二宮和也さん初の新書発売記念取材会をレポート!
アイドル、俳優、バラエティー番組のMCと、数多くの肩書きを持つ二宮和也さんに、この度「著者」という肩書きが加わることに。初の著書となる新書『独断と偏見』が、二宮さんの誕生日である6月17日に待望の発売となります。今回MAQUIAでは、発売に先立って行われた取材会の模様を、なるべくご本人の言葉をそのまま、超詳細レポートします。

撮影/S a i
二宮さん
よろしくお願いいたします。二宮です。本日は、お足元の悪い中、たくさんの方々にお集まりいただきまして、ありがとうございます。少しでも、今回の本の内容を、わかりやすく、誤解ないように伝えようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
Q 動画を始め色々な媒体でご自身の発信をされていますが、改めて文章、文字だけで今の現在地を表現された理由を、教えて下さい。
二宮さん
そうですね、これは僕が独立をして、お問い合わせフォームというのを作った。そこに、雑誌『MORE』で二宮さん連載の担当をしていた野呂さんからメールが来て、「書かせてほしい」っていうところが始まりでした。
で、なんかヘンテコなこと言ってるなと思って、色々話を聞いたら、病気になってしまったと。もう先が見え始めてきた中で、「あなたの言葉を結構思い出すし、それが励みになって頑張ってこれた場面がすごくたくさんあったので、それをお守りとして1冊にしたい」って(言われた)のがきっかけでした。なので、僕自身は自分の言葉が力が宿ってるとか、誰かを動かすとかっていうことを考えもしなかったので、僕も(最初)「はあ」みたいな感じだったんですけど、でもそれ(野呂さんの言葉)はすごく信じていたので、じゃあやってみるかという形で、今回1年間かけて、「1ヶ月に1問、四字熟語を1つ考えよう」っていうことになりました。
Q ちなみに今のご自身を、四字熟語で表すと?
二宮さん
うーんなんでしょう。「我田引水」でしょうか(笑)。僕自身が僕にそんなに興味がないので、興味を持ってくれてる人たちが、いかにこうした方がいいんじゃないか、っていうアドバイスを聞いた時にフィットしてくるのかってことで物事が進んでますし。
Q 先ほどご紹介の時に「著者の二宮和也さん」と言われて、少しはにかんだように感じたのですが、新書を出されたご自身のお気持ちをお聞かせください。
二宮さん
この新書が世の中に出てから感じる部分の方が多いのかなっていう風には思ってますね。まだ世の中には出ていない状態なので、なんか極端な話、出来上がってないのとまだ一緒と言いますか、それを読んでいただいて、手に取っていただいて、それを見た人がどこがしっくりくるのかっていうのが見えてきた段階で、こういうことなのかー、っていうのは、ようやく自分の中で合致してくるのかなっていう風に考えています。
そう思ってはいるものの、今、実際に読んでいただいた方々(記者、編集者)をこう目の前にすると、あんまり聞かれたくないなっていう風に思ってますし(笑)。世の中の声を受け止めているなっていうのを、今すごく感じております。
Q (自身に)「肩書きはない」という風に書かれていたところがあると思うのですが、今新たに著者という肩書きが増えた実感はありますか。
二宮さん
いえ、そんな。大それたことは自分の中では考えてはなかったですね。著者としてというよりかは、1人の人間として、ちゃんと「らしい」言葉をちゃんと出せるように、っていうところぐらいしか考えてなかったかもしれないですね。
Q 文字だけで展開する世界ということで、『本質と違う伝わり方は嫌だし、でも尖りたい』という(著書の中の)言葉も印象的だったが、自身で出来上がったものを見た時はその辺りはどんな塩梅で出来たと思いますか。
二宮さん (一度一冊出来上がった時に)それこそ直すところは直したし、わかりやすくした部分もありました。でも、いつもみたいに編集の方に最後まとめていただく作業が今回はなかったので、割とダイレクトにその言葉が届いているのかなと、届いたらいいなっていうのは思いますね。
『百問一途』から『独断と偏見』にタイトルを変えた理由

撮影/S a i
Q 最初は「百問一途」というタイトル候補で、最終的に出来上がってから『独断と偏見』と決められたとのことですが、このタイトルに込めた思いというのは?
二宮さん
いただいたタイトル(百問一途)を前提に読んではいたんですけれども、なんか読んでる時にあまりにも(内容が)独断と偏見すぎて、タイトルと合致してない感じがしたな、っていうのが、僕の読み終えた後の感想だったんですね。もう色々決まりかけていたんですけど、そこを一旦度外視して、『独断と偏見』にしたいんだけどって言ったら、(編集者が)「頑張ります」みたいな感じで。でもほんとに「独断と偏見」に変えられたので、非常に読みやすくなったかなと思いますね。普遍的な質問(に対する答え)ばかりではないので。パーソナルな、「自分がどう思ってるのか」という独断になってきちゃうので。一般論として答えているものはなかったので、そのタイトルの方が、世の中的には偏見に聞こえるかもしれないことも、直さず、自分の言葉としてのせられるかなと思いました。
Q 「独断と偏見」以外のタイトル候補というのは、考えられましたか?
二宮さん
一択でした。すごい独断と偏見だ、と思ったんで、読んだ時に。そもそも11月に今まで連載していたものが出て(二宮和也のIt [一途])その派生というか、続きという形で(当初)「百問一途」になっていたので、最初それで理解してたんですけど、ただ読み終わったときに、「性格悪すぎるな」と。ふふふ。だから一択でしたね!
純度高く、丁寧に、言葉を紡いだ本

撮影/S a i
Q 出版の時期があらかじめ決まっていたのか分からないが、今(嵐の再始動などのニュースもあるが)出版する意図や狙い、思いはどこにあったのでしょうか。
二宮さん
基本的には、中長期的な計画はあまりなくて。僕自身も、今考えても「なぜこのタイミングなんだろう」というタイミングで活動再開してるので、嵐が。誰かがどうこう決めたタイミングじゃないんですよね。なんか、いや、なんかもうやるかあ、みたいな感じになって、集まって再開してるので、そこに明確な理由がなかったのと、あと、これ(『独断と偏見』)は1年かけて6月17日の誕生日に出そうよっていう話で動いてたら、こちらからすると勝手に嵐が再開したんで、びっくりはしましたけど(笑)。
仮にこの(新書の)話(取材)をしてる時に再開をしていても、同じことは言ってたと思います。今もコンサートをどういった形で、どういうタイミングで、どこで、いつ、をみんなで話し合ってる状態だったりもするので、タイミングが重なっちゃっただけで、狙ってなかったですね。
この本は1年間話をして出来上がった本でもあるんですけど、その前からずっと、もう10何年一緒に連載をやっていく中で、(担当編集等との)関係値というのは着実にできていたものですし、野呂さんが聞きたいことっていうのは、もちろん野呂さんが聞きたいことでもあるけども、そこのフィルターを通して、後ろの何人もの人たちが待機していると思うと、あまり一般的に、マイルド化するよりかは、純度高めの方が分かっていただけるんではないかな、という風な考えはありました。
Q 言葉の重さを知っているからこそ、今まであえてマスコミの前で詳しくお話をしなかったのかな、という風にも感じられたが、だからこそ今、考えていることを、表に出すことに、躊躇がなかったのか。
二宮さん
いや、僕もここまで載るとは思ってなくて。楽しいやつかなと思ってたんですけど(笑)。割と(編集者が選んだ)四字熟語のワードもそうですし、そこに付帯してくる設問に対して、こういう温度感で聞かれてるんだったら、そういう温度感で返した方がいいだろうなって。それで出来上がったのがこの新書なんですけど、新書だからこそ理解を深めていただけたというか、これで、1ページずつ撮りおろしの二宮がいたら逆に邪魔だったんじゃないかと。新書だからこそ、言葉だけで立体化させていくっていうことは、野呂さんは多分考えてらしたんで、うまくできたんではないかなっていう風に思います。そういった印象を持っていただけたのも、新書においてはプラスかなと考えております。
Q 新書で出すというのはやっぱりこだわりの1つだった?
二宮さん
僕の生活している層、ゾーンが、割と文字ベースといいますか。人と会話をすることもそうですし、それこそ台本1つとっても、「文字」で情報を常に捉えていた人生でしたし、なんかInstagramよりもXだし、みたいな。
そういう生活をずっとこうしていたので、選択肢として写真集を出すとか、そういうことよりかは、文字ベースと言われて、なんかしっくりくるところはありました。
Q 動画をはじめ色々な方法で表現することが可能になっていますが、文章で伝えるメリットーデメリットなど、意識したことがあれば教えてください。
二宮さん
そうですね。あんまりメリット、デメリットって考えてはなかったですね。色々ある選択肢の中の1つとして、文字ベースがあっていいんじゃないかっていう風に思ったんです。結構、1つの物事に対して語ってることが多いので、1冊の本になっている方が、こう、おーっと納得できるんじゃないかなっていう風に思っていたのがメリットの1つで、あとは、削ぎ落として言葉と対峙するっていうのは割と贅沢な時間ですし、乾きを癒す一助になるんじゃないかなと思うし。読める時間を得ているということ自体が、今言ったような贅沢に繋がると思っているので、なんかそれの1つのアイテムになればいいなという風には思いますね。
それでも、結構僕がそうではあるんですけど、未だ紙をめくらないと、いまいち言葉が入ってこない、めくる時に初めてインプットできる、言葉が入ってくる感じがするので、この本というものはいいな、という風に感じてました。
十数年の付き合いの編集者とだから作れた本

撮影/Sai
Q 言葉として残すからこそ、これだけは絶対に守ろうとか、これはやらないでおこうということはあったか?
二宮さん
そうですね、僕、人間としてはそんなにいい人間ではないので、こう、特にこの野呂さんとの関係値があるとですね、結構その時の悪口みたいなの出てきたりするんですけど(笑)、それは書かないでおこうとか、そういうことは考えてましたね。でも2人でその質問に対して話していく中で、その比較対象として出てくる人間とかはあったので、それを喋ってる時に、比較対象を抜いた時にどういった表現ができるんだろうとかっていうのは、何と比較すればいいんだろうとか、そういったものを考えながらやっていたぐらいでしたかね。
Q 書籍の中でこの発言はどういう表情で、声色で、どういうテンションでおっしゃってるんだろうっていうのが気になったが?
二宮さん
めちゃくちゃ偉そうに言ってたよね。野呂さんとやった時。
なんで野呂さんはこんなこともわかんないんだと思いながら話してるところもありますし。今時珍しい上下(関係)ですね(笑)。わかんない人はわかんなくていい、とかではなく、なんでわかんないのかまず言ってくれって言ってるんで。じゃないと、何がわかんないと言うのか、わかんないんですよ。野呂さんが、俺が言ったことに対してハテナ?の顔してるのは、例えばabcに分かれた時に、aで迷ってんのか、bで迷ってるのか、cで迷ってるのかがわかってないから、何で迷ってるのか教えてくれっていう話をして。もっと砕いて、こういうことなんだっていうのを、分かるまでずっと言っているので、そういうところはほぼ説教みたいです。
Q 受け取り方は、読む人に任せる?
二宮さん
そうですね、それがあったのでこういうタイトル(『独断と偏見』)になったと言いますか。あくまで一個人の意見ですね。その立ち位置というか、一般的に例えば自分が起業して、会社が大きくなって、こんな億万長者になりましたというものではなかったので、だからこそ、これを読んでどう思うかは別ですし、それぞれだと思いますし、そもそも成功したのか成功してないのかっていうのは、まだファジーな状態にいる人間なので。その人(二宮さん)が言っている言葉の中で、(読者の方が)心に持っときたいなって言葉があればいいな、という趣旨ですね。
Q (この本を作るにあたり)色々と質問に答える中で、自分の中にあったことを更に深掘りしたりとか、改めて「自分でこんなことを思っていたんだ」と感じたことはあったか
二宮さん
私もびっくりしたんですけど、「こんなこと喋ってたんだ」っていうのが第一印象でして。あと言ってることはなんとなく昔から変わってないのかなっていう風に思ってましたね。それこそ何回も色んな場で言ったことがあるフレーズもありましたし、もちろんテレビとか今までとかでも使ってきたものもあったし、今回初めて読んだなって思うものもあって。でも、なんかその二つが掛け離れてるかっていうとそうでもなくて。1本の軸は、捉えていっているんだなって思うことができましたね。例えば僕はお芝居を教える、教えないみたいな話があった時に、上手い下手の話をしてるんですけど、読んでて、「へ~!」と思いました。「そうだよな」って思ったんですけど、「俺だな、言ってるの。そっかそっか」って、なんかこう、新鮮な感じで読み進めていけたんですけど、なんとなく思っていたことをまとめた時に、「言い得て妙だな」っていう風に自分で思ったので、言語化…整理がついたと言いますか。
長年言いたくて言えなかったとか、環境のせいで言えなかった、ということではなくて、聞かれたことによって、整理することができたという印象です。
Q 今回1本のメールからこの素敵な1冊が出来上がったということで、(二宮さんと編集者の)2人の信頼関係があったからこそだと思うが、信頼を置ける編集者や記者、という条件を教えてください
二宮さん
距離感は大事ですね。面白がって話しかけてくるよりかは、最近どうなのって聞いてくれる方が信頼できるし。あと、それこそお仕事をしていて付き合いが生まれた時に、その人が自分のフィールドでどういうものを書いているのか、どういったものを見方として捉えているのか、っていうのは、こちら側の後追いはできるじゃないですか。なので、それを見た時に、「誠実にこれに対して向き合っているんだな」とか、「こういう風に思っているんだな」って見れた時に、「いい人だな」、「信頼できるな」っていう風に感じていますね。
あと、こう現場に何度も来てくださると、ある種の馴染みといいますか、そういったものに変わってくるし、信頼に繋がるのかなっていう風に思ってますね。
Q 今回の本を作る過程で意識したこと、あえて手直しをしないようにした部分を教えてください。
二宮さん
1番最初に言われたのは、(直しを)黒ペンで書かないでくれと。色のついてるもので書いてくれって言われ、色のペンを買いに行きました(笑)。
基本的には「このニュアンスをこうしてほしい」っていうのを書き換える作業と、あと、内容を全部書き換えちゃうパターンと、「はじめに」「おわりに」を全部書くっていうものを。で、追加の取材もあったし。ここで「僕」と言ってるけど、こっちで「俺」と話したものは統一しますか、しませんかと。「しません」と。この時は、多分「僕」ベースで喋ってる理由があるはず。もうちょっと違うニュアンスで言いたかったんだろうなっていうのを探りながら、それはこういうことだったんだっていうのを書いて、3回ぐらい繰り返したり…。
これは新しい体験でした。僕は、それこそ雑誌とかに関わっている人間でありながら、恥ずかしながら、本の出来上がり方を分かっていなかった。20年近く働いてる、連載までしている人間が、本の作り方をわかってなかったんですよ。別にそれはそれでいいとは思うんですけども、せっかくこうやって「一緒に作ってみませんか」って言ってもらえてるんであれば、その作り方っていうものを見てみようっていう風にも思いましたし、関わることで、言葉の純度が高めなものが作れたんじゃないかなという風にも思っているところです。
Qこの書籍によって新書の可能性も広まったと思うが、二宮さんの考えがどういう風に伝わってほしいと思いますか。
二宮さん
そうですね、芸能人が自分の考えをまとめる時って自叙伝の形が多いと思うんですけども、そうすると、自分の考えや思いに対して、すごく自分が信用しているというか、だから成功してきたんだっていう、答えみたいになってきちゃう。自分自身に「だから今の俺がいるんだ」という考えは僕はなかったので。自分の考えだし、自分のことなんだけども、もうちょっと客観的になるにはどうしたらいいんだろうってなった時に、ご提案いただいた新書っていうものは、「二宮和也はこう思ってるよね」っていうような立場になれるかなと思ったんで、それを選択させていただいた。シンプルなサクセス本みたいなことになっていないというか。
「だから俺はここまで来たんだよね」という感じではなく、悩んでるものはずっと悩み続けてるし、解決してるものは解決していくし、責任を持つ部分が多くなってきた中での自分の振る舞い方っていうのが、ちゃんと客観的に整理できたんじゃないかなっていう風には思ってますね。
嵐の活動を控えた今、二宮和也の〝アイドル〟論

撮影/S a i
Q 書籍の中で、普段の二宮さんと、アイドルの二宮さんを大きく切り離して書かれていたかと思うが、二宮さんにとってのアイドルの概念、こうあるべきみたいな信念は?
二宮さん
こうあるべきと思っているのは、ちゃんと相手の欲求を叶えてあげるというか、なんか痒いところに手が届く存在でありたいなという風には思っていました。
エンタメ人として、最新、最先端のものを融合したり、また新たな可能性を…っていうのはもちろんありますけど、今この時に何を聞きたいのか、最新の曲ではないんじゃないか、もっとこう往年のヒット曲なんじゃないかとか、需要をちゃんと分かった上で叶えてあげられる人たちっていうのが、僕はアイドルなんじゃないかなという風に思っていますね。自分たちのことを支持してくれてるコミュニティの人たちが喜ぶことをまず第一にやっていく。そこが満たされていければ、一般的に、お茶の間って言われるところでお会いしている方々たちのところに、ようやくたどり着けるといいますか。やっぱり誠実に応援してくださってる方々が今何を望んでるのか、何が見たいのか。僕自身に関して言うと、応援してくださる方々のお父様お母様が、両手放しとまでは言わないですけど、「嵐のコンサートだったら行っていいよ」っていうような、なんとなくその存在が安全だし、安心だしで、応援してる子供がすごく楽しそうにしている、っていうものを提供できていたらいいなって常に思っているので、調整も冒険もしつつではありますが、そういった安心安全に繋がるものも同時に必要なのかなっていうのが、僕が思うアイドルの概念ですね。
Q SNSがない時代、ファンの温度感などを知るためにどういったことをされていた?
二宮さん
僕の時はファンレターがやっぱり1番でしたね。それ以外はあんまりなかったし、エゴサーチというものができるようになって、本当に幅が広がりました。僕は基本的に、映画とかはそこまではしないんですけども、連続ドラマとか続いてるものに関しては徹底的に(放映中に、SNSの反響を)洗っていきます。キャラクターがどうか、芝居が下手、なんかこう上手いだとか、いつもと同じだとか、そういうことはもちろんその一方であるとしても、あの展開はこうだ、この点がこうだった、展開読めて変だった、とかっていう意見に関しては、「なるほど」、「じゃ、それをどうしていけばいいんだろう」っていう。その意見を変えるためにやってるわけではないんですけど、これは良くなるかもしれないっていうものに関してはもう徹底的にやっていきます。ただ映画は、どの意見を見ても(すでに作品が)出来上がっちゃってるんで、っていう。でも良くなり得るものに関しては、僕は強いタイプなんだと思うし、そういう向き合いができるタイプなので、割と徹底的に意見吸い上げて、「なるほど」と思うのは拝借しますし、全体にも共有することも、割とありましたね。
ブラックペアンのシーズン2の時は、オペシーンの時にクラシックを使おうっていうのをずっと考えてて。で、自分なりに組み立てていったんだけど、なんかクラシックにすごい強い人たち(の意見)が、「あれはこの曲の方がいいんじゃない」と。それを聞いて、「なるほど」と。そういう捉え方をして、共存の仕方は今もしてますね。
Q 俳優業、バラエティ、youtube、本の出版と、近年ますますマルチに活躍されていますが、仕事に対する思い、向き合い方で、ここ数年で変化したことがあれば教えてください。
二宮さん
仕事に関わる変化というものに関しては、より責任を持つようになりました。本にも書いていますが、依頼された仕事を見るので。42(歳)にして初めて知るといいますか。(前)事務所に所属している時には、二宮が1番リーチするものはなんだろうっていうのを、プロの人たちに考えてもらって、自分のところに来たものを読み込んで、理解して表現するっていうのが今までの仕事の仕方だったんですけど、お受けするものも、お断りするものも、全て同一、平等に時間を費やして向き合うっていうのが、仕事に対して向き合って変わったところだったと思う。
時間に追われることはあるし、まだ追われてるんですが、スケジュール上、どうしても物理的に(二宮さんが)もう一人いないと間に合わないみたいなことでお断りするものも、「スケジュールがないんで、ごめんなさい」って言う前に一読させていただいて、どういうことか、(もし自分が受けられないなら)この人が似合いそうだなとか、あの人は他にいるんじゃないかなとかっていうのを考えながら、「自分がやる時には、どうやって立体的にできるだろう」とかっていうことも本当は平等に考えて、で、それを伝えた上でお断りするっていう。こういう、改めて感じる部分でした。それが1番変わったところかもしれません。
Q 二宮さん的に、この本をどんな人に届けたいと思うか。
二宮さん
同世代の方ももちろん、若い世代とか、働き方の価値観が違う世代の人たちがどういう風に思うんだろうなっていうのは興味深いところですね。僕自身も自分が仕事をする上で先輩の背中を見てきたし、先輩に意見を頂きたい、というのははあまりよろしくないというか、「見て感じろよ!」みたいな雰囲気の中でずっと過ごしていた10代、20代だった人間だったので。それが40代になり振り返ってみると、後輩とされる人たちに、今度こういうのがあるんで見てくださいとか、こういうの出てるんで意見くださいみたいなことを言われると、なんか割と、やっぱ時代って違うよなって。その都度のタイミング、世代の価値観っていうのは違うので、それに慣れてくのは必死というか。「わかった、いいね」みたいな感じで言ってくれるような先輩、僕には1人もいなかったので(笑)。だからこう、それを嘆くよりも、まず慣れなきゃなっていう風に思っている部分が多いので。自分の考えが、その世代たちにどう受け入れられるのか、説教臭く見えるのか、それはあなただからできるんだ、と思われるのか、まだまだひよっこだなっていう風に思ってもらえるのか。
どういった感想が出てくるのか気になるし、読んでいただきたいなという風に思いますね。
以上で取材会は終了に。最後の挨拶で二宮さんは最後にこう挨拶されていました。
「自分の誕生日にまさかこういう新書が出るとは思っていなくてですね、そういうきっかけを野呂さんにいただいて、どうかこう、1人でも多くの方々に届けていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
会見&過去インタビューを通して感じた、「二宮和也」という生き方

編集Hがこの本を読んでまず最初に抱いた感想は「この人は、人生何回目なんだろう?」でした。それほどまでに、二宮さんの達観した思考回路と、〝誰かに喜んでもらうこと〟にフォーカスした生き方が印象的だったのです。
これまでに『MAQUIA』には2度ご出演いただいていますが、取材では「基本的に僕、自分のことに興味がないので」と話しながら、淡々と的確に、ユーモアを交えながら答えてくださいました。ただその思考の深淵にたどり着くには、取材する側も試されることを感じていました。
本書では、「信頼できる人って、ほんのわずかしかいない」と語っていた二宮さんが、信頼を預けたことがわかる編集者との対話から紡がれているため、「ここまで語ってくれるの!?」と驚くような率直な言葉が溢れています。実際、取材会でも、多くの編集者やライターからは、「信頼関係はどう築かれたのか」「どうしてここまで本音を語ったのか」といった質問が相次ぎました。
この本は、肩書きや立場以前に、一人の人間として魅力的な二宮和也さんの解像度をぐっと高めてくれます。そしてその俯瞰した目線の根底にある温かさに、きっと多くの人がまた惹かれるはずです。
この本が、MAQUIAと同じ集英社から発行され、世に送り出されることを、心から誇りに思います!ぜひ、手に取っていただけたら嬉しいです。
6月17日発売!二宮和也さんのメッセージ動画はこちら
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