ほんとの顔が見られる場所。神崎 恵流「トレーニング」する日のこだわりポイント

宅トレやジム通い、パーソナルトレーニング、自分の体と向き合ったり、体を動かすことが当たり前の時代。神崎 恵さんに「トレーニングシーン」でのこだわりや、愛用アイテムを聞きました。

着飾る美しさより、裸の美しさに心引かれるようになりました。幼い頃も、まだまだ若い頃も、「美しさ」＝形も色も作り込まれたものでした。「美しさ」をさまざまな技法で表現し、見えるものとして作り出されたもの。顔で言えば、ファンデーションで完璧に仕上げた肌や、ラメをちりばめたまぶた。総レースのドレスや眩しく輝くピアス、特別なものこそが美を約束してくれるものだと信じていました。
そして、いつからか、感動するものも変わって。幼い頃は、つまらない花だと思っていた紫陽花に心奪われたり、金木犀の香りに胸が詰まったり。煌びやかに飾られたプリンセスより心揺さぶられるのは、アスリートの汗や涙。美しいな……心底そう感じます。ありのままの美しさ。これに魅せられてから、何も着なくとも、裸のままの自分を磨きたい。そう思うようになりました。
パーソナルトレーニングを始めてから数年、変化してきた体はもちろん、それ以上に努力し続けることができている自分がとても気持ちいい。自分を自分で育てている実感が、自分への信頼と愛情を濃くしています。週3のトレーニング、ジムに通いながら気がついたことがあります。「運動している姿の美しさ」。アスリートでなくとも、自分の体や限界に向き合っている姿っていいものです。取り繕っていられない、素の顔が出る瞬間がコマ送りのように続く時間。なんというか、あざとさのない「まま」の姿がすんなりと心に届くというか。ひたむきさもまた清々しく、普段では届かない心の芯に触れるような気がします。
数年前までは意識高めの人がするもの、とされていたトレーニングも、今では20代からルーティンに組み込む人も多いほど、スタンダードなものに。先日、手に取ったアラサー向けの雑誌のアンケートでは、「トレーニングは週3回」という驚くべきデータが載っていました。世の男女が年齢関係なく打ち込むトレーニング、これってもはや、ものすごくその人の「素」を見ることができる、出会いの場なのでは？ と思うんです。外面じゃない、ほんとの顔が見られる場所。本質に近い姿が見えるというか。
そんな特別なシーンだから、外見も素を引き立てる組み立てが魅力増しのポイント。トレーニングウエアは潔く、体にフィットしているものがヘルシーでかわいい。メイクも極力薄く、眉とまつ毛だけはふさふさに整えて、健康的な美しさを際立たせて。

MAQUIA 10月号
モデル・メイク・文／神崎 恵　撮影／魵澤和之〈まきうらオフィス〉　ヘア／shuco〈3rd〉　スタイリスト／松島 茜〈io〉　構成・文／若菜遊子（MAQUIA）

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