化粧水に乳液、シートマスクに美白美容液、さらにシワ改善美容液etc.、年々増えていくスキンケアコスメたち。アレもコレも使いたいけれど、どの順番で組み合わせればいいのか迷ってしまう。そんな人のために、コスメの開発を手がけた経歴を持つビューティサイエンティストの岡部美代治さんが、最新版・スキンケアの順番を指南。より効かせるお手入れのコツをアドバイスしてもらいました。使用順に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
スキンケアの基本の順番をプロが解説
スキンケアの基本は「汚れを落とすもの」と「肌を保護するもの」の究極2ステップでOK!
「世にスキンケアコスメは何種類もあるけれど、本来やることはとてもシンプルです。スキンケアとは、“肌を清潔にしてうるおいを与える”こと。そのためには最低限、“汚れを落とすもの”と“肌を保護するもの”を使えば事足ります。汚れを落とすにはもちろんクレンジングと洗顔料、肌を保護するためには水分の入った化粧水と、油分を含む乳液やクリームが必要。水分と油分を同時に与えられるオールインワンならひとつで保護が完了する。この流れは、朝も夜も同じこと。
肌を保護するというのは、保湿をするという意味です。保湿とは、水分を与えて、その水分が逃げないよう油分でフタをすること。肌から水分が蒸散しないようシールドすることは、“エモリエント”とも呼びます」(岡部さん、以下同)
+肌悩みに合わせて、オプションで活性化を
洗浄も保湿も大事だけど、やっぱり毛穴が気になる、シミやたるみをなんとかしたい! という人は、オプションで“活性化”を。
「活性化に使うアイテムはさまざまです。多くは美容液や高機能クリーム、パックなどですが、化粧水に美白成分を入れるところもあれば乳液にシワ改善成分を入れるところもある。そもそも薬事法による“化粧品”、“医薬部外品”の定義はあっても、化粧水や美容液、乳液、クリームなどカテゴリの定義はありません。油分がこの割合なら乳液、この成分が入れば美容液、という縛りはなく、すべて個々のメーカーがそう呼んでいるというだけです。ですから、活性化に使うアイテムを選ぶポイントは、カテゴリというより配合成分による、あるいはメーカーの推奨によるところが大きいですね」
個々のアイテムを使う順番は、どう組み立てればいい?
「すべては、メーカーの指示に従うことが基本です。といってもクレンジングでメイクを落として洗顔料で残った油分やそのほかの汚れを落とす浄化は、もちろん一番最初に行います。次に化粧水で水分を与え、乳液やクリームでフタをして肌を保護する。美容液やマスクなど活性化主体のアイテムは、化粧水の次に使うよう指示されることが多いですね」
岡部さん曰く、メーカーの指示を守るということは、コース料理を味わうのと同じことだそう。
「コース料理の順番は、前菜やスープにメインなど、それぞれの料理を一番美味しく味わえるように計算されています。化粧品を使う順番も同じこと。メーカーでは、そのアイテムが最も効果を発揮できる順番を推奨しているわけですから、説明書通りに使うのが一番効率的なんです」
油分の多いものを先に使ってあとから水系アイテムを使う場合、肌に浸透しない?
「もちろん化粧品メーカーは、それぞれ最高のものを最高の順番で使えるように工夫して提供しています。その前提に従うのがベストだと私は考えています。でも、そこもやはりコース料理と一緒。順番通り食べたほうが美味しいけれど、一気に食べたり順番を変えて食べたりしてもお腹の中に入れば同じこと。クリームのあとに化粧水をのせると、ベタベタして不快かもしれませんが、水分が肌に入らないということはないし、効果が大きく変わることもありません。大切なのは、お手入れを続けること。順番を考えて混乱するより、自分にとって使いやすい順番であること、ストレスのないステップでお手入れをすることが一番です!」
基本のスキンケアの順番と目的
ライン使いにオプションを加えたいときや、ラインではなくそれぞれ違うブランドのコスメを使う場合の、基本ステップとその目的はこちら!
1. クレンジング
メイクや毛穴に詰まった角栓など主に油溶性の汚れをオフする。オイル、ジェル、ミルク、クリームなどさまざまな剤形がある。一般的に、油分が多いほど洗浄力が高いとされる。
2. 洗顔
クレンジングで残った油汚れ、余分な皮脂や不要な角質、ホコリなどを取り除く。泡のまま出てくるポンプ式、泡立ての必要があるフォームタイプ、古い角質を除去する効果の高い酵素が入ったパウダータイプなどがある。
3. 化粧水
角層に水分を与えるためのアイテム。健康な肌には、角層細胞の相手に適度な水分が留まっている。その状態に近づけるために必要。成分の中に占める水分の割合は、7~9割くらいが多い。
4. 美容液
高保湿成分や美白成分、抗酸化成分など目的ごとに成分を高配合し、悩みに特化した機能を持つコスメの総称。乳液とどちらが先か迷いがちだが、水分の多いアイテムを先に、油分の多いアイテムを後に使うのが基本なので、化粧水の次に使うよう推奨されていることが多い。一般に“オイル美容液”は、配合成分における油分の割合が高め。そのため、肌に水分を留める効果も期待できる。“導入美容液”、“ブースター”と称している場合は、洗顔後すぐの肌に使う。あとから使う化粧水や美容液の浸透をサポートする働きを持つものが多い。
5. 乳液
水分と油分を両方適度に含み、ミルク状の保湿コスメ。乾燥した角層を水分と油分でほぐしたうえで、肌に油分の膜を残して水分蒸散を防ぐエモリエント効果も持つ。紫外線防御機能を付加して、朝メイクの前に使うUVカット乳液も人気。
洗顔のあとに使って、化粧水が角層に浸透するのを助ける乳液をリリースするメーカーもある。
6. クリーム
角層表面に油膜をつくり、水分が蒸散するのを防ぐエモリエントアイテム。乳液よりも油分の割合が多く、より固めのテクスチャーであるケースが多い。油分の割合が高いので、コラーゲンやレチノールなど油性の成分を多く配合できる。
7. マスク
密閉効果を利用し、角層により多くの美容成分を届けるアイテム。シートタイプ、クリームタイプなどがある。目的は、配合された機能成分によって異なる。化粧水後や美容液後に使用すると思いがちだが、そのあとどんなアイテムを使うかによって処方設計されているので、使う順番はメーカーの指示に従うのがベスト。
オプションコスメは目的で使用タイミングを見極めて
ブースター的な役割のものは、その目的に合わせて導入化粧水なら化粧水の前、導入美容液なら美容液の直前に使用を。またシートマスクも化粧水タイプのものなら洗顔後、クリームタイプタイプなら乳液の後など、得られる効果によってアレンジを。
イラスト/二階堂ちはる 構成・文/風間裕美子 企画/有住美慧(MAQUIA)
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