プライベートでも仲良しなジェーン・スーさんと神崎 恵さん。自分らしい生き方を貫くパワフルなお二人が、美容における攻めマインドの在り方について語ります。

神崎恵 ジェーン・スー

ジェーン・スー×神崎 恵 スペシャル対談

今、私たちが持つべき正しい“攻めマインド”って?

「私なんか」を手放せば新しい自分に出会える

神崎 今回の企画を聞いて感じたのは、皆さんの「動き出したい」という想い。私もどんどんチャレンジして変わっていくことが好きなので、攻めたい気持ちはよくわかります。
スー 神崎さんは本当に進化を止めない人。私はそこに刺激を受けるんです。こんなに綺麗な人でも常に努力を続けて変わっていくのだから、私も何かやった方がいいなって。
神崎 昔から自分にちょっと負荷をかけるのが好きなんですよ。少し頑張らないとできないことに取り組んだ先には、”達成感“っていう素晴らしい景色が見えてくるんですよね。
スー 筋トレ動画を見れば、神崎さんが負荷好きなのは伝わる(笑)。
神崎 “自分ならできる!”と信じて頑張ることで、自尊心を育てている面もあるのかも。でもね、自分を変えることって結構大変な作業だけれど、美容って頑張らなくても新しい自分に出会えるものでもあるんですよ。
スー 化粧品を新しくするだけで顔が変わりますもんね。顔が新しくならない人は、化粧品が昔のままっていうケースが多い気がする。
神崎 “トレンドカラーを使う”という負荷を与えることで、新しい自分に出会える。その一方で、定番メイクの精度を上げていくという負荷のかけ方も。いつものピンクベージュをブラッシュアップする作業って、変わらないように見えてしっかり進化しているんですよね。私は“新しい自分を見てみたい”っていう気持ちでメイクするので、他人からどう見えるかは関係ないんです。
スー 最近はそういった自分軸の人が増えて、美容の表現するものが豊かになってきているなと感じます。“若く見える”とかではなく、“清潔感”や“人生を楽しんでいるムード”のように、発するメッセージが多様になった。それにすごく励まされて、私自身も少しずつ“きれいになりたい気がしてきた”んですよね。
神崎 スーさんが書かれた美容本、すごく面白かった! 筋トレもされて、どんどん進化していますよね。
スー 昔は“私なんかが頑張ったって……”って思っていたけれど、そういう自分に飽きたっていうのもあるかも。何もしなければしない分だけ、”私なんか“が強化されていくだけだし。
神崎 誰にでも“私なんか”と感じる時はあると思う。私の場合はそういう気持ちが顔を出したら、“私なんかと思わなくなるぐらい頑張ってやるさ!”と思うことにしています。
スー 素晴らしい! ただ、結果を出した経験がある人は努力を続けられるけれど、経験がない人ほど“面倒くさい”となりがち。私もまだまだ面倒くささには勝てない(笑)。
神崎 その気持ちもすごくわかる! でも人間は水や食べ物を摂ればとりあえず生命を維持できるけれど、美味しいものを食べたりするでしょう。私の中で、美容はそれと同じ。生活する上で“必須ではないけれどちょっと楽しいこと”なんですよ。
スー 美味しいものか、なるほど。
神崎 “私なんか”だって、むしろ欲するものがあるからこそ出る言葉だと思う。そのマインドがあるなら、あとは行動あるのみ。何かしらやれば美容は応えてくれるし、1ミリ動けば1ミリ以上の楽しさが得られるものだから。
スー 私の経験で言うなら、今日みたいな撮影は10年前だったら依頼の段階で血反吐を吐いて倒れていたはず(笑)。でも最近は、“私なんか”という感情に惑わされずにいろんなことにトライするようにしているんです。もちろん出来上がった写真を見てヤダなと思う部分が無いわけじゃないけれど、プロのおかげで“こんな顔できるんだ”と気づく部分もあって。思い切って攻めてみた分、自分を少し好きになれるんですよね。
神崎 そう、少し負荷をかけると意外ないいものが見られます(笑)。

やりすぎ感を防ぐには出力は45%が正解

スー 大体の人は、自分が一番良かった時期でメイクや髪型が止まっちゃうんですよ。でも土台は刻々と変わっていくわけだから、どんどん乖離してよくわからないことになっちゃう。神崎さんは1年前と同じように見えて、全然同じじゃない。究極の微調整を続けている点がすごく素敵だし、見ていて楽しい。
神崎 微調整、その通りです。“攻め”と聞くとハードルが高い気がするけれど、微調整でいいんですよ。
スー それをずっと継続しているのがまたすごい。私は一気に攻めて“ドーン!”で終わっちゃう(笑)。きっと神崎さんは今の自分に何が似合うのかに関して、一切の妥協がないんですよね。そこが攻めの要な気がする。微調整を続けた神崎さんが、どんな60代になるのか超楽しみ。
神崎 私もすごく楽しみ。ちゃんと老いも感じたいし、お見せしていきたいと思っているんですよね。でも最近はエイジングケアが白熱して、美容医療も普通にみなさんが取り入れるようになってきたじゃないですか。微調整としては有効かもしれないけれど、過剰になりすぎないといいなって。
スー そうだね。インスタもついフィルターをかけたくなるけど、やりすぎかどうか気づくのって難しい。
神崎 美容って怖い一面があって、突然自分の意思と違うところで息をしはじめるんですよ。
スー いいこと言う! 美容に乗っ取られた人、たくさんいるよね。
神崎 攻めることは楽しいし、ちょっとしたミーハー心も持っていたいけれど、やりすぎてイタく見えるのは避けたい。主導権だけは絶対に自分が握るようにしています。
スー それってもしかしたら、出力の加減なのかもしれない。ギュンギュンのアイラインとか強いリップとか、120%のメイクが攻めってことじゃないんです。フィルターだってマックスまでかけると違和感が出るけれど、45%程度に抑えるとちょうど良かったりするしね。微調整はフルで行うけれど、出力は45%で耐えた方がいい。で、そのバランスを保つための体幹トレーニングをずっと続けているのが神崎さん!
神崎 トライ&エラーの連続です。でも失敗してもすぐ立ち直れるし、そもそも失敗というより経験だしね。
スー 結果として、神崎さんは常に“今”が一番調整がとれているんだと思う。それって変化する自分に追いついていて、美容に乗っ取られずに主導権を握っているってこと。それこそが正しい攻めの姿勢なんじゃないかな。

1975年生まれ。美容家として幅広い媒体で活躍。最新刊『神崎メソッド 自分らしく揺らがない生き方』(講談社)をはじめとする書籍の累計発行部数は150万部を超える。

「自分にちょっとの負荷をかけるのが好き。頑張った先に見える景色は格別!」

ジェーン・スーさん

ジェーン・スーさん

1973年生まれ。作詞家、ラジオパーソナリティ、コラムニストなどマルチに活躍。著書『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)では、美容との向き合い方を綴っている。

「微調整を永遠に続けること。それが大人の攻めの姿勢」

MAQUIA 12月号
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/犬木 愛〈AGEE〉(神崎さん分) Kanako(ジェーン・スーさん分) スタイリスト/石関靖子(神崎さん分) 取材・文/真島絵麻里 構成/火箱奈央(MAQUIA)

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