日々の過酷なレッスンに裏打ちされた華麗なバレエの舞台は、誰もがその美しさにうっとりしてしまうもの。ただしその美しいステージの舞台裏は、挫折や苦悩、嫉妬などがあふれるまさに人生の縮図! フィクションよりもおもしろい、ドラマチックな人間ドラマをご覧あれ。
世界を震撼させた
事件の真相を追う
ドキュメンタリー!
★今回のおすすめ新作映画★
『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』
監督/ニック・リード 出演/マリーヤ・アレクサンドロワ、アナスタシア・メーシコワ、マリーヤ・アラシュ、セルゲイ・フィーリン、ウラジーミル・ウーリン 配給/東北新社 公開/9月19日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー © 2015 RED VELVET FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED
〈ストーリー〉
創立から240年のボリショイ・バレエ団。520億円をかけて完成した新装ボリショイ劇場では、250人のダンサーと3000人のスタッフが創り上げるバレエとオペラが、年間400回以上も上演される。映画では頑に閉ざされていた舞台裏に史上初めて入り、練習風景だけでなく2年前の大事件の真相をも追う。
ニュースでは知り得ない
ダンサーたちの
赤裸々な告白にビックリ!
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
2013年。ボリショイ・バレエ団の芸術監督セルゲイ・フィーリンが何者かに顔面に硫酸を浴びせられるという事件が発生。役をもらえないことでフィーリンと対立していたソリストのパーヴェル・ドミトリチェンコが逮捕されるという、映画顔負けのドロドロな展開に世界が震撼しました。事件はドミトリチェンコに懲役6年の判決がくだされたことで解決したかに見えましたが、映画で描かれるダンサーたちの赤裸々な証言から、私たちが知っている情報は氷山の一角にすぎないことがわかります。
まるでマンガの世界!!
嫉妬・権力・ ドロドロの人間関係がスゴっ!>>>
それぞれの思惑が
交錯する
二分したバレエ団
まず驚くのは、労働組合のリーダーとして若いダンサーたちから慕われるドミトリチェンコと、独断的なキャスティングで一部では専制君主のようだと噂されるフィーリンが険悪な関係にあり、バレエ団が二分されていたということ。片目を失明しながらも芸術監督に復活したフィーリンの姿は、本来なら悲劇から復活した人物の感動的なドラマとなるはずなのに、一部のダンサーはカメラの前で平然とドミトリチェンコを擁護するなど、微妙な立場であることが明らかになります。そして地に堕ちた威信を取り戻すべく政府が新たに劇場総裁として送り込んだウラジーミル・ウーリンも、実はフィーリンと対立していた過去が。カメラは2人が激しくぶつかる瞬間も見逃しません。
権力闘争を繰り広げる
男性たちとはちょっと違う
シングルマザーの力強さ
非日常の夢物語を見せてくれるうっとりするような華麗なバレエは、人間臭いドラマの上に成り立っていることを痛感。強い個性を持ち、夢と野望を抱いている彼らの嫉妬や野心を知れば知るほど、どんな事件が起ころうと微塵も感情を出さず、優雅にほほえみながら踊るプロフェッショナルたちの気高さと覚悟に感服させられます。ちなみに個人的にグッときたのは、ファースト・ソリストでシングルマザーでもあるアナスタシア・メーシコワが舞台上で見事なフェッテを披露している舞台袖で、息子がゲームをしているシーン。権力を固辞するために闘争を繰り広げる男性たちとは違い、子供を育て上げるため、そしてダンサーとして舞台に立ち続けるために奮闘する彼女のストレートな情熱が、女性の強さを象徴しているようでした。
バレエ少年たちの青春と心の葛藤を描いた『バレエ・ボーイズ』>>>
〈映画ライター/松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!
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