夜はぐっすり眠り、気持ちよく目覚めて1日を爽やかにスタートさせたいもの。けれど、先が見えないことへの不安やストレスをいつの間にか溜めてしまったり、寒さのせいで寝つきが悪くなるなど、最近、睡眠リズムが乱れていませんか? 睡眠コンサルタントの友野なおさんに睡眠の質を上げるポイントを教えてもらいました!
睡眠コンサルタント
友野なおさん
株式会社SEA Trinity代表。自身が睡眠を改善したことにより、15kg以上のダイエットと体質改善に成功したことから、睡眠を専門的に研究。眠りのプロとして全国での講演活動、企業のコンサルテーションなどを行う。著書『毎朝、目覚めるのが楽しみになる 大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)など多数。
睡眠リズムが乱れている原因って?
ウイルスに負けない体づくりや健やかな肌と心のためにも、毎日の睡眠は大切。ところが最近よく聞く「眠れない」という声。
「日中マスクをしていることが夜間の睡眠に直接影響を与えることはないのですが、コロナ禍により睡眠に問題を抱えている方が増えていますね」と話す友野さん。その原因は大きく3つのことが考えられるそう。
圧倒的な運動量(活動量)の低下
「人は疲れたら眠くなるというメカニズムがあるのですが、リモートワークになり自宅で過ごす時間が増えたことで1日の活動量がぐっと減り、結果として夜間にぐっすり眠れなくなるという悪循環が生まれています。意外と毎日の通勤がかなりの運動量になっていた方も。運動量が少ないと感じている方は、ストレッチや散歩などで適度に体を動かしましょう」
夜更かしなど生活リズムの乱れ
「毎朝決まった時間に出勤しなくなったことで起床時間が一定でなくなり、生活リズムが乱れてしまっている方が増えています。その結果睡眠リズムも乱れて、スムーズに眠れなくなっているのです。遅い時間までスマートフォンやPC、テレビを観るなどの夜更かしもNG。光の刺激により、入眠を妨げてしまいます」
強い不安感やストレス
「これまで経験したことのない状況で、知らず知らずのうちに強い不安感やストレスを感じている方が多いようです。不安定な精神は入眠や質の高い睡眠を妨げてしまいます」
ぐっすり眠るための5つのポイント
日々の暮らしの中でちょっとした習慣を変えるだけで、心地よく眠れるようになります。よく眠れないというときは、まずは以下の5つのことを意識してみましょう。
1. 起きる時間を一定にする
「極端にいえば何時に寝てもいいけれど、毎日同じ時間に起きるように心がけることがポイントです。たとえ遅い時間に寝たとしても、毎朝同じ時間に起きることで体内時計のリズムが整い、夜になると眠れる体、心、脳になります」
2. 朝から昼にかけてたっぷり光を取り入れる
「私たちの体内時計は光の影響を強く受けるので、自宅で過ごすときは朝から昼にかけてカーテンを開けて、たっぷり光を取り入れましょう。紫外線が気になる場合は、透明のUVカットフィルムをはるのがおすすめ。就寝1時間前になったら、やや暗めの暖色系の照明に切り替えて昼夜の光にメリハリをつけると入眠がスムーズになります」
3. 手足を温める
「人は手足の先から体の熱を逃がすことで眠くなるというメカニズムを持っています。スムーズな放熱のためには手足が温まっていることが重要なので、とくに冷えが気になる方は手浴や足浴、レッグウォーマーなどで温めることを習慣にしましょう。最近は、目もとを温めると手足の温度が上がることもわかっています」
4. おやすみスイッチを入れる“スリープセレモニー”を習慣にする
「スリープセレモニー(入眠儀式)とは眠るための条件付けのようなもの。パジャマに着替える、アロマの香りを嗅ぐなど、シンプルで簡単な行いでOK。続けていると“これをやるといつも眠くなる”というパターンが脳と体に刷り込まれ、自然と眠くなります。眠りのおまじないのような習慣ですね。ただし、激しい運動など興奮作用のある行動やゲーム、スマートフォンを見るような光の刺激を受ける行動は避けましょう」
5. 夜はネガティブなニュースを観ない
「夜は脳が疲れていて、冷静な判断や思考ができなかったり、感情的になりやすい時間帯です。寝る前にネガティブな要素や不安になる材料のある情報には極力触れないようにしましょう。なるべく情報量は少なくして、心も体もリラックスした状態にしておくことが快眠につながります」
撮影/森戸美帆(LOVABLE) ヘア&メイク/長井かおり スタイリング/柿原陽子 モデル/甲斐まりか 取材・文/佐久間千絵 構成/佐藤 陽(マキアオンライン)