乾ききったこの季節、お肌が悲鳴を上げていませんか? 「MAQUIA」3月号では、乾燥の原因から最新トピックまで、専門家が詳しく解説。
頭の先からつま先まで、乾かない私でいたい!
乾燥悩み100問100答
1年で最も乾燥するシーズン、肌の悲鳴が聞こえてきそう! 2人に1人は悩んでいるという乾燥、原因のおさらいから最新トピックまで一挙お届け。もう乾かない私に!
教えてくれた方たち
まいこ ホリスティックスキン
クリニック 院長
山崎まいこ先生
体全体から健康美肌を目指す医療が信条。個々に最適なサプリメントを組み合わせる「腸質スキンケア」が好評。
ポーラ化成工業
フロンティア研究所
平河 聡さん
医学博士。皮膚科学を専門とし、化粧品や医薬部外品、インナーケア製品の開発に携わるスキンケアのスペシャリスト。
ミルディス皮フ科
皮膚科医
出来尾 格先生
皮膚常在菌研究の第一人者でアトピー性皮膚炎やニキビが専門。「美肌菌」の命名者でTVをはじめ多くのメディアで活躍。
美容ジャーナリスト
小田ユイコさん
乾燥しやすく揺らぎやすい肌ながら、徹底的な取材に基づいた豊富な知識と肌状態に応じた適切ケアで美肌をキープ。
改めて知っておきたい!
乾燥の原因編
Q.乾燥肌の原因は?
A.これが5大原因!
「角層の細胞間脂質や天然保湿因子が減り、バリア機能が弱って水分が蒸散しやすくなることが原因。次のようなことがバリア機能低下を招きます」(出来尾先生)
1 外気の湿度の低下
2 間違ったスキンケア
3 アンバランスな皮膚常在菌
4 加齢やホルモンバランスの変化
5 体によくない生活習慣
Q.肌の乾燥しやすさは地域差もある?
A.ポーラ調査によるとうるおい力が
高いのは島根県、低いのは北海道
肌のうるおい力を多角的にリサーチ&分析。「寒い地域は空気中の水分が少なく、雪に水分が抱え込まれるので空気が乾燥する傾向に」(ポーラPR 河野伶佳さん)
Q.生理中って肌が乾燥する気がする……
A.ひと月の中でも乾燥しやすい期間
「2つの女性ホルモンのうち、肌の水分量に関与するのはエストロゲン。生理中はエストロゲンの分泌量が減るため、乾燥しやすい時期といえます」(山崎先生)
Q.歳のせい? ここ数年、乾燥しやすくなった
A.年齢と乾燥には相関関係あり
「皮膚生理的に、エイジングとともに肌の水分量は減っていきます。肌だけでなく目や口が乾くドライシンドロームの傾向も年齢とともに高まります」(平河さん)
Q.乾燥肌って遺伝なの?
A.遺伝もあるけれどその他の要因のほうが影響大
「乾燥肌に関係する遺伝子は確かにありますが、それを持たないから乾燥しないというわけではない。7割以上は間違ったケアなど遺伝以外の原因」(出来尾先生)
Q.角質ケアは乾燥肌には不要?
A.肌によって、不要な人も必要な人も
「超乾燥&敏感ぎみの人はしないほうがいいですが、ニキビも気になる人や肌がザラつく人は、うるおいを奪わないデトックスケアを。クレイマスクを試してみて」(小田さん)
天然クレイが不要な角質や汚れだけを吸着。ローズドビオ ホワイトウォッシュパック 150g ¥4000/オーガニックビューティー
Q.肌断食って乾燥対策になるの?
乾きが怖くてできません…
A.YES! 「ライトな肌断食を3日間」でも効果あり
「3日間、洗顔料は夜にTゾーンだけに使う、洗顔後は何も塗らない(気になるなら乳液を少し)というライトな方法でも、定期的に行うことで自前のうるおい分泌力がアップ。徐々に乾きにくい肌に」(出来尾先生)
Q.お手入れしているつもりなのに乾く。
高いコスメを使っているのに…なぜ?
A.肌に合うものを適量で使っているか見直して
「肌状態は季節や年齢、環境でも変わるので、肌に合うものを使うことが大前提。使用量が少なすぎる、使用ステップが間違っている場合も実感は得られません。肌をこすっていないか、つけ方も見直して」(平河さん)
Q.仕事が忙しくなると肌も乾燥する気がします
A.ストレスはうるおい物質を減らします
「ストレスが強いと肌が過敏になる、リラックスすると肌の水分保持力が高まるなどのデータが。緊張やストレスで肌も乾きます」(出来尾先生)
ストレス物質コルチゾールでうるおい物質フィラグリンが減少。その減少幅は50代より30代のほうが大!(資料提供/ポーラ研究所)
Q.保湿することで乾燥しにくい肌に
改善することはできる?
A.「育菌」にも目を向けて
「保湿ケアでうるおっている状態をキープすることが大切。肌質改善となると、うるおい分泌に関わる皮膚常在菌を整えることも不可欠です」(出来尾先生)
Q.お手入れのしすぎも乾燥につながるの?
A.洗いすぎ、こすりすぎがNG
「洗顔しすぎ、角質ケアのしすぎは乾燥に直結。その後たくさん与えたとしても肌のうるおい構造を回復するまでに時間がかかります。摩擦も要注意」(平河さん)
潤いの鍵は菌にあり!?
美肌菌
Topics
Q.「美肌菌」ってなんですか?
A.「表皮ブドウ球菌」のこと
「顔には7種、およそ10億個の常在菌が存在。美肌菌とはそのうち、角層の表面と内部にいる1億個ほどの表皮ブドウ球菌。グリセリンを生み出して水分を保ち、肌を弱酸性にして悪玉菌から守ります。表皮ブドウ球菌が多いと乾燥しにくい肌になれるといえます。アクネ菌も、酸素があるときは美肌菌と同様に働きます」(出来尾先生)
美肌菌 表皮ブドウ球菌
・皮脂や汗を分解してグリセリンを含む天然のクリームをつくる。
・肌を弱酸性に保つ。
・抗菌性をもち悪玉菌に対抗する。
中間菌 アクネ菌
・酸素があるときは、表皮ブドウ球菌とともに肌を弱酸性に保ち、悪玉菌の繁殖を抑える。
・酸素がないとニキビの原因菌に。
悪玉菌 黄色ブドウ球菌
・アトピー性皮膚炎の悪化因子の一種。
・体内に入ると食中毒や肺炎、敗血症などの病気を引き起こす。
・ニキビをつくることがある。
Q.常在菌の数やバランスは生まれつき決まってる?
A.遺伝ではなく周囲の人から伝わるもの
「胎児は皮膚常在菌をもっていません。生まれてから抱っこされたときなどに、周りの人からもらいます。つまり遺伝はあまり関係ありません」(出来尾先生)
Q.肌の「育菌」ってどうすればいい?
A.まずは減らさない。W洗顔をやめて
「美肌菌を洗い流してしまうW洗顔をストップ。Q 7で紹介した肌断食は育菌にも有効。美肌菌を直接塗ると肌の水分量が増えるというデータも」(出来尾先生)
顔の菌を採取して培養し、スキンケアでまた肌に戻す「美肌菌バンク」も始まっている。自分の菌を使うまさにオーダーメイドスキンケア。美肌フローラ 6か月分 ¥548000/美肌菌バンクサポートセンター
Q.メイクは美肌菌の邪魔にならない?
A.スポンジ類に注意
「ベースメイクは添加物や油分が少ないパウダーを薄く、がベスト。スポンジ類は雑菌が繁殖しやすいのでなるべく使うたびに洗って清潔に。落とすときは石鹸がおすすめです」(出来尾先生)
Q.発酵食品や乳酸菌を摂ると美肌菌は増やせる?
A.増やせます!
「ビフィズス菌を摂ることで美肌菌が増える可能性があるほか、直接塗っても効果的。ビフィズス菌の生産物であるホエイには美肌菌増加作用とソフトピーリング作用が」(出来尾先生)
出来尾先生式ヨーグルトパック
無糖のビフィズス菌ヨーグルトを顔に均一に塗り、10分後に洗い流す。ホエイだけをマスクシートに浸して行っても。週2が上限。
生きて腸に届くビフィズス菌BB536を配合した特定保健用食品。ビヒダス プレーンヨーグルト 400g ¥210(編集部調べ)/森永乳業
MAQUIA3月号
撮影/天日恵美子(人物) 荒川雅之(物) ヘア&メイク/榛沢麻衣 スタイリスト/武田亜利紗 モデル/鹿沼憂妃 イラスト/齋藤よしこ 構成・文/柏谷麻夕子 関本陽子 企画/髙橋美智子(MAQUIA)
【MAQUIA3月号は1月22日(火)発売】