることができる。＜左から＞エンビロン Cークエンストーナー 130ml ￥11990、同アイジェル 10ml ￥7150、同セラム 35ml（１ ￥18040・２ ￥20350・３ ￥22770・４プラス ￥26400）／プロティア・ジャパン
「低い濃度から肌をならしていくことが大事なんです」Dr. デス
平均的な日本人の場合、レチノイド反応は白人にくらべ少ないとDr. デス。ただし、日本人の中でも髪の毛が赤茶がかっている人はレチノイド反応が出やすい傾向にあるという。
「私も、40歳でビタミンAケアを始めた当初、レチノイド反応がありました。そこで、より快適に効率よくビタミンAケアができるようにと、低いビタミンA濃度から段階的に濃度を上げていくステップアップシステムを開発したのです。今でも非常に高濃度に上げると、赤くなったりすることがありますが、そうしたらビタミンA濃度の低いものに戻り、慣れたらまた濃度を上げていきます」（Dr. デス）
「エンビロンでずっと、ビタミンAを与え続けています。年子の兄と比べても、シワの数の違いなどから、兄は私よりもかなり上の年齢に見られていました」
御年なんと80歳。お肌ツルツルなDr. デスは、40年にわたりビタミンAでスキンケア
80歳にして、現役の形成外科医として患者の治療にあたり、エンビロンの開発を続けるDr. デス。日本をはじめ、今も世界各国を飛び回っている。その若さの秘訣は？「やはり、ビタミンAを肌に与え続けていることは大きいですね。その証拠に、ビタミンAに関心がない1歳違いの兄は、シワが多かったですね。ビタミンAはサプリメントもずっと飲み続けています」（Dr. デス）。
ビタミンAコスメの始めどきはいつなのだろうか？「何歳から始めてもいいですが、持って生まれた肌質を理想の肌質へと生まれ変わらせつつ、初期エイジングをケアできるので、結果を感じやすいという意味では30歳くらいからがおすすめです。人生100年時代、人生の華の時期の肌をより長く楽しむことが可能となります」（Dr. デス）。
ビタミンA以外に、Dr. デスの若さに役立っているものを聞いてみると……「ビタミンC、Eも欠かせません。ビタミンDも大事ですね。あとは適度なワイン、ルイボスティやハニーブッシュティー、そしてコーヒーもいただきます。コーヒーは1日3杯飲んでいますよ。そして運動はトレーニングマシンのパワープレートで行うのが日課です」（Dr. デス）
＜左＞肌がヒアルロン酸を生み出す力に着目した2種の保湿成分と、ペプチドなどの美容成分を配合したクリーム状美容液。頬や目もとのハリのなさ、ボリューム不足を感じる人に。エンビロン デュアルブーストクリーム 30ml ￥14300 ＜右＞肌が受けた外的ストレスを、夜寝ているあいだにケアする夜用美容液。表情サインにもアプローチして、お疲れぐすみ、シワっぽさ、ハリのなさをケア。エンビロン セリエンスナイトセラム 30ml ￥11990／プロティア・ジャパン
Dr. デスが次に注目している美容成分は？
ビタミンA、C、E以外に、Dr. デスが注目する美容成分は？ 「ペプチドですね。アミノ酸が複数つながったペプチドは、コラーゲンやエラスチンの生成や活性化に関わっているものもあるため、肌のハリ・弾力、なめらかさを保つのに重要な役割を果たします。ビタミンAと同様、30歳くらいからペプチドを肌に与えることで、肌の未来が開けてきます」（Dr. デス）。
Dr. デスが若さを保つ、人生の3か条
１常にアクティブであること
２力の抜き方を知っていること
３いい友人を持っていること
「いろいろなことに興味を持ち、常にアクティブでいること。リラックスするコツを知って、いつも落ち着いていられること。そして、気兼ねなく語らったり食事を楽しめる友人がいること。そうして、『今の年齢』を楽しんでいれば、ずっと現役でいられるのです。事実、私は今まで一度も仕事を引退しようと思ったことはありませんし、まわりからすすめられたこともありません」（Dr. デス）若いときの自分やまわりと比較せず、今の自分の年齢を楽しむ。ビタミンAコスメによるスキンケアとともに実現できたら、年齢を重ねることが楽しくなりそうです。
ずっとお会いしたかったエイジングケア界のカリスマ、Dr. デスにお会いできてとても光栄でした。驚異的な若々しさはもちろん、80歳という年齢を感じさせない知的で落ち着いたトークに感動。ビタミンAの魅力をよく理解できましたし、40年のビタミンAケアで培ったむっちりとハリのあるDr. デスの透明肌は、何より説得力がありました！ 取材後、さっそくエンビロンのC－クエンスシリーズに再チャレンジしている小田。少しずつステップアップして、いずれビタミンAの最高濃度に到達したいと思います。
撮影／藤澤由加 取材・文／小田ユイコ 構成／伊藤かおり（MAQUIA)
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